21世紀に入り世界は,情報通信技術の発達や航空機の航路増大によりグローバル化が急速に進展するとともに,新興国の経済的な発展により国際競争が激化している。そのような中で日本は,少子高齢化の進展や経済・
1.背景
狩猟・採集・魚労などを行いながら小集団で,移住生活していた人類にとって,大集団・定住生活を可能にしたのが農耕となる。農耕と畜産をあわせた一連の生産活動が農業であり,これを支える学問が農学となる。人の安定した生活を支えるため,農業技術は大きく進歩してきた。日本
1.発芽・成長促進メカニズム
1.1 はじめに
近年プラズマの農水産業応用研究が盛んである。特に鮮度維持や機能性の向上が期待されており,プラズマ中に生成される活性な粒子,特に活性酸素や活性窒素が農水産物に直接的,間接的に効果を与えていると考えられる。従来,活性酸素は生体に有害とされてきたが,近年では生体
1.はじめに
農薬や窒素肥料等の過使用により,土壌や地下水等の汚染および窒素バランスの崩壊が深刻化しつつある。現代農業が抱えているこのような環境問題を解決するための一つのアプローチとして,高電圧やプラズマ技術を用いた農業支援について,植物生育促進の例を紹介する。
1.はじめに
生物工学,特に微生物制御工学的観点から高電圧パルス電界(Pulsed Electric Field:PEF)の利用が研究されてきている。このPEFによる微生物の破壊—PEF殺菌またはパルス殺菌—は細胞膜の電気的圧縮による破壊が原理であると考えられ,この現象に関しては優れた総説が出版さ
1.はじめに
安全・安心で高品質な農産物を消費者に提供するため,保存・加工・流通といったポストハーベスト(収穫後,postharvest)工程における微生物制御技術は大切となる。しかし農産物は鮮度保持や食品衛生の観点から,加熱殺菌や化学的殺菌法の利用はまだ限定的である。一般には,農
1.はじめに
1997年1月27日午前4時30分。日本海沿岸にある高速増殖炉もんじゅにおいて格納容器内に設置されている放射線モニタが線量率の高警報を吹鳴し,筆者は呼び出された。どうも大きな落雷がもんじゅの近くで発生したため,建物内の放射線モニタの指示値が瞬時的に上昇し,警報レ
1.はじめに
ダイヤモンド(ダイヤ)は天然に存在し,魅惑の宝石としてよく知られている。一方,工学的な見方として,周期表のIV属に属し,ゲルマニウム,シリコンの上部に位置する,シリコンと同じ単元素半導体であり,化合物半導体とは異なり本質的に不純物や欠陥の少ない高品質な結晶構
1.はじめに
2013年,国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は1880~2012年の132年間で世界平均地上気温は0.85℃上昇したと発表した。さらに,地球温暖化に対し追加的な努力をしない場合,2100年までに世界平均地上気温が2.6~4.8℃上昇する可能性が高いことを示した。