順天堂医学
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44 巻, 1 号
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目次
Contents
特集 順天堂大学医師会産業医研修会
  • 福渡 靖
    1998 年 44 巻 1 号 p. 2-10
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    産業保健体系の全体像を示し, その中での産業医活動を説明した. 基本法律である労働安全衛生法に示されている事業者・産業医・衛生管理者・作業主任者, 労働者からなる産業保健体系を示した. 労働者の健康を確保することが産業保健活動の基本である. 労働者の健康確保とは, 職場で元気で働ける条件を整えることである. 労働衛生管理は, 作業環境管理・作業管理・健康管理の三管理を中心に, 健康教育の徹底と管理体制の確立をすることで行われるものである. 事業評価を行う必要性がある. 産業保健活動は, 健康管理部門のみで確保できるものではなく, 人事管理部門・労務管理部門など事業場全体が連携して効果を挙げるものである. 産業医については, 資格要件・職務・職場巡視の意義について述べた. 最後に, 組織として活動するに当たっての留意点をまとめた.
  • 荘司 榮徳
    1998 年 44 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
  • 荒井 稔
    1998 年 44 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    現在の就業環境としては, 高度情報化・対人関係の希薄さ・仕事の繁忙などの要因が複合して高いストレス状況にあると考えられる. Total Health Promotion Plan (THP) によって就業者の心身の健康が維持・増進されるようになっているが, 心の健康を損なう者も全就業者のおよそ1%存在し, 適正な障害発生の予防および障害への対処が必要である. 小論では, 職場でしばしばみられる精神障害の事例を呈示し, 事例の対応について, 上長・勤労担当者・産業医・産業精神科医・看護職・心理職, および中央労働災害防止協会が養成している心理相談担当者などの役割・連携について検討を加えた.
  • -糖尿病をいまどう捉えるか-より早期からの管理を-
    河盛 隆造
    1998 年 44 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    糖尿病を発症した直後からの管理が益々重要になることから, 早期発見が望まれる. 検診で糖尿病を発見するためには, 必ず朝食や昼食飽食後の2時間以上たった最初の尿で, 尿糖の有無をチェックすべきであろう. そして糖尿病を発見したら, 直ちに糖尿病についての教育と治療が必要となることから,“糖尿病と診断した医師の責任は重大”となる. 発症の引金となった環境因子を除去することにより, 一度水面上にでてきた病気を再び水面下におしもどすことは, この時期においては決して難しいことではない. あるいは, いつまでも軽症でいるように, 食事, 歩行, 薬物療法を駆使することが望まれる. たとえ病状が進展していても, きめ細かく治療を行うことにより, インスリン分泌能もインスリン感受性もダイナミックに変動し, 優れた血糖管理が可能となることから, 外来診療における緻密な管理 (体重・血圧・脂質などを含めて) の継続が,“糖尿病患者を診る”こととなる.
  • 師岡 正年
    1998 年 44 巻 1 号 p. 33
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
原著
  • 河野 洋子, 宮腰 由紀子, 松岡 恵, 茅島 江子, 麻生 武志
    1998 年 44 巻 1 号 p. 34-46
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    更年期症状に伴って生じるとされる日常生活の支障について, その実態を明らかにし, 支障を軽減するための生活指導のあり方を検討するため, 今回は生活行動に生じる支障の実態, 因子構造および関連要因を分析した. 更年期外来を受診し, 更年期症状を有し, 他の疾患をもたない女性129人を対象とした. まず予備調査として更年期外来受診者に半構成的面接法にて日常生活に生じた支障を聴取した・その結果をもとに質問紙を作成し, 本調査を行った. 本調査は自己記入式質問紙法で調査内容は年齢, 職業, 同居家族, 日常生活の支障および更年期症状 (SMI) であった. その結果, 次のことが明らかになった. (1) 更年期症状の強さ (軽症・中等・重症) と全ての生活行動に生じる支障との間に有意な関連があり, 軽症群の生活行動に生じる支障は軽く, 重症群になるにつれて強くなっていた. (2) 生活行動に生じる支障の因子分析により, 『外出行動のつらさ』, 『家事に対する負担感』, 『家事・仕事の処理能力の低下』の3因子が抽出された. (3) 『外出行動のつらさ』と有意な関連のあった変数は, 〈疲れやすい〉, 〈寝つきが悪い等〉, 〈汗をかきやすい〉, 〈頭痛. めまい等〉および〈拡大家族〉であった. (4) 『家事に対する負担感』と有意な関連のあった変数は, 〈くよくよ・憂うつ〉, 〈汗をかきやすい〉および〈疲れやすい〉であった. (5) 『家事・仕事の処理能力の低下』と有意な関連のあった変数は, 〈疲れやすい〉, 〈くよくよ・憂うつ〉, 〈汗をかきやすい〉, 〈三世代家族〉および〈自営業〉であった. 以上の結果から, 生活行動に生じる支障を軽減するためには, 適度な運動や外出を楽しむ工夫, 家事を効率よく意欲的に行う工夫, 仕事や家庭での役割をゆとりをもって遂行していくための生活指導の重要性が示唆された.
  • -順天堂大学浦安病院救急外来を受診した症例の検討から-
    辻 昌宏, 江渡 江, 高木 一郎, 一宮 洋介
    1998 年 44 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    目的: 総合病院無床精神科における精神科救急の機能と役割を検討した. 対象: 順天堂大学浦安病院における1996年度の救急外来受診患者全体を対象とした. 方法: 救急外来受診患者のうち精神科疾患が関連したと思われる患者を抽出し, その臨床統計をまとめた. 結果: 精神科関連疾患患者は, 総合病院有床精神科と同程度みられた. 中でも当科通院中でない患者が多いことから, 当院の地域基幹病院としての役割が示された. 疾患は神経症圏が多かった. 対応科は精神科よりも内科などの他科が多く, 当科の救急医療は他科の協力の下に行われていることが明らかとなった. また, 地域医療ネットワークの整備, 院内の精神科医療の啓蒙活動が今後の検討課題である. 結論: 今後, 総合病院無床精神科における救急の需要は増大することが予想され, 当科が精神科救急の一端を担うための今後の課題が明らかとなった.
  • 関塚 桂子
    1998 年 44 巻 1 号 p. 54-62
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症患者における糸球体細胞外基質 (ECM) の発現と糸球体病変の変化について, 蛍光抗体法的観察を行い検討した. 微量アルブミン尿群・顕性蛋白尿群のどちらにおいても, IV型コラーゲン・ラミニン・フィプロネクチンが糸球体毛細血管壁, ならびにメサンギウム領域・尿細管基底膜に認められた. 微量アルブミン尿群における腎の組織学的変化は, 顕性蛋白尿群とほぼ同様であった. 糖尿病性腎症において, 細胞外基質成分の過剰産生, およびそれらの蓄積は, 早期 (微量アルブミン尿期) からすでに出現し, 糸球体障害に関与していると思われた.
  • 住田 浩之
    1998 年 44 巻 1 号 p. 63-70
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    目的: 胎生期のアンドロゲンは, マウスの下腹神経節hypogastric ganglion (HG) の神経細胞死を抑制する. 本実験ではこの抑制機構を明らかにする目的で, TdT-mediateddUTP-biotin nick end-labeling (TUNEL) 法を用いて, 核内のDNA断片化を直接かつ特異的にin situで検出した. 対象と方法: 動物はICR系妊娠マウスを使用し, 腟栓が確認された日を妊娠0日と定義した. 妊娠14日または14および16日の母マウスにtestosterone propionate (TP) 8mgを投与し, 妊娠17, 19または生後2日に安楽死させた. 摘出した胎仔および新生仔HGの横断切片は, TUNELまたはヘマトキシリン-エオジン染色した. 成績: 妊娠17日では, 対照群の雌に比べて雄およびTP投与群の雌との間にはHGの神経細胞数に有意な差は認められなかったが, TUNEL染色陽性細胞の出現頻度は対照群の雌に比べて雄では有意に低く顕著な性差を示し, 妊娠14日にTPを投与した雌も雄と同様低い値を示した. 妊娠19日では, HGの神経細胞数は雄およびTP投与群の雌と対照群の雌の間に有意な差が認められ, 対照群の雌で有意に少なかったが, TUNEL染色陽性細胞の出現頻度は対照群の雌で雄と比べて有意に高く顕著な性差を示し, 妊娠14および16日にTPを投与した雌は雄と同等の低い値を示した. 生後2日では, HGの神経細胞数は対照群の雌で, 対照群の雄および妊娠14および16日にTPを投与した雌と比較して有意に少なかったが, TUNEL染色陽性細胞の出現頻度は3群で有意な差は認められなかった. 結論: 以上の結果から, 胎生期のアンドロゲンは出生前のマウスHGの神経細胞に起こるアポトーシスを抑制し, この神経節の神経細胞数に性差を生ずることが明らかになった.
  • 吉田 学, 三浦 右子, 桑原 慶紀, 広瀬 幸子
    1998 年 44 巻 1 号 p. 71-81
    発行日: 1998/06/10
    公開日: 2014/11/18
    ジャーナル フリー
    B細胞にはlineageの異なるB1細胞とB2細胞が存在する. B2細胞は成人に多く, 獲得免疫に際しT細胞依存性に高親和性抗体を産生するB細胞であるのに対し, B1細胞は胎児や新生児に多く, T細胞非依存性に低親和性IgM自然抗体を産生する. この自然抗体には病原微生物と反応する抗体が多く, 免疫系の未熟な胎児や新生児において感染に対する初期防衛反応に重要な役割を果たす. 臍帯血B細胞の大部分は細胞表面にCD5分子を低発現したB1細胞から構成されている. 今回, われわれは臍帯血B1細胞について, 各種のB細胞表面分子の発現レベル, ならびにB細胞の活性化に重要なCD40分子を介した刺激によるFas抗原の発現度, アポトーシス感受性などの変化を解析し, 以下の結果を得た. (1) 未刺激臍帯血B1細胞は, ほぼ全ての細胞がIgDおよびIgMを高発現するnaiveB細胞の性格を持っており, 成人末梢血B細胞に見られるようなmemory細胞や活陛化B細胞は殆ど認められなかった. (2) 細胞表面CD40分子の発現は成人末梢血B細胞と同レベルに認められ, 抗CD40抗体による刺激でFas発現の増強が認められた. この際, 成人末梢血B細胞は全てがFasを高発現したのに対して, 膀帯血B1細胞にはFas高発現と低発現の2群が認められた. (3) 臍帯血B1細胞のFas高発現群はFasを介したアポトーシスに感受性であるのに対して, Fas低発現群はアポトーシス抵抗性であった. (4) IgM自然抗体産生B細胞を検索したところ, その大部分はFas低発現性アポトーシス抵抗性B1細胞亜群に含まれていた. 以上の所見から, 従来均一なnaive B細胞群から構成されていると思われていた臍帯血B1細胞に, 今回, Fas発現能に差のある少なくとも2亜系の細胞群が存在し, しかも, 自然抗体はFas低発現のアポトーシス抵抗性亜集団から産生されていることが明らかとなった. これら自然抗体産生B1細胞は, 胎生期に自己抗原と交差反応性を持つ抗原受容体を介して既に刺激されている細胞系であると考えられた.
報告
抄録
てがみ
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編集後記
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