総合健診
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45 巻 , 6 号
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原著
  • 入道 優子, 白石 紀江, 中田 麻理菜, 酒井 香名, 紙名 祝子, 熊谷 仁人, 田中 英三郎
    原稿種別: 原著
    2018 年 45 巻 6 号 p. 723-728
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】2008年度から特定保健指導を実施し、その効果を示してきた。しかし、担当する保健師に関わらず同様の指導効果が認められるか否かは明らかでない。本研究の目的は、保健師間の指導効果差の有無を検証することとした。

    【対象】2012~2015年度に初めて特定保健指導の積極的支援を受けたA事業所の男性職員で次年度の健康診断を受診している233名(経験年数6~15年の保健師5名が担当)。

    【方法】全体並びに保健師別の腹囲・体重・BMIを特定保健指導受診年度と次年度の健康診断結果で比較した(Wilcoxon符合付順位和検定)。次に、保健師間で腹囲・体重・BMIの変化量を比較した(Kruskal-Wallis検定)。

    【結果】保健師別対象者の背景因子に差はなかった。対象者全体の次年度の健康診断結果は、腹囲・体重・BMIのすべてに有意な減少が認められた。次に、保健師別の次年度の健康診断結果は、腹囲・体重・BMIのすべてに有意な減少が認められた。一方、腹囲(p=0.622)・体重(p=0.511)・BMI(p=0.378)の変化量に保健師間で差はなかった。

    【考察】保健指導の手順書の作成や指導資料の統一、職場内OJTの実施などにより、指導内容の標準化を図っていることは大きな要因であると思われる。また、保健師の経験年数が6~15年であり、これまでの職務経験により得られた結果であるとも考えられ、経験年数が短い保健師や他職種においても同等の結果が得られるか検証する必要がある。保健指導効果を上げるために、今後も技術向上と質の確保に取り組みたい。

    【結論】今回の結果により、保健師に関わらず同等の指導効果が認められていると示唆された。

  • 田中 和子, 堺 義子, 高垣 裕美子, 辻野 京子, 康永 真紀, 中西 英子, 南 慶子, 古林 孝保, 徳永 勝人
    原稿種別: 原著
    2018 年 45 巻 6 号 p. 729-735
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス

     近年増加のみられる逆流性食道炎は、欧米で食道腺癌のハイリスクとされるバレット食道の危険因子である。男性の頻度は女性に比べ高いことが知られているが、男女別リスク因子については明確な報告はない。今回、逆流性食道炎の性別のリスク因子について検討したので報告する。2015年度の当センター上部消化管内視鏡受検者1,062人の内、ロサンゼルス分類-Grade A以上の逆流性食道炎あり群220人(男性188人、女性32人)となし群842人(男性492人、女性350人)について、年代、肥満、油物、飲酒、ストレス、喫煙、萎縮性胃炎なし、食道裂孔ヘルニアの8個の背景因子を男女別に検討し、ロジスティック回帰分析により性別のリスク因子を求めた。また胃粘膜萎縮程度を男女別に検討した。分析の結果、危険因子として男性で有意であったのは、オッズ比順に、食道裂孔ヘルニア(3.2)、萎縮性胃炎なし(2.1)、肥満(1.9)の3因子であった。60歳未満でオッズ比が増える傾向がみられた。女性では食道裂孔ヘルニア(6.8)、肥満(3.6)が有意な危険因子であった。萎縮性胃炎なしは男性のみのリスク因子であった。また女性では、C-2以上の萎縮の存在が男性より少なく、萎縮性胃炎に占めるO-1以上の高度萎縮の割合も男性に比べ有意に低値であった。

  • 林 良子, 谷村 弥生, 小林 ゆう子, 齋藤 百代, 鈴木 正臣, 川本 周司, 出 政勝, 柳瀬 愛, 田中 真理子, 豊田 澄男, 廣 ...
    原稿種別: 原著
    2018 年 45 巻 6 号 p. 736-741
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス

     当地区においては2019年から対策型の胃がん検診に内視鏡検査が取り入れられる予定となった。今後内視鏡検査が増えることが想定され、これまで行ってきた内視鏡検診の実績をまとめ、今後の対応について検討した。

     2012年10月から2017年12月までの5年3か月の間に当院で行った内視鏡による胃がん検診受診者の総数は3,482名であり、そのうち、男性は2,348名、女性は1,134名であった。年代別内訳では40歳代が最も多く(n=1,207)て、次いで50歳代(n=1,085)、60歳代(n=591)、70歳以上(n=141)、20歳代(n=31)の順であった。

     胃がん検診の受診者数はx線検査、内視鏡検診受診者は両群ともに年々増加しているが中でも内視鏡検診受診者の比率が緩やかに増加している。胃がん検診全体の中に占める内視鏡検診の割合は16.3%であった。

     経口内視鏡と経鼻内視鏡の内訳は初年度には経鼻内視鏡を望まれる方の割合が特に多かったが、その後はほぼ一定であり全体では61.3%であった。

     必要に応じて迅速ウレアーゼ試験によるピロリ菌の検査を行っているが実施件数は2015年が最多であり、実施比率は全期間の平均は20.0%であり、その割合は年毎に漸減している。ピロリ菌陽性率は迅速ウレアーゼ試験受診者の32.5%であり、内視鏡検査受診者全体の6.5%である。陽性率は年毎に減少しつつある。

     病理生検実施率は全体としては16.2%であり、各年次の実施率は11.7~22.7%である。

     当院における一般外来患者と検診受診者の合計の内、26.6%が検診受診者である。内視鏡検査受診者の年次推移は13.8~30.0%でありが年毎に内視鏡検診受診者の割合が緩やかに増加していて、2017年が最も多く30.0%であった。

     内視鏡検診で発見された胃がんは6例であり、全例がstageⅠAである。2例は外科切除を行い、4例は当院で行ったESDにて治療が完結した。年齢は50歳~60歳代であり、男性が5例、女性が1例であった。ピロリ菌は2例が陽性であり、3例は陰性、1例は除菌後であった。

     内視鏡検診に伴う偶発症は前処置に伴う薬剤ショック0件で生検後の出血は1件で薬剤散布により止血出来た。経鼻内視鏡受診者に発生した鼻出血に関しては耳鼻科にて止血処置を行った件数は、2件であり重篤な症例はなかった。

総説
  • 高木 重人, 萎沢 利行
    原稿種別: 総説
    2018 年 45 巻 6 号 p. 742-748
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス

     人間ドックは、入院して全身の精密検査を行うことを目的として1954年に開始された。1959年に健保組合を通じて指定病院を紹介する制度が導入されたことにより、一般国民にも容易に受診が可能となり広く普及した。総合健診は、短時間に多数の受診者の健診を実施する自動化健診システムとして1960年代に米国で開発された。日本では1970年より開始されたが、半日で人間ドックと遜色の無い検査内容が受診できる手軽さと、人間ドック同様に優良施設を指定する制度が開始されたことから受診者数が急増した。自動化健診システムの普及にあたって、検査結果の正確性が大前提であったことから、精度管理事業は日本総合健診医学会創設当初からの主要な事業に位置づけられている。今日「日帰り人間ドック」「外来ドック」などの名称で、さまざまな施設で総合健診が実施されているが、「短時間で多数の受診者に正確な結果を提供する」自動化健診システムの理念と、それを裏打ちする精度管理の重要性が、総合健診・人間ドック草創期からの歴史を振り返ることで改めて認識できる。

解説
  • 杉原 栄一郎, 角井 由子, 田澤 美香代, 高橋 雄一, 野村 美加, 福田 洋
    原稿種別: 解説
    2018 年 45 巻 6 号 p. 749-754
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス

     慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)は、NICE studyで得られた有病率から、40歳以上の日本人の約530万人が罹患していると考えられている1)。COPDは喫煙が主な原因でおこる肺の生活習慣病といわれるが、我が国の三大生活習慣病(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)と比べると、いまだ広く認知されていない現状があり、未診断のCOPD患者は多く存在すると報告されている2)。COPDの経年的な呼吸機能の低下や、重症化を防ぐために早期発見は非常に重要であるが、COPDの診断にはスパイロメトリーが必須なため、COPDの早期検出は難しいとされる。

     COPDの早期診断に関して、COPD質問票の有用性や利用の推奨が近年報告されており、産業保健や健診業務においてCOPD質問票を活用することは、COPD対策の1つとなり、また禁煙への動機付けになる可能性もあると考えられる。そこで、今回、潜在性COPDの存在、COPDの認知度に触れ、COPD質問票の活用について解説する。

大会講演
日本総合健診医学会 第46回大会
  • 山下 静也
    原稿種別: 大会講演
    2018 年 45 巻 6 号 p. 755-769
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス

     日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン(GL)2017年版」では、リスク評価はLDLコレステロール(LDL-C)やHDLコレステロール(HDL-C)の情報があり、冠動脈疾患(CAD)発症率がアウトカムとなっている吹田スコアを用いた。また、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群も考慮すべき病態として取り上げ、末梢動脈疾患の中で腹部大動脈瘤や腎動脈狭窄も高リスク病態として取り上げた。脂質異常症の診断基準では、従来の高LDLコレステロール血症、境界域高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセライド(TG)血症に加えて、高Non-HDL-コレステロール血症、境界域高Non-HDL-コレステロール血症を追加した。なお、LDL-CはFriedewald式または直接法で求める。LDL-C直接法は以前よりも正確性が上がり、Friedewald式の代わりに用いることも可能である。TGが400mg/dL以上や食後採血の場合はnon-HDL-C(総コレステロール-HDL-C)かLDL-C直接法を使用する。

     一次予防では糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患(PAD)のいずれかが有る場合には高リスクとし、これらがない場合には、吹田スコアに基づいて10年間の冠動脈疾患発症リスクを算出し、低・中・高リスクに振り分け、それぞれ脂質管理目標値を定める。二次予防では、LDL-C<100mg/dLを目指すが、家族性高コレステロール血症(FH)や急性冠症候群(ACS)の二次予防でLDL-C<70mg/dLの管理目標値を考慮し、他の高リスク病態を合併する糖尿病の二次予防でもこれに準ずる。新薬の登場、小児FHへのスタチン適応拡大などに伴い、FH GLが改訂されたため、診断・治療の記載を詳細に行ったが、FHは早期発見・早期治療が重要であり、健診の意義は極めて大きい。新たな脂質異常症治療薬として上市された選択的PPARαモジュレーターであるペマフィブラートや、PCSK9阻害薬エボロクマブ、アリロクマブ、MTP阻害薬ロミタピドも追加記載した。本稿では動脈硬化性疾患予防のための脂質管理について述べる。

  • 橋本 直純
    原稿種別: 大会講演
    2018 年 45 巻 6 号 p. 770-773
    発行日: 2018/11/10
    公開日: 2019/01/01
    ジャーナル オープンアクセス

     喫煙者の高齢化に伴い喫煙関連疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)と肺癌は疾病負荷の増加に深く関与している。本邦では、労働安全衛生法に基づく法定健診や肺癌検診での胸部レントゲン撮影の機会があり、肺癌の早期発見に寄与している。

     喫煙による気管支上皮細胞・肺胞上皮細胞へのダメージが遺伝子異常の蓄積につながり肺癌発症に影響をもたらすことは広く認識されている。喫煙者に発症する肺癌組織型は扁平上皮癌が腺癌に比較して多いとされていた。近年、フィルター付の喫煙嗜好が肺腺癌の発症増加につながっているとする報告がなされている。この喫煙による気管支上皮細胞・肺胞上皮細胞へのダメージはCOPDを誘発する因子にもなっていて肺癌発見時にCOPDが併存することが多くなる。肺癌症例におけるCOPD併存率を評価するために、我々は気管支鏡検査を受けた肺癌症例に呼吸機能検査をスクリーニング評価として実施した。その結果、COPD併存が半数以上の症例に認めることを明らかにした。あらためてCOPDは喫煙歴を有する高齢男性には一般的な併存疾患であることが確認された。本邦のCOPDの潜在的罹患数とCOPDの実治療者数には20倍以上の開きがある。肺癌検診の際にどのような対象者に呼吸機能検査を提案することが効果的にCOPDを診断することにつながるかを提案していくことは重要な課題である。また、COPDの早期発見がどのような臨床的重要性をもたらすかを明らかにすることも重要である。現在、COPDは治療可能な疾患と認識されている。COPD早期発見による治療への展開が、長寿社会を迎えるための取り組みにつながることを期待したい。

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