【目的】高血糖要受診判定者の医療機関受診率向上を目指した取り組みの第一段階として、東海大学医学部付属病院のドック受診者で糖尿病治療者や高血糖要受診判定者の割合やその特徴を検討した(調査1)。また2年連続受診した者のうち、高血糖要受診判定者が治療を受けた割合や、連続して未治療である者の特徴を検討した(調査2)。
【対象と方法】調査1:2015年度に東海大学医学部付属病院の人間ドックを受診した13,474人(男性7,554人、女性5,920人)が対象。性別・年代別に糖尿病治療者数や高血糖要受診判定者数を集計し、高血糖要受診判定者における平均HbA1c値を評価した。調査2:2014年度に受診した13,765人のうち、2015年度も受診した10,780人(78.3%、男性6,157人、女性4,623人)が対象。2014年度に高血糖要受診判定であり、さらに2015年度にも糖尿病未治療かつ高血糖要受診判定となった者の数を性別・年代別に調査し、その特徴を検討した。
【結果】調査1:糖尿病治療者の割合は男性7.1%、女性3.3%。高血糖要受診判定者は男性1.9%、女性0.9%。高血糖要受診判定者の平均HbA1cは約7.3%で、働き盛りの年代で高値である一方、高齢者では7%前後であった。調査2:前年の高血糖要受診判定者のうち、翌年に糖尿病治療を受けていた割合は男性51.5%、女性58.3%。特にHbA1c値が高かった若年者の多くが翌年に糖尿病治療中となっており、治療の必要性が高い者が受診につながっていた。
【考察】当日に医師面談で治療の必要性を十分に説明することで、受診を促進することに役立ったと考えられる。健診や人間ドックの目的の一つは早期発見であるが、それはその後に要受診判定者が医療機関を受診してこそ意味がある。必要な者に早期に糖尿病治療を開始できたことは、将来的な糖尿病の重症化を防ぐために非常に重要である。
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