順天堂医学
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32 巻, 4 号
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目次
Contents
特集 分子免疫学の最近の進歩
  • ALAN M. STALL, LEONORE A. HERZENBERG, PAUL A. LALOR, CHARLES SIDMAN, W ...
    1986 年 32 巻 4 号 p. 405-413
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    T細胞特有のマーカーと考えられていたLy-1分子が, ある種のB細胞に表現されていることを明らかにした. このLy-1B細胞の表面免疫グロブリンリセプターの質的・量的検索をFACSを用いた二重染色法を駆使して行った. さらに, このLy-1B細胞の分化経路を検索し, 通常のB細胞とは異なることを裏づける結果を得た.
  • THOMAS J. KIPPS
    1986 年 32 巻 4 号 p. 414-420
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    Using sensitive two and three color immunfluorescence analyses, we readily detect Leu 1 B cells in the peripheral blood of most normal adult volunteers. These circulating Leu 1 B lymphocytes co-express B cell differentiation antigens, Bl (CD20), HB - 5 (CD21), Leu 12 (CD19), sIgM, and sIgD, and HLA-DR. Unlike non-Leu 1 B cells, however, these cells express low levels of Leu 15 (C 3 bi receptor, CD 11), a finding also noted for malignant Leu 1 B cells from several patients with CLL. Between normal volunteers, there exists heterogeneity in the proportion of B cells that express Leu 1, Leu 1 B cells representing between 5 -50% of peripheral B lymphocytes. Despite such heterogeneity between unrelated individuals, analyses of repeated blood samples from the same person reveal the proportions of circulating Leu 1 B lymphocytes to be constant over time. Examination of blood samples from related family members, monozygotic twins and triplets, indicate that the level of circulating Leu 1 B cells may be genetically regulated. This is apparent even for monozygotic twins discordant for rheumatoid arthritis. Four sets of such twins are examined, each set having one individual with clinically-active, seropositive rheumatoid arthritis and another without detectable rheumatoid factor or clinical pathology. Despite such noted differences, twins from each set share identical proportions of circulating Leu 1 B cells. In summary, our studies indicate that the level of Leu 1 B lymphocytes is a rather stable phenotypic trait that is under genetic control.
  • HUEI-JEN SU HUANG, HIROMITSU NAKAUCHI, LEONARD A. HERZEN BERG
    1986 年 32 巻 4 号 p. 421-422
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    T細胞のみならず一部のB細胞にも表現されているLy-1は, リンフォカインリセプターとの関連でも注目されている分子である. 筆者らは, そのLy-1をコードする遺伝子をクローニングし, 分子遺伝学的背景からLy-1遺伝子の性状を解析した.
  • SAVERIO ALBERTI, LEONARD A. HERZENBERG
    1986 年 32 巻 4 号 p. 423-425
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    遺伝子トランスフェクションの効率を高めるため, 筆者らが考案したいくつかの方法を紹介する. また, FACSを用い遺伝子のアンプリフィケーションの細胞生物学的機構を解析した.
  • MICHAEL L. CLEARY
    1986 年 32 巻 4 号 p. 426-428
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    follicularタイプのB細胞リンパ腫の85-90%の例にt (14;18) の転座が見られる。転座のbreak pointを調べてみると, このcrossoverが14番染色体上の免疫グロブリン重鎖のJ遺伝子群をコードする領域であることが判った。14番目に転座してきた18番染色体上には, 6kbのproto-oncogeneをコードする遺伝子座 (bcl-2) が存在していることが明らかになった。
  • 中内 啓光
    1986 年 32 巻 4 号 p. 429-434
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    モノクローナル抗体とフローサイトメトリーによるimmuno-monitoringに加えて, 免疫グロブリン遺伝子, ならびにT細胞レセプター遺伝子を利用した分子生物学的方法を, リンパ球系腫瘍の起源とクローナリティーの解析に用いることを試みた. SJLとAKRマウスに自然発生した腫瘍を調べてみたところ, SJLでは腫瘍細胞はTHY-1陽性細胞とB220陽性細胞の両方から成っていること, T細胞の大部分はL3T4陽性細胞であるがLYT-2陽性細胞もあり, 多様な細胞群から構成されていることが明らかになった. しかし分子生物学的解析から免疫グロブリンの重鎖遺伝子の, クローナルな再構成が認められたことから, SJLに発生する腫瘍はB細胞由来で, T細胞はそれに反応して増殖しているものと考えられる. 一方AKRに発生する腫瘍はすべてTHY-1陽性であるが, T細胞の分化抗原であるL3T4, ならびにLYT-2の発現をみると, 各マウス間は勿論のこと, 同一マウスでも原発と転移先のリンパ節の間で一定の傾向が見られなかった. またT細胞レセプターの再構成のパターンから, 同一マウス内で異なる表面抗原マーカーを持っていても同じクローンである場合や, 表面抗原は同じでも, 異なるクローンであったりする場合があることが明らかになった. このように, 従来の細胞表面抗原による方法に加えて, 分子生物学的手法を用いた解析が, リンパ球系腫瘍のモニタリングに必要であると思われる.
  • 木梨 達雄, 原田 登之, EVA SEVERINSON, 田辺 利住, PASCHALIS SIDERAS, 小西 幹夫, 東 千尋, 富 ...
    1986 年 32 巻 4 号 p. 435-441
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    抗原刺激をうけたB細胞が抗体産生細胞にまで分化するには, T細胞やマクロファージの介助が必要とされている. この介助の中には細胞が分泌するリンホカインによるものがある. 従来そのようなリンホカインは, 機能的に増殖因子・分化因子に大別されている. 分化因子の一つT-cell replacing factor (TRF) は, 抗体分泌を誘導するリンホカインであるが, 同時に増殖活性も持つことが示唆されていた. TRFのこれらの生物活性を明らかにするため, TRF遺伝子のクローニングを行い, 遺伝子の単離に成功した. その結果, TRFはBCGF II活性も同時にもつことがわかり, 他の様々な生物活性も明らかになった. 以下, それについて述べてみたい.
  • 宮島 篤, 横田 崇, 武部 豊, 大塚 毅, 新井 直子, 新井 賢一
    1986 年 32 巻 4 号 p. 442-444
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    免疫応答に関与するリンフォカインのうち, とくに筆者らがその遺伝子クローニングに成功したIL-4遺伝子の解析を通じ, 各種の細胞から産生されるリンフォカインの分子遺伝学的解析に関して解説した.
原著
  • 伊藤 謙三
    1986 年 32 巻 4 号 p. 445-455
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    脊髄機能を知る方法として脊髄誘発電位の測定の必要性は, 脊椎外科の進歩と共に高まりつつある. この電位の変化に脊髄内血流量が, いかに関与しているかを知るために以下の実験を行った. ネコ脊髄を用い, 長軸方向への牽引負荷を加えることによる, 脊髄誘発電位の変化と血流量の変化を検討した. 脊髄誘発電位はL1硬膜外後面より刺激し, C2硬膜外後面で記録する上行性の波型の観察を行った. 刺激強度は閾値の2倍から3倍とした. 血流量は水素クリアランス法により, 頸椎後索部位にて経時的に記録を行った. 脊髄誘発電位は基本的には二つの波型から構成されている. 負荷を加えることにより, 潜時の延長傾向, 波型持続時間の延長を認める. さらに負荷を加えることにより, 大多数に一過性波高増大を認める. これに引き続き, 急に波型の消失傾向を認める. 血流量は非負荷時平均10.3ml/min/100gであった. 一過性波高増大時には, 血流量は約50%となっている. 波型消失時には血流を認めない. また, 脊髄波の変化を4群に分け, 非可逆性の変化を検討した. 一過性波高増大は注意信号であり, 続いておこってくる波高の減少, 約50%までの変化が脊髄誘発電位の可逆性の変化と思われた.
  • 島口 晴耕
    1986 年 32 巻 4 号 p. 456-468
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    胆道癌の診断成績・臨床病理学的事項, および治療成績を検討し以下の成績を得た. (1) 臨床症状では早期癌に局所症状, または全身症状A群を認め, 進行癌切除不能例に全身症状B群が多い. 病悩期間は進行癌に比べ早期癌で短い. また, 胆管癌では早期癌でも血液生化学検査の異常が, 診断の手がかりになることがある. (2) 胆管癌の17%・胆嚢癌の75%に胆道結石の合併を, また胆管癌, および胆嚢癌の7%に膵胆道合流異常の合併がみられた. 癌の大きさからは1cm以下の病変はすべて早期癌であり, 肉眼所見からは平坦型, および乳頭型の病変に早期癌が多く, 今後早期診断の目標とすべきである. (3) USおよびCTの胆道癌直接所見の描出率は, US67%・CT56%と悪い, PTCまたはERCPによる直接胆道造影の充盈法では, 胆管癌の95%・胆嚢癌の77%を診断した. 充盈法により見逃された胆管癌のうち2例は, 胆道二重造影により診断された. 血管造影では胆管癌の79%. 胆嚢癌の94%を診断したが, 早期癌の診断に難点がある. (4) 胆道癌浸潤の診断は血管造影が最も優れており, US・CT, および直接胆道造影法の診断精度は低い. (5) 予後の検討, および文献的考察から, 胆管癌ではm癌とpm癌, 胆嚢癌ではm癌・pm癌, およびss-RAS癌に長期生存例が多く, これらを早期癌と定義するのが妥当である.
  • 加治 文也
    1986 年 32 巻 4 号 p. 469-478
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ルーチンX線検査を14,703例に行い, うち2,566例 (17.5%) に内視鏡検査を施行した. 癌発見の実態を各ルーチンX線診断別にみると, 癌と診断した82.9%は正診であった. 癌の疑いとした13.1%が癌であった. (2) ルーチンX線診断の病変のひろいあげと, その診断の確かさを部位別に検討すると, 前壁では, 明らかな病変しかひろいあげできず, 小弯や後壁では, 小さな異常所見までよくひろいあげているが, 読み過ぎが多かった. (3) 進行癌を見逃さないためには, X線診断上, 潰瘍・良性隆起性病変, 軽微な所見までひろいあげる必要があった. (4) 早期癌の見逃しは26病変あり, このうち多発癌が54%を占め, 多発の要素が見逃しの最大の要因であった. 部位別にみると, 前壁の見逃し率が38.9%と最も高かった. また, 小弯や後壁では読影ミスが多く, 前壁には良い写真の撮れない例が多かった. (5) 単発早期癌のX線診断内容を大きさ別に検討した. また (6) ルーチンX線診断の胃癌発見率の向上を計るには, 前壁に新たな撮影法の導入が必要であり, 胃癌発見の効率化を進めるには, 小弯・後壁の読み過ぎを少なくする工夫が必要である.
  • 石岡 知憲
    1986 年 32 巻 4 号 p. 479-490
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    硫酸多糖類の一つであるAmylopectin Sulfate (APS) は, 減成カラゲニン同様に各種の実験動物の結腸に, 潰瘍性病変を示すことが知られていた. しかし, APSの発癌性については報告がなかった. 今回, APSの発癌性とその初期病変について, ラットを用い検討した. この実験では, 生後8週令F344雄性ラットに, 5% W/W APS含有飼料を3カ月・6カ月・9カ月間各々投与後, 基礎飼料にもどし, 実験開始12カ月後に屠殺剖検した. その結果, ラット結腸直腸にそれぞれ10%, 45%, 60%の率で, 腺腫および腺癌の発生をみた. 腫瘍はいずれも隆起性病変であった. 広基性腺癌は, 有茎性病変に比べAPS長期投与群に多く, 小型で浸潤性発育の傾向が強くみられた. またAPS投与全例に, 歯状線部より連続性に上行する扁平上皮化生を認めた. その初期病変は表層性びらんとその再生像であり, 次いで扁平上皮化生へと移行するようであった. なお, 光顕的変化の出現以前から, 電顕的に上皮の破壊・変性像がみられた. APSはサルモネラ菌 (TA100および98) に対し, 減成カラゲニン同様に突然変異原性を示さなかった. 以上の結果より, APSは減成カラゲニンと病変部位・病態の推移などがほぼ同一であり, 他の発癌性硫酸多糖類と同じ範ちゅうに入れられると考えられる.
  • 中里 祐二
    1986 年 32 巻 4 号 p. 491-500
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    室房伝導が存在する場合, 血行動態面での悪影響や, 心房同期型心室ペーシング (VDD, DDD) の際のpacemaker mediated tachycardia (PMT) の原因になるという問題点が指摘されている. そこで, 洞機能不全症候群 (SSS) 48例と, 房室ブロック (AVB) 104例の計152例を, 室房伝導の頻度とその意義について臨床電気生理学的検討を加えた. 室房伝導の頻度はSSSで31%, AVBで11%であり, SSSで高率であった. AVBではブロックの程度が重症になる程, その頻度は減少した. ブロック部位別では, A-Hブロックでは全く認められず, 下位に移行する程頻度は高率であった. 室房伝導存在例では, 存在率で21%-100%の幅を認め, 動揺する傾向を認めた. 室房伝導時間は, SSS216msec, AVB216msecと両群間に差はみられず, また両群とも, 室房伝導時間のほうが房室伝導時間より延長する傾向を認めた. 室房伝導存在群と非存在群間には, 電気生理学的検査所見で, 有意差は認めなかった. 慢性心房細動の発生はSSS32%, AVB11%とSSSで高く, 室房伝導を有する例でより高い傾向を認め, 塞栓症の発生はSSSで5.4%, AVBで3%と比較的少ないが, 大半の例が心房細動を合併していた. 以上より, SSSでは室房伝導の頻度が高く, 塞栓症の原因となりうる心房細動発生の一因ともなり, 一部の機種ではPMTを誘発する可能性があるため, ペースメーカー治療の際, 室房伝導の存在について留意する必要があると考える.
てがみ
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