コロナ感染が始まった2020年に学長に就任した不幸な田野と申します。この2年間,コロナ対策に苦労していますが,大学運営の難しさにも直面しています。本随筆のタイトル「なぜ,表と裏?」は意味深ですが,最後までお付き合いください。
1.はじめに
カーボンニュートラル宣言に基づき策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2020年12月策定,2021年6月改訂)や「エネルギー基本計画」(2020年10月閣議決定)では再生可能エネルギー電源の推進と需要対策として電化・水素化をうたっている。
1.はじめに
脱炭素化に向けては,需要家サイドにおける電化・エネルギー転換,再生可能エネルギーによって発電した電気を最大限利用するための需要の最適化などへの取り組みが今後ますます重要となる。産業部門においてエネルギーは,動力,照明,熱源などさまざまな用途で使用されている
1.はじめに
2020年10月26日の菅総理所信表明演説にて,我が国として2050年までにカーボンニュートラル(以下,CN)実現を目指すことが宣言された。2021年10月22日に閣議決定された第6次エネルギー基本計画とそれに対応した長期エネルギー需給見通しでは,2030年の温室効果ガス
1.「みどりの食料システム戦略」が目指すもの
1.1 我が国の農林水産業における脱炭素化への取り組み
農林水産省では,地球温暖化対策として2019年4月に「脱炭素化社会に向けた農林水産分野の基本的な考え方」を示し,「農林水産業の脱炭素化」と「農山漁村のRE100」を推進することとした。
また,2020年3月には「新たな食料・農業・農村基本
1.はじめに
2021年に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)では,地表面気温の上昇を産業革命以前から1.5℃に制限するための努力を継続すること,そのためには2030年までに2010年比で世界全体の二酸化炭素(CO2)排出量を45%削減し,今世紀半ば頃には実質ゼロ
1.はじめに
2020年10月,当時の菅義偉首相が所信表明演説において,2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言した。2021年1月の施政方針演説では,2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%を実現することが発表されている。ここでの電動車には,バッテリー電気
1.風力発電大量導入における課題
世界的な脱炭素化の流れを受けて,日本でもようやく2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが始まった。ヨーロッパでは脱炭素化の主役を風力発電が担っており,風車の大型化と量産化による発電コストの低減がさらに導入を加速させる好循環を生んでいる。図1
1.はじめに
近年,地球温暖化問題やエネルギーセキュリティなどの多面的な要因で世界各国がEV化政策にかじを切っている。EVは輸送分野でのCO2排出削減の切り札であることに加え,大容量の蓄電能力を活かして再生可能エネルギー大量導入に伴う電力系統の調整力不足問題のソリューショ
1.はじめに
近年,2050年カーボンニュートラル実現を目的として,全国各地の電力系統における再生可能エネルギー電源(再エネ電源)の大量導入が進められている。一方で,再エネ電源の導入はさまざまな技術的課題を伴うことが知られている。