機械系の私としては,歴史ある電気学会の学会誌に寄稿の機会をいただけたことに感謝を申し上げるとともに,大変光栄に存じています。本稿では,電気系と機械系分野の共通の課題である女性技術者候補の獲得について述べたいと思います。
1.はじめに
このたび,会員の皆さまのご推挙により,電気学会の第109代会長を拝命いたしました勝野です。これから1年,会員の皆さまとともに,学会の更なる発展のために,尽力していく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
電気学会は,1888年の創設時より,“学術”と“実業”
1.はじめに
「電気と私」というタイトルを見て,どんな特集かと疑問に思われた読者の方も多いと思う。そこで,はじめに本特集の趣旨や概要について簡単に説明をさせていただく。
2.特集「電気と私」について
2.1 趣旨
電気学会誌の特集記事は,これまで技術を主としたテーマが多く,人物をテーマにした記事はあまり見られない。
1.はじめに
私は,東京大学で現在,高電圧,放電,電力システムのハードウェアに関する研究室を運営している。図1に高電圧ホールの写真を示す。高電圧工学は現在から将来にわたる電気エネルギーの安定供給を,さらには高度情報化社会を支える基盤となる学問である。特に近年はカーボン
1.出会い
「電気に取り憑かれた日から」というタイトルにしたものの,それが正確にどの日だったのかは思い出せない。でも確かに取り憑かれたのだし,今でも取り憑かれている。記憶を辿るとそれは小学校の3年生くらいの頃だったと思う。高度経済成長の雰囲気も残る1979年,私は大阪の
1.電気工学との出会い
私は電気工学科の出身であるが,大学に入学したときには電気工学科に進学するつもりはなかった。私の入学当時は,学生全員が工学部生として入学し,3年生から学科に分かれる仕組みであった。2年生では自分が進みたい学科に関係する科目を選択するようなカリキュラムであった。
私はいま(株)日立製作所の研究開発グループで電動化を推進する研究部のリーダーを務めている。カーボンニュートラルに向けた次世代技術の芽を育て,社会実装していくのがミッションだ。そんな私が電気の道を志したのは中学1年生の頃。現在に至るまでを僭越ながらご紹介させてい
1.電気との出会い
私は子供の頃からものを作ることが好きで,夏休みの自由研究は何らかの工作をしていた。その頃は,電気に興味があったというよりは,自分の手で何か作業をすることに興味があった。パンクした自転車や家電が壊れた際に,自分の手で直していた父を見ていた影響もあると思う。
1.はじめに
2021年度,電気学術振興賞(進歩賞)をいただいた。これはもちろん,共同研究者との研究成果をまとめて,その代表として受け取ったものである。その恩返しと言うには不足だが,電気工学を志す若手になにか一言という依頼があり,電気系に進路を決めた経緯を振り返ってみること
1.はじめに
シリコン(Si)結晶は良好な半導体電気材料として現在のエレクトロニクス技術に欠かせない基盤材料である。一方では,シリコンのバンドギャップエネルギーはおよそ室温で~1.18 eV程度(1)であり励起された電子が再結合(エネルギー緩和)する場合に生じる光は赤外波長(~1,050
今回私がご紹介しようと思うことは,輸出管理についてです。会員の皆様は技術の研究開発に従事されていると思いますので,多くの方は輸出管理には日頃から留意されていると思います。ただ,学生さんや若い方は余り関心がない方もいらっしゃると思いますので最初に簡単に概要をお