2019年3月に東大を退職し,富山県立大学に着任しました。東大在職中には授業を行っていましたが,現在は授業の準備から解放された安堵感と,多少の寂しさを感じています。東大在職中に得たものはたくさんありましたが,とくに,研究を進める過程で,学生と経験や実験データを
1.はじめに
このたび,会員の皆様のご推挙により,電気学会の第107代会長を拝命いたしました(株)東芝の斉藤です。電気学会は創立から2020年5月で133年目を迎え,現在2万人超えの会員を有する国内有数の学術法人です。この伝統ある電気学会の更なる発展のため,これからの1年間,そ
1.はじめに
システムインテグレーションとは何を目指すものであろうか? Marco Iansitiは,その著書「Technology integration」(邦訳「技術統合」)(1)において技術は孤立して機能するものではなく,技術は互いに関連して機能するものである。それぞれの技術は統合されて初めて付加価値が備わ
1.はじめに
パワーエレクトロニクスのシステムインテグレーションによる高出力密度化が推し進められている。パワーエレクトロニクスの心臓部である電力変換器はトランジスタやダイオードなどのスイッチングデバイスおよび,一時的にエネルギーを蓄えるコンデンサやリアクトル・トランスなど
1.はじめに
パワーエレクトロニクスシステムにおいて求められているパワー密度の向上を実現するためには,低損失化(=冷却装置の小型化)と高周波化(=受動部品の小型化)が必要である。そして多くの場合,両者はトレードオフの関係にある。例えばスイッチングを高周波化すると受動部品は
1.はじめに
システムインテグレーションの主目的の一つは,統合設計することによるシステムの高パワー密度化にある。電力変換器の主回路は半導体デバイスと受動部品から構成され,図1のように機器の高パワー密度化には低損失化と受動部品(L, C)の低減(LCフィルタの高カットオフ周
1.はじめに
パワーエレクトロニクスシステムにおいてはパワー半導体素子の高効率化とともに低コスト化,小型化および高信頼性化の要求に応えながらシステムのパワー密度(電力/容積)を上げていくことが求められている(1)(2)。
これを実現するために高信頼性を確保する「実装技術」
1.はじめに
本稿では,高パワー密度化を実現する革新技術を50kW級インバータに適用した試設計例を示すことで,将来の電力変換器における超高パワー密度化の可能性を示す。また,シミュレーションベースの損失解析,熱解析を用いたシステムインテグレーションによる変換器設計により,
1.はじめに
富士通(株)は,国際体操連盟・日本体操協会との連携により,体操競技における正確かつ公平な採点の実現を目指して,採点支援技術の開発に取り組んでいる。採点支援技術は,LiDAR(Light Detection and Ranging)方式の3Dレーザセンサによって取得された3次元点群から,Deep
はじめに 私は半導体微細加工をベースに多様な知識でセンサなどを作るMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)と呼ばれる技術に,学生時代から半世紀ほどかかわってきました。半導体の世界で,微細化・高集積化のMore Moore に対し,これは多様化のMore than Moore
1.はじめに
科学技術の進歩に伴い,多くのロボットが我々の生活空間に登場しはじめた。商業施設で受付案内を行うロボットや,自動で部屋の掃除を行うロボットを目にしたことのある方は多いだろう。また,さらなる人に“役立つ”ロボットの実現に向けて,介護や労働支援,救助など幅広い分野