総合健診
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45 巻 , 5 号
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原著
  • 山田 千積, 近藤 真澄, 木村 守次, 奥野 智織, 小田 夏奈江, 椎名 豊, 後田 奈々, 岸本 憲明, 西崎 泰弘
    原稿種別: 原著
    2018 年 45 巻 5 号 p. 607-613
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】高血糖要受診判定者の医療機関受診率向上を目指した取り組みの第一段階として、東海大学医学部付属病院のドック受診者で糖尿病治療者や高血糖要受診判定者の割合やその特徴を検討した(調査1)。また2年連続受診した者のうち、高血糖要受診判定者が治療を受けた割合や、連続して未治療である者の特徴を検討した(調査2)。

    【対象と方法】調査1:2015年度に東海大学医学部付属病院の人間ドックを受診した13,474人(男性7,554人、女性5,920人)が対象。性別・年代別に糖尿病治療者数や高血糖要受診判定者数を集計し、高血糖要受診判定者における平均HbA1c値を評価した。調査2:2014年度に受診した13,765人のうち、2015年度も受診した10,780人(78.3%、男性6,157人、女性4,623人)が対象。2014年度に高血糖要受診判定であり、さらに2015年度にも糖尿病未治療かつ高血糖要受診判定となった者の数を性別・年代別に調査し、その特徴を検討した。

    【結果】調査1:糖尿病治療者の割合は男性7.1%、女性3.3%。高血糖要受診判定者は男性1.9%、女性0.9%。高血糖要受診判定者の平均HbA1cは約7.3%で、働き盛りの年代で高値である一方、高齢者では7%前後であった。調査2:前年の高血糖要受診判定者のうち、翌年に糖尿病治療を受けていた割合は男性51.5%、女性58.3%。特にHbA1c値が高かった若年者の多くが翌年に糖尿病治療中となっており、治療の必要性が高い者が受診につながっていた。

    【考察】当日に医師面談で治療の必要性を十分に説明することで、受診を促進することに役立ったと考えられる。健診や人間ドックの目的の一つは早期発見であるが、それはその後に要受診判定者が医療機関を受診してこそ意味がある。必要な者に早期に糖尿病治療を開始できたことは、将来的な糖尿病の重症化を防ぐために非常に重要である。

  • 堀江 秀茂, 尾田 照美, 柴田 洋子, 伊勢 和美, 坂東 直子
    原稿種別: 原著
    2018 年 45 巻 5 号 p. 614-617
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】サルコペニアの本質である筋肉量低下は、単純なBMI低下で評価できないことが知られている。呼吸筋量低下を示唆するパーセント肺活量(%VC)低下が非喫煙かつ非肥満中年女性のサルコペニア予測因子となり得るかを検討した。

    【方法】平成24年4月~平成29年3月の当施設で呼吸機能検査を実施した40~44歳の非喫煙女性280名(身長145cm未満および1秒率70%未満は除外)を対象とした。%VCをBMIの四分位別(Q1~Q4群)に集計比較検討し、さらにBMIから予想される%VCを求めるため、BMIの昇順に8セグメント(S1~S8)毎のBMIと%VCの平均値を算出した。

    【結果】%VC平均値はBMIの平均的な群(Q2群98.60±10.14、Q3群100.37±11.50)より低い群(Q1群93.81±12.19)で有意に低値であった(Q3vsQ1: p=0.0014, Q2vsQ1: p=0.013)が、BMIの高い群(Q4群98.53±8.86)とは有意差を認めなかった(Q3vsQ4: p=0.29)。また、BMIから予想される%VC をグラフ化すると、やせ域においてはBMIの低下とともに加速度的に%VCが低下することが示されたが、肥満域では%VCの低下は緩やかであった。

    【考察】努力性肺活量が全身の筋量を反映していることを考えると、%VCの低下はサルコペニアの前段階である「筋減弱状態」を反映している可能性があり、非肥満中年女性で%VCの低下がみられた場合は、適切な栄養指導や筋力訓練が必要と考えられる。

    【結語】非喫煙かつ非肥満中年女性において%VCの低下はサルコペニアの予測因子となることが示唆された。

  • 鈴木 隆史, 五関 善成, 田内 一民, 林 務, 冨山 博史, 伊藤 誠悟, 桑島 章, 丸山 雄一郎, 馬場 紀行, 福武 勝幸
    原稿種別: 原著
    2018 年 45 巻 5 号 p. 618-625
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     日本総合健診医学会の事業の一つである精度管理調査には現在約360施設が参加している。データの多くは問題なく評価できているが、血液検体検査においては管理用試料(管理血球)の違いによりメーカー・機器を横並びに評価することができず、メーカーごとに管理血球を変えて評価せざるを得ない状況が続いてきた。この課題を解決すべく、2016年、2017年の第3回の調査に合わせてそれぞれ正常域と異常域を示すように設定した新たな管理血球を用いて全参加施設にパイロット的に測定を依頼した。パイロット試験には各回ともに参加施設数の97%を越える施設に協力していただいた。一部のメーカーの一部の項目で測定モードに起因すると思われるマトリックス効果がみられた。これらデータと入力ミスと思われるデータを除外した血球関連8項目のすべての調査において、変動係数は10%未満の良好なデータを示した。

  • 眞田 千晴, 千 雅子, 西野 玲子, 北浦 喜久子, 宮本 みのり, 鮫島 敬子, 岡部 佳代子, 園尾 広志, 新井 桂介, 小林 亮
    原稿種別: 原著
    2018 年 45 巻 5 号 p. 626-634
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【背景】ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)とは、「運動器の障害のため移動機能の低下をきたした状態」であり、転倒リスクが高まり寝たきりにつながる状態である。特に運動習慣のない者の場合、運動器機能低下の進行の悪循環を起こすため、早い段階で運動習慣を持つことが望ましい。

     そこで、移動能力を簡便に知ることができるロコモ度テストと運動習慣のない者でも安全で取り組みやすいロコモーショントレーニング(以下ロコトレ)の指導を特定保健指導実施時に取り入れ、ロコトレの継続状況をアンケート調査したので報告する。

    【対象と方法】対象は特定保健指導面接時に運動習慣のない者、もしくは軽度運動実施者で希望者73人。ロコモ度テスト(①立ち上がりテスト②2ステップテスト③ロコモ25)とロコトレ(①片足立ち②スクワット)を指導し、実施状況に関するアンケート調査を3か月後と6か月後に行った。

    【結果】年代別のアンケート回答率は40代32.1%、50代61.3%、60代64.0%、70代90.9%で、年代が上がるごとに高くなった。このことから年齢が上がるにつれロコモへの関心が高くなることが示唆された。

     ロコトレの継続率は年代別に40代38.9%、50代68.4%、60代81.3%、70代70.0%であり、40代が最も低く、60代が最も高かった。できない理由は、70代のみに体の不調に関することが挙がり、それ以外は意識や時間に関することを挙げていた。

    【結論】運動に関する支援について、40代は個別での幅広い運動の提案が必要であり、50代はロコトレが運動を始めるきっかけとなり得る。60代では運動の習慣化を図り、70代には身体状況の変化の確認と正しい運動方法を伝えることが重要である。このことから特定保健指導時にロコモ度テストを行い、ロコトレを指導することは運動習慣獲得のチャンスとなり得る。そして健康寿命の延伸のためにも、後期高齢者の年代になるまでに、個々に合わせた方法で運動の習慣化を目指したい。

大会講演
日本総合健診医学会 第46回大会
  • 楽木 宏実
    原稿種別: 大会講演
    2018 年 45 巻 5 号 p. 635-640
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     日本高血圧学会による高血圧治療ガイドライン2014においては、年齢と病態に応じて3つの降圧目標値が示されている。原則として140/90mmHg未満が降圧目標で、75歳以上では150/90mmHg未満を目標とし、忍容性があれば140/90mmHg未満を目指すとしている。一方、糖尿病患者や蛋白尿を伴う慢性腎臓病(CKD)患者においては130/80mmHg未満を目標としている。75歳以上においては、150/90mmHg未満を必須とし、忍容性があれば140/90mmHg未満、糖尿病や蛋白尿陽性CKD患者ではさらに130/80mmHg未満を目指すが、厳格な降圧に関するエビデンスは乏しい。このような原則とは別に、130/80mmHg未満を目指すことが望ましい病態として、抗血栓薬服用中の患者、ラクナ梗塞、脳出血、くも膜下出血既往患者、心筋梗塞後や心血管イベントリスクが重積した心臓病合併患者をあげている。脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートは、このガイドラインに沿ってより実臨床でのエッセンスに絞って記載されている。その後、降圧目標を120mmHg未満群と140mmHg未満群で心血管病発症を比較したSPRINT(Systolic Blood Pressure Intervention Trial)が発表され、120mmHg未満群での優位性が示された。この結果を受けて2017年11月に米国心臓病学会・協会(ACC/AHA)などの団体による新しいガイドラインが発表された。日本高血圧学会も2019年のガイドライン改訂を目標にシステマティックレビューを行っており、その改訂を受けて脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートも改訂されることと考える。

  • 近藤 隆久, 奥村 尚樹, 横井 由宇樹, 室原 豊明
    原稿種別: 大会講演
    2018 年 45 巻 5 号 p. 641-647
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     脳卒中と心血管疾患は、日本人の総死亡の約30%を占め、後期高齢者に限定すると死因の1位である。後期高齢者が激増する中で、心血管疾患の予防は就労世代こそ注意を払われるべき世代である。

     我々は、就労世代の心血管系疾患発症に及ぼす影響を、メタボリックシンドローム・血圧・喫煙について検討した。東海地区の就業男性30,636名を2000年から8年間フォローアップし、メタボリック・血圧・喫煙・尿蛋白・尿酸値が心血管系疾患発症に及ぼす影響を検討した。心血管系疾患・総死亡の調整ハザード比は、メタボリックシンドロームを有すると2.63[95%CI: 1.32-4.72]ならびに4.88[2.95-7.96]と極めて高かった。コンポーネントでは、血圧上昇のイベント発症関与が大きく、次いで血糖上昇であった。血圧では、収縮期血圧109mmHg以下を基準とすると120~129mmHgより調整ハザード比2.02[1.15-5.89]と上昇、140-149mmHgでは7.91[4.28-14.6]と極めて上昇していた。一方、拡張期血圧74mmHg以下を基準とすると、90mmHg以上より急に調整ハザード比は上昇し、90-94mmHgでは10.1[5.14-19.2]であった。喫煙と心血管系疾患発症に関しては、喫煙本数が増加するにつれて心血管疾患は量反応関係を示しており、非喫煙者を基準とすると、1日21本以上の喫煙者の調整ハザード比は、3.19[1.66-6.41]であった。一方、禁煙により総死亡ならびに心血管系疾患は減少しており、4年以上の禁煙では調整ハザード比は0.57[0.34-0.91]ならびに0.27[0.13-0.50]であった。また、尿蛋白+以上ならびに尿酸値7.0mg/dL以上は有意に高血圧症の発症が高かった。

     我が国では、就業者に対する健康診断を使用者に対して義務づけがなされており、将来の脳卒中ならびに心血管疾患の発症予防に健診結果は有用に活用すべきである。

  • 田内 一民
    原稿種別: 大会講演
    2018 年 45 巻 5 号 p. 648-653
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     日本総合健診医学会には、本学会が定める要件を満たし、適格と認められた施設を優良総合健診施設として認定することによって、総合健診の質を保証しようとする制度がある。その定められた要件には、当該施設で行う健診全体の品質管理が行なわれていることが必須であり、優良認定委員会では各施設に対し、新規登録、更新の際に実査委員が施設を実地審査することに加え、毎年施設調査票、施設機能調査票による書類審査を行っている。

     施設調査票の再検率・精検率について、施設から委員会に「再検率・精検率は一般的にどの程度なのか、ある程度の目安が知りたい」との質問が数多く寄せられている。

     今回、当会施設会員319施設の平成28年度施設調査票から再検率、精検率を集計した結果、集計結果が乱離になっていることが明らかになった。施設間の乱離は判定、指導の解釈が異なっていることが原因と考えられる。

     精検率はがん検診では精度管理指標のひとつであり、今回の調査から言葉の定義、解釈を再度確認し、精検率、再検率の計算法を周知徹底し、共通認識を得たうえで、調査票作成時には一般的な判定区分に変換し集計する必要があると思われる。

  • 寺本 民生
    原稿種別: 大会講演
    2018 年 45 巻 5 号 p. 654-659
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     わが国の死因では、主として血管疾患である心疾患と脳血管障害を合わせると、第一位になる。また、医療費の筆頭疾患でもある。したがって、我が国では、血管病予防が極めて重要な保健対策といえる。また、我が国の代表的疫学研究である久山町研究において、最近は脳血管障害に対する危険因子の寄与度として肥満や糖尿病、脂質異常症が高くなってきていることが示されている。したがって、我が国の脳心血管病を予防するためには、血圧はもとより肥満や糖尿病とともに脂質異常症など生活習慣病を管理することが重要であることは言うまでもない。さらに、これらの疾患群は頻度の高い疾患でもあるので、合併していることもあり、その場合には包括的な管理が要求されることがある。

     現在ほぼ確立されているLDL-C、高血圧、血糖、肥満、慢性腎臓病などの脳心血管病の危険因子に対応すべく各学会では診療ガイドラインをまとめている。このような学会を中心に、統合的な血管病管理指針を示そうという機運が高まり、日本内科学会を中心として11学会がその趣旨に賛同し、「脳心血管病予防のための包括的リスク管理チャート」を作成し、2015年に発表した。その基本的コンセプトは、生活習慣の包括的管理によるリスク(喫煙、肥満、血圧、血糖、血清脂質、腎機能など)の改善であるが、各疾患の重積の場合には、薬剤介入を含めた包括的管理が重要であることも強調したことである。また、我が国は、世界に冠たる長寿国家である。そして、高齢者ほど認知症も含めた脳心血管病の好発者であることも認識する必要がある。

     これらの危険因子は一般医家が対応することが多いことから、プライマリーケアの医療において、「脳心血管病予防のための包括的リスク管理チャート」を有意義に活用され、少しでも脳心血管病予防に寄与することができることを念じたい。

  • 塚本 和久
    原稿種別: 大会講演
    2018 年 45 巻 5 号 p. 660-667
    発行日: 2018/09/10
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     総合健診医学会の行った全国約260の健診施設における検査項目別の再検・精検率の調査により、脂質値の再検・精検率は5%未満の施設から65%以上の施設まで、幅広く分布していることが明らかとなった。このように、各施設により再検・精検率が大きく異なる理由として、各施設における再検・精検の基準が異なっていることが強く関与すると考えられ、再検・精検基準の統一化は必要である。

     さて、脂質の再検率が異なる要因は、主として中性脂肪値とLDL-C値の再検閾値の相違によると考える。男性においてはその平均中性脂肪値は確実に上昇してきており、その再検基準値の設定により再検率は大きく異なってくる。また、LDL-C値のスクリーニングに一律の値を用いると、過剰なスクリーニングあるいは過少なスクリーニングを生じる危険性をはらんでおり、個々人の冠動脈疾患リスクに応じた再検値設定が必要である。

     本講演では、中性脂肪再検値についての考察を加えるとともに、LDL-Cに関しては、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版が採用した吹田スコアを参考にした再検基準について言及した。今後の健診データを用いたシミュレーションにより、よりよい再検値設定に結びつくことを期待する。

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