順天堂医学
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56 巻, 2 号
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目次
Contents
原著
  • 柘植 俊直, ウィグノ プロドジョスドジャジ, モハマド ヨギアントロ, 来栖 厚, 大澤 勲, 小林 則善, 清水 芳男, スハードジョノ ...
    2010 年56 巻2 号 p. 100-106
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    背景 : 慢性腎臓病 (CKD) は, IgA 腎症やループス腎炎などの慢性糸球体腎炎, 糖尿病腎症や腎硬化症など, 全ての慢性腎臓病を含んだ疾患概念である.CKD は末期腎不全 (ESKD) の準備状態であると同時に, 心血管疾患 (CVD) の重大なリスク因子であることが明らかとなっている.アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) は, 降圧薬として広く用いられているが, 両薬剤の腎保護効果にも注目が集まっている.今回, 順天堂大学とインドネシア大学, アイルランガ大学は, 高血圧を伴うCKD 患者におけるACE阻害薬イミダプリルの尿蛋白減少効果を検討する共同研究を行った. 方法 : 23名の高血圧を伴うCKD 患者にカルシウム拮抗薬 (CCB) とイミダプリルを投与し, 腎機能と尿蛋白量の変化を治療前後で比較した.CCB を投与している患者にイミダプリルを追加投与 (5mg/日) し, 血圧が目標値 (130/85mmHg未満) に達しなかった場合には, さらにイミダプリルを10mg/まで増量し, 投与後12 ヵ月で評価した. 結果 : CCB にイミダプリルを加えることによって, 6 ヵ月後・12 ヵ月後の収縮期血圧および拡張期血圧は有意に低下した.尿中アルブミン排泄量は, 投与開始時には顕性蛋白尿レベル (0.3g/g・Cr以上) であったが, 6 ヵ月後・12 ヵ月後は共に微量アルブミン尿レベル (0.299g/g・Cr 以下) にまで有意に減少した. 結語 : イミダプリルとCCB の併用によるCKD 患者の腎保護効果を, 順天堂大学とインドネシア大学, アイルランガ大学の共同研究により検討した.イミダプリルを軸とした治療により, CKD患者の血圧は有意に低下し, 尿中アルブミン排泄量は有意に減少した.以上より, イミダプリルは高血圧を伴うCKD 患者において, 腎保護的に作用することが確認された.
  • 青木 竜弥, 金子 滋, 谷本 光生, 萩原 晋二, 村越 真紀, 石川 祐史, 古川 雅子, 合田 朋仁, 堀越 哲, 富野 康日己
    2010 年56 巻2 号 p. 107-115
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    目的: ヒト糖尿病腎症の発症・進展には遺伝因子の関与が考えられているが, 疾患として不均一であるため, 責任遺伝子座の同定は困難である. 今回, 遺伝的に均一な2型糖尿病腎症モデルマウスであるKK-Ay/Taマウスを用いて量的形質座位 (QTL) 解析を行うことで, 腎症の候補遺伝子座について検討を行った. 対象: KK-Ay/TaマウスとBALB/cAマウス 方法: (KK-Ay/Ta×BALB/cA) F2 intercrossマウスを270匹作製し, 8, 12, 16, 20週齢におけるHbA1c, 尿中アルブミン/クレアチニン比 (ACR), 空腹時体重を測定した. 85個のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝子型を決定し, QTL解析を行った. 結果: 20週齢のACRに関連した遺伝子座は染色体9番にみられ, suggestiveな連鎖が認められた. 8, 20週齢のHbA1cに関連した遺伝子座は染色体7番, 8, 12週齢の空腹時体重に関連した遺伝子座は染色体1番にみられ, ともにsignificantな連鎖を認めた. これらの遺伝子座は, これまでに報告されている責任遺伝子座とは異なっていた. 結論: KK-Ay/TaマウスのQTL解析により, 新たな糖尿病腎症疾患感受性遺伝子座が同定された. ACRに関与する遺伝子座とHbA1cを規定する遺伝子座とは異なった位置にあるが, 両者は相補的に関与している可能性が示唆された.
  • 動脈硬化リスク因子および発症から入院までの日数との関連
    馬島 英輔, 卜部 貴夫, 服部 信孝, 稲葉 裕
    2010 年56 巻2 号 p. 116-122
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    目的: 順天堂医院に入院した脳梗塞患者の病型別の頻度およびリスク因子を明らかにし, 入院までの期間との関連性の検討を目的とした. 対象と方法: 2003年1月1日から2005年12月31日の期間に, 脳梗塞で当院脳神経内科に入院した65歳以上の362例を対象とした. その中で血栓性脳梗塞 (ラクナ脳梗塞・アテローム血栓性脳梗塞) と塞栓性脳梗塞 (心原性脳塞栓症) とで, メタボリックシンドローム (以下MetS) を構成する動脈硬化のリスク因子との関連性を検討した. 次に血栓性脳梗塞と塞栓性脳梗塞とで, 発症-来院までの日数を, 発症から2日以内 (以下48時間未満) と2日-7日とで関連性を検討した. さらに年齢・性別との関連性を検討した. 結果: 脳梗塞の病型と動脈硬化のリスク因子との関連性は, 高血圧の既往歴が血栓性脳梗塞で多く, 有意差がみられたが, 他のリスク因子・およびその組み合わせとでは有意差がみられなかった. また動脈硬化のリスク因子別の発症-来院までの日数と脳梗塞の病型とでは, 関連性を認めなかった. 脳梗塞の病型と発症-来院までの日数との関連性では, 48時間未満の来院が血栓性脳梗塞で177人/238人 (74.4%) に対し, 塞栓性脳梗塞で52人/55人 (94.5%) と早期に来院する傾向があり, 有意差を認めた. さらに性別・年齢別に関連性を検討すると, 全年齢・男女の合計で有意差を認めた. 考察: 対象となった脳梗塞がMetSを構成するリスク因子との関連性が低いこと・高血圧との関連性が示された理由は, 穿通枝系の脳梗塞症例の多さ, 大規模な疫学研究とのデザインの違い (横断研究である), 大学病院の症例である (重症例が多い) 等が考えられた. 脳梗塞の病型と発症-来院までの日数とに関連性があり, 塞栓性脳梗塞での早期の来院が明らかな理由は, 塞栓性脳梗塞の症状が突発的に完成し, 早期より明確に診断しやすいことによると考えられた.
  • 小田 啓介, 山路 健, 杉本 郁, 高崎 芳成
    2010 年56 巻2 号 p. 123-129
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    目的: 関節リウマチに対する白血球除去療法 (LCAP) の有効性は諸施設により報告されている. われわれはRAに対するLCAPの治療効果のメカニズムを解明するうえで有用となる動物実験モデルを作製したため報告する. 対象および方法: 結核死菌を皮内投与し, アジュバント感作した8週齢のLEWラット16例を治療群および対照群に分けた. 動物実験用のミニカラムを用いたLCAP群と非施行群で, 関節腫脹および骨破壊の抑制効果について比較検討を行った. 結果: LCAP施行群では非施行群と比較して有意に関節腫脹及び骨破壊を抑制した. 結論: 今後, 効果のメカニズム解明に有用な動物実験モデルであることが示唆された.
抄録
報告
4病院がん治療センター報告
順天堂医学原著論文投稿ガイドライン
順天堂医学投稿規定
編集後記
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