1980年代にアメリカの著名なシステム思想家ラッセル・A・エイコフが提唱した「システム思考」は,問題や課題を個々の要素だけでなく,相互にどのように影響し合うかを含めた全体的な視点で捉えること,短期的な利益追求だけでなく長期的な持続可能性を考える必要性
1.はじめに
分光法(Spectroscopy)は,吸収や発光などのスペクトル(光強度の波長依存性)を得ることで,物質中の成分の定性・定量分析を行う手法である。分光法を用いた分析では,非接触・非破壊・多成分同時測定が可能であるため,研究分野のみならず産業分野においても広く利用されてい
1.はじめに
半導体光触媒は,環境浄化やエネルギー蓄積型の反応を光のエネルギーを用いてクリーンに進行させる材料として注目を集めている。光触媒反応は,光吸収によって生じた電子(e−)と正孔(h+)が,表面に吸着した化学物質と反応することによって進行する。そのため,光触媒の活性
1.はじめに
一般に物質に光を照射すると,吸収された光エネルギーは再度光エネルギーとして放出される場合(輻射緩和過程)と,最終的に熱エネルギーとして放出される場合(無輻射緩和過程)とに分類される(励起種が光化学反応や光損傷等を誘起する分は除く)。前者はフォトルミネッセン
1.はじめに
近年,世界的な人手不足が深刻化しており,日本でも,サービス業,医療・福祉,卸売・小売,製造業で人手不足が顕在化している。特に製造業では,2030年に38万人分の人手が不足すると予想されているが(1),少子高齢化の進行で問題はさらに深刻化すると考えられている。人手不足
1.背景
光音響効果とは,光吸収性材料へのパルスレーザ照射と付随して生じる熱膨張により,超音波が発生する現象である(1)。光音響効果の応用先は多岐にわたり,主要応用先候補の一つに診断治療分野が挙げられる。
診断応用の代表例に,光音響イメージング(Photoacous-
1.はじめに
1831年のFaradayの電磁誘導則の発見以降いち早く研究が開始されたモータは,その後の優れた研究によって19世紀中には多くの基本原理が完成した。そして,20世紀中頃以降からは電気-機械エネルギー変換に関する名著も出版されるようになっている(1)(2)。その後,種々の構造
来る2025年は,自らは「耳庵」と号し,世間からは「電力の鬼」という号を奉られた,松永安左エ門(敬意を込めて,以降,松永翁または単に翁と称す)の生誕150周年にあたる。
日本の電気事業は,1893年に東京電燈が事業認可を得
1.はじめに
近年,人工知能(AI)に関する研究や開発が進められており,画像や音声,自然言語の生成や,ロボット制御など実社会での活用が広がっている。今では囲碁・将棋のような二人完全情報ゲーム*1のみならず,麻雀のような多人数不完全情報ゲーム*2においてもAIの活用が検討され
電気専門用語集No.17絶縁協調・高電圧試験を改正・発行した。この専門用語集No.17は,電気に関する学術・技術の論文,図書,規格,カタログなどの文書,講演,会議などにおいて,情報,思考,或いは意志の正確で迅速な伝達を図るために,電気工学の専門分野ごとに適当な部門を