New Zealandマウスに好発するB細胞性慢性リンパ性白血病 (B-CLL) の発生が主要組織適合遺伝子複合体 (MHC, マウスではH-2) の特定のハプロタイプによって統御されていることを明らかにした. B-CLL好発系は, H-2
z/H-2
zホモ接合体New Zealandマウスであり, 加齢に伴い末梢血にCD5陽性B細胞の増殖が認められた. これらのB細胞は徐々にoligoclonalからmonoclonalへと変化し, 結果的に可移植性のCD5
+B-CLLが発生した. proto-oncogene
bcl-2の発現について調べたところ, B-CLL細胞はもとより, oligoclonaiな前癌状態の細胞においても発現増強が認められた. このことから, アポトーシスを免れた長期生存可能なCD5陽性B細胞が自己増殖する過程において, 形質転換するものと考えられた. 以上の結果から, このモデルマウス系はB-CLL発生に関与する遺伝的素因や, その発生過程における多段階の発癌関連遺伝子の変化を解析するために有力な手掛かりを与えてくれるものと考えられた.
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