順天堂医学
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29 巻, 1 号
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目次
Contents
特集 悪性腫瘍の画像診断
原著
  • 渡辺 和子
    1983 年 29 巻 1 号 p. 59-70
    発行日: 1983/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    ニワトリ砂胃筋筋原繊維の収縮とミオシン軽鎖のリン酸化との関係を調べた. 1. 平滑筋筋原繊維をATP, MgCl2, CaCl2の存在下30℃で2時間反応させると, 収縮し, ミオシン軽鎖は, 内在性の軽鎖キナーゼによってリン酸化される. 2. それを一夜放置するとリン酸化された軽鎖は, 内在性の軽鎖ホスファターゼによって脱リン酸化されるが弛緩はおこらない. 3. 弛緩している対照の筋原繊維のATPase活性は, リン酸化した筋原繊維およびリン酸化一脱リン酸化した筋原繊維より高い活性を示した. リン酸化-脱リン酸化して, なお, 収縮している筋原繊維のATPase活性とリン酸化した筋原繊維の活性は, 全く同様であった. 平滑筋ミオシンの軽鎖のリン酸化は, 筋原繊維のMg2+-ATPaseの活性化には関係なく, 収縮の状態によって影響される現象が観察された. 4. リン酸化-脱リン酸化したミオシンによる超沈殿顆粒は, 0.6M NaClに溶解しなかった. 一方, リン酸化したミオシンの超沈殿顆粒および対照のミオシンのアクトミオシンゲルは同じ条件では容易に溶解した. 5. 上記の結果は, 砂胃平滑筋筋原繊維中のアクトミオシン系のリン酸化-脱リン酸化の過程が, アクチン-ミオシンの結合を強めることを示唆している.
  • 小山 治
    1983 年 29 巻 1 号 p. 71-86
    発行日: 1983/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    特発性心筋症 (ICM) は原因又は原因となり得る疾患との関連の不明な心筋疾患と定義されており, 従ってその診断には種々の二次性心筋症を除外する事が必要である. しかし特に最近患者の高齢化等により, 虚血性心疾患, 高血圧性心疾患等の合併を来たす事が予想され, 一時点においてICMと診断する事は臨床的検査法の進歩した今日においても困難な場合がある. したがってICMが疑われる患者について各種の検査を施行する事はもちろん, 広範な家系調査を行い長期間観察を続ける事は, 発端患者の確診を得るためにも, 潜在患者の早期発見のためにも重要である. 今回兄妹5人すべてに心異常が認められ, そのうち4人が心原死した心筋症の一家系についてその家系調査と長期間の観察を行い, 心電図変化, 生活様式を主とした臨床所見と, 剖検例および生検例の病理学的所見について比較し, ICMの遺伝的要因, 病態の発生進展等につき検討した.
  • 楠岡 修身
    1983 年 29 巻 1 号 p. 87-98
    発行日: 1983/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    巨大陰性T波を呈する高血圧非合併群25例, 合併群10例を選び正常群20例を加え心エコーによる検討を行った. 巨大陰性T波群 (GNT群) は心基部で心室中隔厚≧15mm, 心室中隔厚/左室後壁厚≧1.3の基準で心尖部肥大型群 (APH群) 14例, 非対称性中隔肥大+心尖部肥大型群 (ASH with APH群) 11例, ASH with APH型で高血圧合併群10例に分類し各種パラメーターを使用して各群間の心機能の相違を検討した. 更にAPH群8例, ASH with APH群10例, 高血圧合併群9例, 正常群20例を選び超音波左室短軸断層像の腱索レベル (base), 乳頭筋先端レベル (middle), 乳頭筋基部レベル (apex) の3断面で拡張終期にポラロイド撮影しDigitizer apple II用マイクロコンピューターで全周面積, 心筋面積, 内腔面積を求めその面積比から左室内腔の狭小化の程度や心基部から心尖部にかけての壁肥厚の不均一性と巨大陰性T波の深さとの関連を検討した. GNT群では心基部から心尖部にかけての内腔の狭小化が著しく特にASH with APH群で顕著である. 心筋面積のapex/baseと最も深いGNT (mm) /その誘導のR波高 (mv) との相関を求めた. Y=2.39×+0.593, r=0.68, n=18, P<0.01であり, R波高で補正したT波の深さと心尖部心筋面積/心基部心筋面積との間には有意な相関が認められた. APH群およびASH with APH群の心尖部心筋面積の増大は心室中隔, 自由壁の肥厚および乳頭筋の肥大によるものである. そのうち主なものは乳頭筋の肥大であると考える.
症例報告
  • 菅谷 直樹, 橋本 博史, 塩川 優一, 佐藤 英俊
    1983 年 29 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 1983/03/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチに続発性アミロイドーシスを合併した1剖検例を報告する症例は, 56歳, 女性で, 4年以上当院外来にて慢性関節リウマチ (stage IV, class 3) (以下RA) として経過観察中であったが, 昭和56年12月腹痛, 嘔気, 嘔吐を主訴として入院した. 入院時, 軽度の意識障害と著明な脱水を認めたが, 腹部腫瘤等は認めなかった. 検査所見では, Total-proteinの著明な低下と, BUN, creatinineの上昇を認めた. 腹部症状の発現が急激であること, またRAが基礎疾患として存在していたことよりmalignant RAが疑われた. 抗生物質, 補液, プレドニソロン等で全身状態の改善をはかったが, 意識状態徐々に低下, また腎不全も進行, 肺炎を併発し, 死亡した. 死後, 解剖を行った. その結果, 関節にはフィブリン沈着やリンパ球の浸潤がありRAの所見がみられたが, 脳, 心, 肺, 肝, 腎, 脾, 消化管などほとんどの臓器の中-小血管内腔に著明なアミロイド沈着を認め, RAに続発性アミロイドーシスを合併したものと診断された. 従来RAに続発性アミロイドーシスは合併しやすいとされていたが, 系統的にアミロイドの検索がなされた例は少なく, さらにその経過は5-10年と長期にわたるとされているにもかかわらず本症例は約1カ月ときわめて短かく, 臨床的にはmalignant RAが疑われた症例であり, 今後malignant RAの診断には続発性アミロイドーシスとの鑑別も必要であることを示唆する1例と思われた.
速報
抄録
てがみ
編集後記
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