我が国は科学技術力によって国民生活が支えられている経済大国である。科学技術イノベーション立国という言葉が提唱されるほど,現在はイノベーションの重要性が認識され,それに適した国づくりが要望されている。こ
1.はじめに 地球を取り巻く大気や海洋,陸域,生物圏などの自然環境の保全が極めて重要な課題として社会的関心が向けられている。1960年代には産業活動に伴う排出物質による大気汚染や水質汚染などは局所的な環境汚染が中心であった。それに対して最近では,オゾン層破壊や酸性雨,CO2
1.はじめに 地上から高度15km付近(緯度・季節による)にわたる対流圏には,自然あるいは人間活動に由来するさまざまな粒子が浮遊している。厳密にはガス中に粒子が分散した系のことを「エアロゾル」と呼称するが(1),一般には大気中の浮遊粒子そのものをエアロゾルと呼ぶことも多く,本
1.はじめに 地球大気の底に位置する対流圏(地上~10km程度)は人間の主な活動空間であるため,我々は対流圏で発生する大気現象の影響を日々直接受けている。台風,梅雨・秋雨前線や急速に発達する低気圧による暴風・豪雨・豪雪は数100kmにわたる空間スケールで被害をもたらす。一
1.はじめに 地球大気は重力による密度成層をしており,高度が約15km上がると一桁密度や圧力が低下する。中層大気と呼ばれる高度10~100kmの大気の上端は,地上より107ほど密度が小さく希薄な大気である。100km以上の高度の超高層大気ではさらに希薄になり,国際宇宙ステーション
1.はじめに ライダー(Light Detection and Ranging)は,主にレーザを用いた微粒子リモートセンシング法として用いられている。空間中にパルスレーザを照射し,各領域でのレーザ後方散乱光を時間分解して観測することで,空間中に微量に分布するレーザ光散乱体の分布観測を行うのが一般的で
1.はじめに 従来,対象となる物理システムをICT(Information and Communication Technology)によって制御する制御システムと,物理システムとの相互作用を持たない業務システムなどの情報システムは,区別して扱われてきた。しかし,制御の高度化,情報システム分野における汎用的な
1.はじめに 社会が生み出すディジタルデータが爆発的に急増するなか,「ビッグデータ」というキーワードが近年,脚光を浴びている。ウェブを例にとるまでもなく,我々の身近においてディジタルデータは常に増大し続けており,IDCによれば,2020年には40ゼッタバイトを超えると想定され
1.はじめに 近年,日本は超成熟社会に突入しようとしており,少子高齢化が深刻な社会問題となっている。日本の総人口は2015年では1億2798万人であるが,2030年には1億1662万人になり,2060年には8674万人まで減少すると予測されている。それに伴い,図1に示されるように労働人口
倫理委員会では「開かれた技術者倫理のありかた」の勉強会として種々の方に講演をして頂いています。本稿では,全日本空輸 総合安全推進室長としてANAグループの安全マネジメントシステムの構築と安全文化の醸成に取り組まれている田中龍郎氏に,「ANAグループの安全の