人工知能(AI)が発達し,やがて人類の知能を超える転換点(技術的特異点:シンギュラリティ)が来ると予測している科学者もいます。私は,昆虫,特にコオロギを用いて,その発生と再生のメカニズムについて研究を行ってきました。昆虫を機械であると考えると現在の技術でそれを
1.はじめに
産業革命以来,社会と文明の飛躍的発展を支えてきたのは,石炭・石油・天然ガス等の「化石資源」である。これらは,太陽光のエネルギーが太古の「植物の光合成」によって数億年単位の長い年月をかけて蓄積されたものであり,その生成速度と現代社会における消費速度を比較すれ
1.エネルギー変換および物質変換としての光合成
地球の歴史は約46億年といわれている。地球に発生した生命の痕跡は,グリーンランドの岩石中に38億年前の水の痕跡と有機炭素として残されているらしい(1)。さらに生命は進化し,やがて約27億年前頃から光合成の歴史が始まったとされている(1)。地球の生命は地上の緑,植物の
1.光触媒材料の基礎
固体光触媒(1)~(4)とは,電子で満たされた軌道からなる価電子帯および空の軌道からなる伝導帯が,電子の存在できない禁制帯(バンドギャップ)で隔てられたバンド構造を持つ半導体である(図1a)。このような半導体にバンドギャップより大きいエネルギーの光が照射されると,価電
1.はじめに
1970年代初頭のホンダ・フジシマ効果の発表以来,太陽光水分解反応は再生可能な水素を製造する技術として注目され続けている(1)。この反応を高効率に行う手法として太陽電池水電解反応系が広く研究されており,すでに多接合太陽電池と固体高分子型水電解槽を用いて30%の太陽
1.はじめに
光触媒研究は1970年台初頭の,藤嶋・本多らによる酸化チタン光電極を用いた水の光分解の発見が大きな契機となり,その初期には酸化チタンを主とする光電極や光触媒粒子を「水分解」などの光エネルギー変換・蓄積型反応,すなわち「人工光合成」へ適用することが研究の主流で
1.はじめに
光触媒を太陽光水素製造や環境浄化に利用する研究やそのための材料開発が精力的に行われており,最新の動向は本稿以前で紹介されている。一方で,光触媒をグリーンケミストリーの実践に適用した報告例は太陽光水素製造や環境浄化の例に比べてかなり少ない。太陽光水素製造におけ
1.はじめに
最近,「安全・安心」といったキーワードもあり,非破壊検査は,各種公共設備の建設と保守,各種製品の製造と点検の現場で幅広くニーズがある。この技術は検査物を開封・破壊せずに内部異常を検出し,その場所を特定する。また,その将来の姿として,異常物質の同定なども期待さ
1.はじめに
筆者が船舶運航を学び始めたのは,今から30年前のことで,短波帯で放送されていた標準電波を使って整合された正しい時計と,太陽の高さ(角度)を測り,天体の動きを示した暦と,電卓を使わず,対数で示され計算表を使って,船の位置を求める技術の体得は良い経験であった。慣
1.はじめに
今月の学生のページは,先月号に続きまして異分野を出身として電気電子分野でご活躍されている方へのインタビュー記事である。先月は薬学出身として電気電子分野でご活躍されている方へのインタビューであったが,今月は医学の博士号を取得された上に,臨床医としての経験をお
倫理委員会では「開かれた技術者倫理のありかた」の勉強会として種々の方に講演をして頂いています。本稿では,独立行政法人国民生活センター商品テスト部の田中秀和氏に,「国民生活センター商品テスト部の業務とテスト事例について」と題し,2018年3月26日にご講演頂いた
1.はじめに
本テクニカルレポート(以下,TR)は,地球環境保全を目的に導入の進む再生可能エネルギーの出力変動による電力系統への影響を需要家の電力資源から創出される調整力により対策するエネルギーサービスの実現を狙いとする。このため,本TRでは容量規模と運用時の確実性が期