現在は,日本にとって大事な転換点の時期ではないかと思う。
目標がかなり明確だった高度経済成長期と異なり,将来の予測が難しく,変化も激しい世の中になってきている。また,経済成長と社会課題の解決を両立させること
1.はじめに
電気学会が部門制に移行すると同時に電力・エネルギー部門(B部門)が発足し,B部門大会が始まってから2019(令和元)年に30回目を迎えた。これを記念し,2019年9月3日〜6日に広島工業大学にて開催された令和元年電力・エネルギー部門大会を第30回記念大会と銘
1.自然災害の激甚化による社会基盤(インフラ)と防災の関係の変化
1.1 社会基盤の設計における災害による外力の”想定”
近年の自然災害の激甚化により,社会基盤による防災の考え方が大きく変更を余儀なくされている。社会基盤(インフラ)は私たちの生活の基盤を支える施設であり,道路・鉄道・港湾空港などの交通施設,河川堤防・ダム,砂防堰堤などの防災施設,電力・ガス・上下水道などライフ
1.はじめに
近年,自然災害に伴う大規模停電が多発している。2018年7月豪雨,台風21号,台風24号,2019年台風15号,台風19号などによる設備損傷による停電や,2018年北海道胆振東部地震による北海道ブラックアウトなどである。ブラックアウトを防ぐことは電力系統の計画・運用の基本
1.はじめに
2050年カーボンニュートラルに向けて,エネルギー需要の電化と電源の脱炭素化が必要であり,電動車(EV)や蓄電池といった分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resources:DER)の普及が強く求められている。
さらに,近年の地震や豪雨などの自然災害の激甚化や,
1.概要
SDGsの達成,およびSociety5.0の実現に向けて,電力システムの信頼性の維持と最適性の追求は極めて重要である。加えて,近年の自然災害の激甚化への対応,およびカーボンニュートラルの実現に向けて,再エネ大量導入の実現と電力供給のレジリエンス強化は必須の課題として誰
1.「スマート化」の流れの中で
筆者の専門は土地利用と人やモノの移動を扱う都市・交通分野である。この分野は,特に最近の10年間で電気・電力分野と関係する大変革に晒されている,すなわち電動化車両(Electric Vehicle:EV),Mobility as a Service(MaaS),そしてSmart cityの3変革である。電気・電力
1.はじめに
人口減少に伴う長期的な電力需要の減少,設備の老朽化とそれに伴う保全費の増大,太陽光発電など再生可能エネルギーの大量普及,需要家のプロシューマー化など,電気事業を取り巻く環境は大きく変化している。これらの変化は,電気事業のプラットフォームをこれまでのシンプルな
1.はじめに
電力流通設備は,社会インフラの一つとして重要な役割を担っている。これらの設備が有する機能の中でも,「絶縁」はその設備が通常の運転状態にあるために最も重要な機能の一つである。絶縁技術の要となる絶縁材料は,気体,液体,固体やその複合系がある。これら材料の製造技
1.はじめに
金沢工業大学では,工学の創造的探求と,人間性とのかかわりを正しく把握・判断するためには,科学および工学の発展の軌跡,その歴史的認識が重要でありかつ不可欠であると確信をして,科学技術史および科学技術倫理の教育と研究を実施するとともに,発展途上において行われた主
1.はじめに
近年の技術革新を語る上で,「デジタル」という言葉は欠かせない。学問の分野では,離散量を意味する単語であるが,昨今はビジネスシーンを中心に「デジタル技術」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」といった形で耳にする場面が格段に増えた。これは,ITやデジタル