目的: 脂肪肝を伴わない高輝度膵の意義について横断研究および前向き試験を行った。
方法: 2001年の当院総合健診センター受診者のうち3, 563名 (男性2, 228名, 平均年齢48.6±8.7歳, 女性1, 335名, 平均年齢46.5±8.5歳) を対象とした。腹部超音波検査にて脂肪肝を認めず肝膵コントラストが陽性のものを軽度高輝度膵, さらに膵実質輝度の著明な上昇を認めるものを高度高輝度膵とした。高輝度膵の成因については飲酒, 喫煙, 運動習慣, 性別, 年齢, BMIを, 生活習慣病については高血圧, 糖尿病, 高脂血症の合併の有無を検討した。
成績: 軽度高輝度膵を男性999例 (44.8%) , 女性397例 (29.7%) に, 高度高輝度膵を男性70例 (3.1%) , 女性14例 (1.0%) に認めた。高輝度膵は男性, 高齢者, BMI肥満者に有意に多く認めた。高輝度膵では生活習慣病の合併を有意に多く認めた。
ロジスティック回帰分析にて男性, 高齢者, BMI肥満, 高血圧, 糖尿病および耐糖能障害, 高脂血症の高輝度膵への関与を認めた。また, 高輝度膵では血清アミラーゼの有意な低下を認めた。
結論: 膵輝度上昇の原因として加齢性変化および脂質, 糖質代謝異常に伴う内臓脂肪の沈着が考えられた。脂肪肝を伴わない高輝度膵は指導の対象としていない施設が多いが, 高輝度膵を認めた場合には体重の減量など生活習慣改善の指導を必要とする。
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