私どもは,6年前の東日本大震災の復興活動を大学の責務として構成員全員で実施してきました。歴史的には大震災の後には大きなイノベーションが生じているという報告もあり,この大震災後にどのようなイノベーションが起きるのか,起こすのかは我々に課せられた宿題でもあります。
1.電磁界解析による機器設計の広がり
研究開発において,理論的方法,実験的方法に加え,第三の方法として数値シミュレーションが活用されてきた。電気機器の設計においても,電磁界解析をはじめとした数値シミュレーションが積極的に導入されてきた。初期には,電磁界解析は現象の解析や可視化など補完的な役割を
1.はじめに
電気機器に用いられる鉄心材料は磁気ヒステリシス現象を示す。これまでは,ヒステリシス特性を無視して機器の磁界解析を行い,鉄損を後処理的に算出する手法が主流であった。近年,ヒステリシスモデルの研究開発が進み,磁界解析へ直接導入することが可能になってきた。本稿では
1.はじめに
パワーエレクトロニクス機器の普及に伴い,電気機器の高周波・過渡解析の重要性が高まっている。しかし,例えば数10 kHzのPWMインバータで駆動されるリアクトルでは,数10 μm以下の表皮厚みを考慮した要素分割が必要になり,さらに1 μ秒以下の時間刻みが求められる。計算量が
1. はじめに
計算機を援用した電力・電気機器の有力な設計手法の一つとして, 有限要素法や境界要素法等の電磁界数値解析と準ニュートン法等の数理計画法を併用した最適化設計手法が挙げられる。磁界問題における最適化設計例の萌芽期における一例として, 文献(1)が挙げられる。その後, 石
1. はじめに
電気機器のさらなる小型化・高性能化を達成するためには, 磁気回路を構成する電磁鋼板の磁気特性を精確に測定し, 機器内における複雑な物理現象を再現することで, 損失の発生場所と原因を精度よく算定する必要がある。そのためには, 機器の端部形状, 積層鉄心の微細構造, 周囲構
1. はじめに
モデル縮約法 (Model Order Reduction) は, 多数の自由度からなる系を少数自由度のモデルで近似する方法である。本手法はこれまでヒューマノイドなどの多自由度系の制御をはじめ多くの工学問題に有効であることが示されてきた(1)。
さて, 回転機などの電気機器を有限要素法で離散化する
1. はじめに
これまでに変圧器やリアクトルの設計に磁界解析を用いることが試みられてきた(1)(2)が, 昨今ではIH調理器や非接触給電装置などの解析(3)-(6)も行われている。これらの機器は利便性に優れていることで普及しているが, 使用する条件, 例えばIH調理器の場合には使用する鍋, 非接触
1.はじめに
半世紀も前の映画であるが,縮小された科学者と小型潜水艦が人間の体内へ入り込み治療する映画「ミクロの決死圏」(1)に描かれたコンセプトは,医療系小型デバイスへの期待・夢として未だに膨らみ続けている。最近,映画の潜水艇名と同じギリシャ神話の海神の名を冠したProteus
1. はじめに
ハンディタイプのいわゆる「携帯電話」が提供開始されたのは1987年4月で, そこから30年の歳月が流れた。携帯電話のルーツとしては自動車電話 (1979年12月) や, 初めて持ち歩きが可能となった電話であるショルダーホン (1985年9月) にさかのぼることもできるが, 携帯電話が
福島県農産物の現状
2011年3月11日に発生した東日本大震災および津波, さらにはそれらによって引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所における燃料棒のメルトダウンおよび水素爆発による多量の放射性物質 (主に放射性セシウム) の飛散・流出によって, 人的にも物的にも未曾有の被害を受け
1. はじめに
1.1 シンデレラ・テクノロジーとは
読者のみなさんは「盛る」という言葉の意味をどのように解釈しているだろうか。一般的には, 例えば「料理を皿に盛る」といった使い方をする言葉であるが, 近年は, 特に若い女性の間で本来の意味と異なる使い方で用いられている。彼女たちにとって「盛る」とは, バーチャル世界
旧規格のJEC-2137-2000は, JEC-2100-1993“回転電気機械一般”を親規格とし, 1996年発行のIEC 60034-1に対応した規格として制定されたものである。
その後, 2004年にIEC 60034-1がEd.11として, また, 2008年にJEC-2100も全面改正された。この両規格
1. 電気規格調査会 (略称JEC) とJEC規格
電気規格調査会 (JEC: Japanese Electrotechnical Committee) は, 電気学会の中で標準化活動を担当する部門です。JEC規格等の制定改正 (年間約10件), IEC規格の原案作成と審議 (国際投票回答数 年間約400件), JISの原案作成 (年間約5件) などを行っています。
倫理委員会では, 技術者倫理啓発に資するため, 今までに事例集を2冊出版して, 広く使用いただいています。
最近, 科学研究分野での深刻な研究不正事案の発生を受けて, 研究公正への組織的取組みが強く求められるようになっています。研究にかかわる事例学習を, 企業や大学の