日本調理科学会誌
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総説
報文
  • 辻 友美, 下山 綾子, 神山 伸, 田村 朝子, 葭原 明弘
    原稿種別: 報文
    2024 年 57 巻 3 号 p. 166-174
    発行日: 2024/06/05
    公開日: 2024/06/11
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,加熱により肉質が硬くなる豚肉を真空包装下で長時間低温加熱することで,肉質に軟化効果をもたらす過程を明らかにすることを目的とした。その結果,破断測定において,破断応力および破断エネルギーで通常加熱群と比較して,低温加熱群の加熱7時間以降で有意に低くなった。また,官能評価では低温加熱群の「軟らかさ」が,通常加熱群と比較して有意に高い評価となった。「総合」においてはVL62が高い評価を得た。不溶性たんぱく質画分の電気泳動では,低温加熱群の5時間以上の加熱において高分子領域のバンドが薄くなる傾向が認められた。

     以上より,真空包装した肉をたんぱく質変性温度の65℃前後の62℃と70℃で13時間加熱した場合,加熱温度は70℃よりも62℃で加熱したほうが軟かくなることが示唆された。また,加熱時間については7時間加熱した時点で肉質が軟化し始め,13時間まで軟らかさが維持できることが示唆された。

  • 八木 千鶴, 德永 みな子, 中谷 梢, 中本 恵子, 野口 聡子, 山本 悦子, 米田 泰子
    原稿種別: 報文
    2024 年 57 巻 3 号 p. 175-182
    発行日: 2024/06/05
    公開日: 2024/06/11
    ジャーナル 認証あり

     米粉で調製したカステラ生地とパイクラスト生地の熱特性について,米粉を小麦粉に100%置換した生地の示差走査熱量測定を行い比較検討した。

     カステラ生地の米粉を強力粉および薄力粉に置換した。米粉生地のDSC曲線は,副材料の影響で吸熱開始からピーク,終了まで100℃前後の高温を示した。生地の焼成時間が長いため粉の違いによる糊化の特徴は現れにくく,カステラ生地に米粉を使用することは,熱特性的に適していると考えられた。

     パイクラスト生地の薄力粉を米粉に,水を卵黄に一部置換した。卵黄を置換した米粉生地では,10℃付近にピークが出現したことから,早くにバターの融解の影響を受けると考えられた。薄力粉生地より米粉生地の方が,吸熱エンタルピー変化が大きく,卵黄の一部置換では米粉は吸熱ピークが低く吸熱エンタルピー変化は小さくなり,卵黄置換の影響が薄力粉より大きいといえた。

     米粉のパイクラスト生地では,卵黄の使用により調製のしやすさやでん粉の糊化の熱量を低くすることが示唆された。

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