2005年に(株)東芝を退職し,以来15年間,湘南工科大学の教員を務めています。この原稿の執筆中の2021年1月には学長に就任して2年近くになります。大学在籍中に後述する3次元型メモリや論理LSIに関する10件以上の論文を電気学会の論文誌に掲載させていただき誠に
有機化合物に電気的な刺激を与えて発光させる過程の総称を有機エレクトロルミネセンス(有機EL)という。最初に報告された有機化合物からのELは,蛍光物質を分散した絶縁体薄膜への交流印加による発光である。これは,分散型無機ELにおける電界励起によるELと類似の機構
1.はじめに
熱活性化遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence;TADF)とは,最低三重項励起状態(T1)から最低一重項励起状態(S1)への電子スピン変換を室温程度の熱エネルギー(~26 meV)の助けによって実現し,T1エネルギーがS1エネルギーに変換され発光に至る現象
1.有機発光ダイオード(OLED)
現在,有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)はスマートフォンやテレビのディスプレイなどに用いられており,有機半導体材料を用いて電荷再結合を介して電気エネルギーを光エネルギーに変換する発光素子である。したがって,発光層に用いる材料の励起状態
1.はじめに
量子ドット(QD)材料は,最も有望な次世代発光材料の一つと考えられている(1)~(4)。量子ドット発光ダイオード(QLED)の研究は近年急速に進んでおり,初期ステージにおけるQLED素子の外部量子効率(EQE)が0.01%未満だったのに対して,最新のQLED素子のEQEはすで
1.はじめに
有機発光トランジスタ(Organic Light-Emitting Transistor:OLET)は,有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode:OLED)の発光機能と,有機電界効果トランジスタ(Organic Field-Effect Transistor:OFET)のスイッチング機能を併せ持つデバイスであり,それぞれ
1.はじめに
内部量子効率100%を達成するりん光錯体や熱活性化遅延化蛍光(TADF)材料発光材料などの発光材料および周辺材料,高い外部量子効率や電荷バランスを制御するための積層構造,電極や封止技術などの進展により,有機EL(OLED)は,実用レベルでの高効率・長寿命化を実現し
1.はじめに
近年,OLEDはスマートフォンや大型TVとして商品化され,LCDに替わるディスプレイとして認識されるようになった。実用化には高効率化・長寿命化が必須であり,世界中で研究開発が進められてきた。このような研究開発のためには,数多くのOLEDを試作し評価する必要
1.はじめに
日本のパワーエレクトロニクス産業が将来も生き残るためには「良いモノを安く」という従来の競争軸とは異なる競争軸でアジア諸国と戦う必要がある。その競争軸の一つが本稿で述べる「パワーエレクトロニクス2.0」である。IoTとAIを内包した「パワーエレクトロニクス2.0」に
1.はじめに
2020年は教育界において大きな変革を余儀なくされる年となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大は,海外では都市封鎖がなされたり,経済活動にも制限が課せられたりするなどの社会的な影響を及ぼした。教育界でも学校閉鎖や学期開始時期の繰り下げなど大きな影響を受け
1.はじめに
現在,日本では新型コロナウイルスの流行に伴い,感染拡大を防ぐためのソーシャルディスタンスを保つ「新たな生活様式」の必要性が唱えられている。この「新たな生活様式」は大学における教育と研究にも影響を与え,大学のキャンパスに通学することなく受講するオンライン講義と