今回,歴史と伝統ある電気学会誌に寄稿する機会をいただき感謝申し上げます。
さて,どのようなテーマで書くべきかを思案した結果,あまり良いテーマが思いつかなったため,「随想」よりは「回想」に近い内容を書かせていただくことをお許し願い
1.はじめに
運輸部門の省エネルギー・低炭素化には,乗用・業務・貨物・旅客用途あまねく車両の電動化が欠かせず,その普及に向けては,バッテリー搭載容量,充電インフラ導入状況,走行距離や利用形態などを加味した,電気自動車への転換可能性(Transition)とコスト効果(Total Cost of
1.はじめに
EVシフトという言葉どおり,世界的にEVの開発,関係製品・サービスの市場投入が相次いでいる。EVは車両の開発のみならず,充電サービスや,充放電と電力システムの連携など,広いすそ野が想定され,今後大小さまざまな事業者等が多数参入することが期待される。
1.はじめに
電気自動車(Electric Vehicle:EV)は走行時に二酸化炭素排出のない次世代自動車としてだけではなく,太陽光発電等の再生可能エネルギーの主力電源化に向け,効率的な系統運用を実現するために必要な分散型エネルギー資源(Distributed Energy Resources:DER)としても期待さ
1.はじめに
カーボンニュートラル社会の実現に向けて,走行時に二酸化炭素を排出しない電気自動車(EV)が注目されており,世界的にその普及台数が増加しつつある。我が国でも,EVの普及が徐々に進んでおり,2022年度には新車販売台数の約3.2%がEVおよびプラグインハイブリッド車
1.はじめに
電動車活用社会推進協議会が発行している電動車活用促進ガイドブックでは,電動車が生み出す三つの価値として,環境面の価値,モビリティとしての価値,エネルギーインフラとしての価値を挙げている(1)。自動車の主目的は移動であり,上記の「モビリティとしての価値」は電動で
1.はじめに
直流送電と聞けば,19世紀末の電気事業黎明期にエジソンらが送電方式に採用したが,後に交流送電に取って代わられた過去の方式と思われる方もいるのではないだろうか。確かに20世紀初頭には影を潜めたが,その後も水銀整流器の発達とともに技術開発が進められ,1950年代には
1.はじめに
情報化社会を支える半導体集積回路は,素子の微細化により性能を向上させてきた(Scaling 則)。ところが最近の集積回路ロードマップによると,テクノロジーノード名が2 nmの半導体集積回路には実は2 nm の幅や間隔の配線は存在せず,実際の配線幅や間隔は20 nm 程度であるこ
1.はじめに
近年,温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量削減を目的とした,ガソリンを使用しない電気自動車の導入や,自然エネルギーを活用した再生可能エネルギーの導入が進められている。また,環境負荷の少ない活動を行う企業に投資を行うESG投資*1が活発になるなど,企業
JEC-2390(開閉装置一般要求事項)は開閉装置の共通規格として2013年に制定され,順次,JEC-2310(交流断路器及び接地開閉器),JEC-2350(ガス絶縁開閉装置),JEC-2300(交流遮断器)に反映されてきた。この過程で新たな標準化要望事項が示されると共に,相対する