昨年から続くコロナ禍は世界のあらゆる側面を変えてしまいました。ICTで強固に結ばれているはずの現代社会が,いとも容易く分断され,国と国との間に高い障壁ができてしまいました。研究の場では,研究会や国際会議もweb会議が一般的になってきました。教育の場では,対面授業
1.はじめに
カーボンニュートラル社会の実現に向け,電力・エネルギーシステムに関する革新的な技術開発が国内外で精力的に実施されている(1)。再生可能エネルギーを主力とするエネルギーシステムの実現には,普及しつつある需要家単位のエネルギーマネジメントシステム(Energy Manage-
1.はじめに
オペレーションズ・リサーチ(operations research:OR)は,企業や事業体の経営における意思決定や,システムの設計・管理・運用等における問題を解決するためのアプローチである。ORの一分野である最適化や機械学習は,電気学会電力・エネルギー部門の論文誌や研究会,大
1.はじめに
1990年代後半から世界的な潮流として始まった電力自由化や地球温暖化を意識した再生可能エネルギー対応の動きの中で,我が国の電気事業は,かつてない不確実性の時代を迎えている。電気事業をめぐるこうした大きな変革の中で,筆者らは金融工学,電力システムというそれぞれの
1.はじめに
2018年度の業務関連建物や住宅等を含む民生部門は日本では最終エネルギー消費の約30%(1),世界では約36%(2)を占める。地球規模の気候変動が国際政治に大きな影響を及ぼす状況下で建築物の省エネルギー・脱炭素化は喫緊の課題である。これに対し,建築工学のサブカテゴリである建
1.はじめに
コーポレート・ガバナンス(企業統治)とは,企業経営を監視する仕組みである(1)。この仕組みを充実させることで,経営の健全性や透明性が確保され,企業の収益性・競争力の向上が期待できる。昨今,ESG(Environment:環境,Society:社会,Governance:コーポレート・ガバナ
1.はじめに
電力エネルギーを取り巻く環境が急速に変化する中で,電力システムは,大規模集約型電源から消費地に一方向でエネルギーを輸送する形態から,需要地近傍に配置された分散電源による地産地消の形態や,集約電源と分散電源が相互に協調する形態など,その供給の在り方が双方向でか
1.はじめに
21世紀から,2003年のSARSコロナウイルス感染症,2004年の鳥インフルエンザウイルス感染症,2012年のMERSコロナウイルス感染症が,次々と発生しており,2~3年に一つの割合で新興感染症が発生している。世界中に張り巡らされた交通網により,瞬く間に世界中にウイル
1.はじめに
我々は材料律速な世界に生きている。歴史を振り返ってみても材料開発の結果として我々の生活水準が向上してきた側面があり,新材料はICT・IoT社会,省エネルギー・省資源社会と広く電気電子分野を支えている。誘電絶縁材料もその例外ではなく,空気,紙,鉱油などの液体,ガッ
1.はじめに
設備の維持管理の合理化,効率化は,産業界が抱える共通の課題である。特に,近年では設備の高経年化やメンテナンス技術者の不足,またそれらにかかる技術伝承・教育面での人材不足という課題もあり,その必要性は増している。人的,資金的リソースともに制約のある中で,効率的
1.制定の趣旨
母線保護リレーは,母線至近端外部事故時の事故電流の集中により,CT鉄心の飽和による誤動作対策が必要となる。アナログ形リレーでは,CTが磁気飽和しても誤動作しない高インピーダンス差動方式や方向比較方式など,製造業者によりさまざまな方式が開発され適用されていた。
1.はじめに
2050年,カーボンニュートラル社会の実現に向け太陽光発電などの再生可能エネルギーの主力電源化が必須である。本テクニカルレポート(以下,TR)はこの再生可能エネルギーの出力変動による電力系統への影響を需要家の電力資源からの調整力で対策するための標準群JEC-