私どもの大学は,中規模ながら文系から理系までの基本的な学問分野を一通り整えた総合大学である。個々の教員の高い研究力が質の高い大学教育に好循環する大学でありたいと願い,大学運営のモットーとしてきている。とは言え,学長就任以来,常に気懸りに感じ,しかも容易には出
1.はじめに
東京藝術大学(藝大)・Arts & ScienceLAB.では,芸術と科学技術の融合によって次世代のインフラとなる豊かな文化的コンテンツの開発をテーマに研究を行っている。その一つの成
1.はじめに
これからの日本においては,「持続的な成長と地域社会の自立的発展」が求められており,そのためには「資源の安定な確保と循環的な利用」,加えて「エネルギーの安定的な確保とエネルギー利用の効率化」が必須である(1)。しかしながら,私たちの身の回りでは,未だに環境負荷の高
1.はじめに
現代社会において,電気エネルギーなしの生活は考えられない。その供給が止まれば,日常生活で利用している電化製品はもちろんのこと,照明も利用できなくなり,世界中が混乱するのは容易に想像できる。この電気エネルギーを産み出すエネルギー資源の枯渇は,以前から指摘され,
1.はじめに
本稿ではエネルギー問題に大きく貢献するエコマテリアルとして,熱─電気エネルギー変換を実現する熱電変換を中心に紹介する。我が国は東日本大震災以降,一次エネルギーとして化石燃料への依存割合が急激に増加した。化石燃料は輸入によるものが大半であるが,そのすべてが有効
1.はじめに
「エネルギー形態相互変換エコマテリアルの創製と応用」を目指す研究プロジェクト(平成23年度~平成27年度)において,「化学」と「電気」におけるエネルギー相互変換デバイスの観点から,図1に示す研究組織のもと,各研究者が下記に示す研究テーマに取り組んできた(1)。
1.細胞内のエネルギー変換
生物とは,増殖し,触媒能を持ち,変化する能力を持つものである。このような生物が行う生化学反応には,エネルギー変換が必須である。例えば,光合成生物は,太陽光のエネルギーを利用して,生体内で必要なエネルギー(ATP)を合成し,これを用いて二酸化炭素を固定し,糖
1.はじめに
紫外線が有する光のチカラや気体放電により発生させた活性種(オゾンやOHラジカルなど)のチカラは水の消毒および殺菌能力に変換されている。すなわち,我々の生活基盤を支える水処理技術もエネルギー変換技術の一つと言える。
1.はじめに
環境中にはさまざまな形態のエネルギーが存在する。このエネルギーを収穫(ハーベスト)し,電気エネルギーに変換する技術が,エネルギーハーベスティングである(1)~(4)。環境発電とも呼ばれる。「環境中のエネルギーから発電」というと,メガソーラー,風力,波力,地熱のよ
1.はじめに
地球環境保護や資源保護などの観点から,広く社会における省エネルギーへの要求が高まっている。工場では,殺菌,洗浄,乾燥,蒸留に幅広く蒸気が使用され,省エネルギーを達成するためには,電力とともに,蒸気のエネルギーフローの流量計測が不可欠である。しかしながら,蒸
1.シリコーンとその応用分野
シリコーンとは,ケイ素原子(Si)と酸素原子(O)からなるシロキサン結合を主鎖に持つポリマーの一般的呼称である。シリコーンは分子の主鎖が無機的な性質を有し,側鎖が有機的な性質を有するため無機と有機の性能を併せ持つような特長を示す。その結果,一般的な炭素─炭素結
1.はじめに
本記事では,東京スカイツリーの電気設備設計を担当された3名の方へのインタビューを通して,電気設備設計という仕事を紹介する。この記事が,建築における電気エンジニアの活躍を知る一助となれば幸いである。
2.東京スカイツリーと電気設備について
はじめに東京スカイツリーと設計事務所の関係性ならび
倫理委員会では「開かれた技術者倫理のありかた」の勉強会として種々の方に講演をして頂いています。本稿では,株式会社日立製作所鉄道ビジネスユニットのCTOでおられる堀江哲氏に,「管理型から行動して学び取る革新型への変革」と題し,2017年9月13日にご講演頂いた内