順天堂医学
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25 巻, 4 号
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目次
Contents
特集 免疫学的視点からの血漿交換療法
原著
  • 渡辺 勇
    1979 年 25 巻 4 号 p. 450-473
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    腸管型Behçet病の潰瘍病変は多発性で, 円形で深く, 腸間膜の反対側に見られ, 好発部位は回盲部である. 病理組織学的に, 潰瘍は結合組織性反応, 特に膠原線維の増生が弱く, fissuringを伴う非特異性炎症性潰瘍である. 本症の主潰瘍病変は, その潰瘍底の組織学的所見から, 壊死型 (急性潰瘍), 肉芽型・混合型 (慢性潰瘍) の3型に分類でき, また副潰瘍は小さいながら深く, 多くは小腸に, fissuring型の炎症性潰瘍と瘢痕治癒期の潰瘍とが見られる. 本症の潰瘍に見られる血管病変は, 対照例 (腸結核・クローン病・潰瘍性大腸炎) と基本的に同じく, いずれも静脈病変が目立ち, 静脈内膜の増殖性肥厚, 血栓形成, 動脈内膜の線維性肥厚として把握され, 罹患血管の太さは100から300μに集中している. 血管病変は, 潰潰の大きさと無関係に潰瘍周辺部に限局して見られ, 特に慢性期に相当する肉芽型では壊死型に比し強く, 潰瘍の時間的推移と密接な関係がある. しかしながら, 血管病変はU1-IIより浅い潰瘍にはなく, 潰瘍の深さが血管病変発現の為の重要な因子であると考えられる. また非潰瘍部あるいは糜爛のある粘膜下組織には血管病変がなく, リンパ管の拡張, 静脈のうっ血, 浮腫, 浮腫性硬化が見られるにすぎない. 結局, 腸管型Behçet病の潰瘍周辺に見られる血管病変は, 二次的なものであろうとの結論に達した.
  • 島尾 三郎
    1979 年 25 巻 4 号 p. 474-481
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    近年, 甲状腺疾患の補助診断法として, 甲状腺造影法 (甲状腺リンパ管造影法) が普及しつつある. イヌ甲状腺と剖検材料を用いた実験的研究において, 注入造影剤の適正量を決定した. 更に臨床例における造影手技に若干の工夫を加え, 本法の成功率を高めた. 6年間に75例の臨床例に甲状腺造影を施行し, 造影所見, 手術材料の肉眼所見及び病理組織診断の関連性に検討を加えた. 造影所見を, cystic pattern, lobular pattern, solid patternの3基本型と混合型に分類し, 診断の有力な手掛りとなることを知った. 更に24時間後の所属リンパ節の造影所見が, 良性腫瘍と悪性腫瘍とでは異ることを知った. 本法は甲状腺の腫瘤性病変を形態学的に診断する上で有力な方法といえる.
  • 千治松 洋一
    1979 年 25 巻 4 号 p. 482-491
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    Adult Respiratory Distress Syndromeといわれる急性非心原性肺水腫について近年深い関心がはらわれている. このモデルとしてアロキサン肺水腫を作成し, その病態生理におけるProstaglandinの関与について検討した. 実験には雑種成犬17頭を使用した. 肺リンパ液が流入する右胸管にカテーテルを入れ, アロキサン (150mg/kg) 静注により肺水腫が生じたときの, 右胸管リンパ液・動脈血を採取し, PGF2α代謝産物である15-Keto13, 14 dihydro PGF2α (PGF2α-M) をRIAで測定した. 肺水腫発生により, PGF2α-M値は, 右胸管リンパ液では1.19±0.43から3.38±0.95ng/ml (P<0.0125) と上昇し, これは肺水腫時の気道内分泌液中PGF2α-M値とほぼ等しかった. 動脈血では, 0.75±0.17から2.96±0.90ng/ml (P<0.05) と上昇した. リンパ流量も3.3±0.7から17.8±4.3ml/hと増加した. lymph/plasma蛋白濃度比は, 0.56から0.86と増加した. 電顕では, 間質の浮腫・I型上皮細胞の剥離・毛細血管内皮細胞のpinocytotic vesicleの増加, 空胞変性が見られた. 以上の成績から, アロキサン肺水腫においてはPGF2αの前駆物質であるPGendoperoxide, またはPGF2αの産生が増加しており, これが肺水腫時の肺動脈血・気道内圧上昇に関与しているという結論をえた. また電顕所見より, アロキサン貯水腫の発生には, 血管内皮細胞の障害だけでなく, I型肺胞上皮細胞の障害も関与していることを証明した.
総説
  • 富野 康日己
    1979 年 25 巻 4 号 p. 492-501
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    糸球体腎炎の分類は, 今日一応の形態を整えてきているが, 今なお不十分なものである. その大きな理由の一つは, これらの分類が病変の原因に基づいたものでないという点にある. 今日, ヒトの糸球体腎炎の多くが糸球体を場とした免疫現象によって引き起こされる病変であることは異論のない点であり, 免疫学的基盤に基づく明確な分類の必要性にせまられている. しかし, このような免疫学的分類と臨床症状や組織像によった在来の分類との不一致が, 現在の糸球体腎炎における混乱の一因とも考えられる. 今回, 在来の臨床的分類・病理組織学的分類, 並びに免疫組織学的所見の各々を検討し, 更にこれら三者の相互の関連性を検討した. これら三者は複雑に関連し, 必ずしも一対一の対応を示すものではなく, これら相互の関連性をclear cutに表現することは仲々困難であった. しかし, 臨床症状および経過の正しい把握の上にたって, 免疫学的研究に基づいた形態学的検索をすすめていくことは, 糸球体腎炎の診断・治療の選択・予後の判定, 更にはその発生機序を明らかにする意味で重要と思われる.
抄録
てがみ(パーキンソン病とパーキンソニズムの異同)
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編集後記
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