総合健診
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40 巻 , 3 号
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原著
  • 鏑木 淳一
    2013 年 40 巻 3 号 p. 383-389
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
     近年の高齢化社会においては、動脈硬化症と骨粗鬆症を予防し、早期発見により治療介入することが健康長寿、すなわち、高齢者における生活の質を保つために必要である。本研究では、両者に関与する因子として、血清総ホモシステイン濃度測定の臨床的意義を明らかにすることを目的とした。総合健診受診者992例(男女比=672:320、平均年齢=46.3±10.3歳)を対象とした。酵素法により、血清総ホモシステイン濃度を測定した。高血圧症、糖尿病、脂質異常症、心疾患、脳血管障害、ヘモグロビンA1c(JDS)6.5%以上の症例を除外した症例における平均値+2倍の標準偏差値を基準値とした。血清総ホモシステイン濃度高値例と基準範囲例における臨床所見、検査所見を比較検討した。基準範囲は、男性で 22.0μmol/L未満、女性で 14.0μmol/L未満であった。血清総ホモシステイン濃度高値例は、男性で25例(4.6%)、女性で8例(2.6%)に見出された。血清総ホモシステイン濃度高値の男性における臨床特徴として、高血圧症、脂肪肝が認められた。メタボリック症候群非該当例で腹囲 85cm未満の男性では、高血圧症が血清総ホモシステイン濃度高値例の85.8%にみられた。これは、血清総ホモシステイン濃度基準範囲例の9.2%に比べ有意に(P<0.005)高率であった。次に、CXD法による骨密度検査を58例(男女比=15:43、平均年齢=47.8±10.5歳)に行なった。骨密度は、男性で全例正常であった。女性における骨密度低下群6例では、動脈硬化危険因子(高血圧症、脂質異常症、耐糖能異常のいずれか)が5例(83.3%)にみられた。特に、閉経後の骨密度低下群5例では、骨密度正常群12例に比べ、血清総ホモシステイン濃度が高かった。また、全例に、かかる動脈硬化危険因子のいずれかが認められた。血清総ホモシステイン濃度の測定は、骨血管相関の点で有用であることが示唆された。
  • 道場 信孝, 佐藤 淳子, 甲斐 なる美, 那須美 智子, 斉藤 幸子, 倉辻 明子, 平野 真澄, 赤峰 靖裕, 櫻井 由美, 土肥 豊, ...
    2013 年 40 巻 3 号 p. 390-398
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
     これまで高齢者の形態、機能、心理・社会的側面を網羅した性差に関する前向きコホート研究は見られない。本研究ではHealth Research Volunteer Studyのsub-analysisとしてこれらの問題を検討した。対象は全407例中これらの問題の解析に必要で、かつ適切な全てのデータを有する257例である(男性 115例;78±4歳:女性142例;年齢77±4歳)。年齢、観察期間、そして健康背景でも糖尿病、喫煙歴を除いて高血圧、高脂血症について性差は見られなかった。形態に関しては5年の経過で両性ともそれぞれ縮小の傾向を示したが、前後とも筋肉、骨量に関して男性が女性より有意に大きな値を示した。機能的にも聴力を除く全ての項目で両性とも低下を示したが有意な性差を認め、筋力においては男性が女性を上回る値を示した。心臓血管系の指標に関しては上腕の血圧、心拍数では男性の拡張期圧を除けば加齢による変化は両性において認められなかったが、性差に関しても同様で男性の調査開始時の拡張期圧を除いて有意差はなかった。これに対してbaPWVは両性で加齢とともに有意に高くなったが、性差は認められず、このことは両性とも動脈の硬化が加齢とともに進行することを示す。これに対してABIは調査前後で両性とも有意に減少しており、また調査前後とも有意に女性で低値を示した。これは下肢血管の機能とは関係なく身長の有意な加齢による変化と、有意な身長の性差を意味すると考えられる。血液検査ではヘモグロビン値が正常範囲内ではあるが5年の経過で両性とも有意に低下し、また有意な性差を認めた。クレアチニン値にも同様の徴候が見られ、これは筋肉量に関連するものと思われる。その他、転倒、体力・活力の低下感、うつの傾向、疼痛は有意に女性で多く見られた。MMSEに有意差はなかったが、自己効力は男性で有意に高かった。
総説
  • 道場 信孝, 久代 登志男, 日野原 重明
    2013 年 40 巻 3 号 p. 399-406
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
     新老人から学ぶこれからの高齢者健診のありかた。
     超高齢化したわが国においては高齢者の健康の評価とその増進は社会的需要として早急に取り組むべき重要課題の一つである。2000年に始められた新老人運動は高齢者の身体的、心理・精神的、そして社会的機能を高め、社会貢献を維持することを目的として今日に至っている。2002年よりこれらの健常高齢者を対象に脆弱化の進行を検討する5年間の前向き観察単一コホート研究(Health Research Volunteer Study: HRVS)を407例の対象者について開始し、2011年に終了した。この総説ではHRVSの結果をもとに、高齢者の健康の維持・増進への取り組みについて述べた。HRVSの対象群は男性184例(78±4歳)、女性223例(77±4歳)で、全てに対して所定の老年医学的総合評価(CGA)を行った。5年の経過で脱落8.4%、死亡5.4%、脆弱化16%、非脆弱化70.2%であった。脱落、死亡について性差はなく、疾病背景では高血圧、高脂血に性差なく、糖尿病は男性で有意に有病率が高かった。脆弱化に関する単変量解析では18項目について有差を認め、これらに対する多変量解析から以下の4項目が予測因子として抽出された:①歩行速度、②脈圧、③記憶力、④聴力機能低下。これらをもとにした予測式から感度(4項目全てを有する:70%)と特異度(4項目全てなし:93%)を求めた。この結果は脆弱化の予測の可能性を示唆するものであり、適切なCGAによって脆弱化症候群を予測し、早期からの予防的介入によって高齢者の健康の維持・増進への手がかりが得られたと思われる。上記の4因子はいずれも認知症との関わりがあり、さらにHRVSのサブ解析でも、高齢者高血圧の適切な薬物療法の有用性が示されていることから、高齢者に対する適切な健康評価と適時の効果的介入への具体的な戦略の策定が望まれる。CGAの標的はfrailty syndrome(脆弱化症候群)であるが、その定義や診断基準については未だ国際的に統一された見解がない。この総説では、今日広く用いられている二つの方法を解説し、加えてHRVSの結果を踏まえたアプローチについて述べた。
大会講演
日本総合健診医学会 第41回大会
  • 日野原 重明
    2013 年 40 巻 3 号 p. 407-409
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 勝野 眞吾
    2013 年 40 巻 3 号 p. 410-415
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
     学齢期は発育・発達の過程にあり、身体的な基盤が作られるだけでなく、ひとりひとりの意思決定のあり方や価値基準が形成され、それぞれの生活習慣や行動が形作られる時期である。このため、学齢期は、社会から健康に関わる様々な影響を受ける時期である。
     学齢期の子どもたちが通う学校はこれらの健康課題と無縁でいることができないばかりでなく、学校には健康教育を通じてそれらの解決に積極的な役割を果たすことが期待されている。
  • 道永 麻里
    2013 年 40 巻 3 号 p. 416-422
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
     わが国は、戦後の公衆衛生の普及、国民皆保険体制の確立、生活環境の向上等に伴い、国民の健康状態は著しく改善され、乳幼児死亡率の低さ、平均寿命ともに世界のトップクラスを達成するに至った。また、疾病構造の慢性疾患へのシフトに伴い、あらためて予防を中心とした保健事業の重要性が認識されるようになった。
     これからの時代は、長寿に加え、健康寿命の延伸が求められており、日本人の死因の主な疾病であるがんや循環器疾患等の生活習慣病予防がより重要となる。
     そのためには、子どもの時から正しい生活習慣を習得する必要があり、学校現場等における健康教育の重要性が指摘されている。
     健康教育のテーマは、その他にも感染症、メンタルヘルス、性教育、命の大切さなど多岐にわたり、人生を通じた生涯保健の基盤づくりになると考えている。
     また、わが国の保健事業は、各法律に基づく乳幼児健診および妊婦健診、学童健診、事業主健診、特定健診等の健診事業、あるいは予防接種法に基づく定期接種等、国民のライフサイクルに応じた対応が整備されてきた。
     そして、これらの各種保健事業の多くに医師会(主に郡市区医師会)が積極的に関与し、住民の健康の保持・増進に寄与してきた。
     今後、各地域における保健活動の実践に際して、国の健康づくり対策として示された健康日本21(第二次)の運動とどのようにリンクさせていくのか、それぞれの健康指標を達成するにあたり、地域住民への健康教育とどのように関連付けていくのか等、自治体と医師会の連携をさらに強化して実効ある事業を展開することが求められている。
     日本医師会では、今期の会内委員会のうち公衆衛生委員会において、「医師会活動を通した国民のための地域保健のあり方」、また学校保健委員会では「これからの学校健診と健康教育」について、会長諮問が提示され現在鋭意検討しており、今後の地域保健活動に際する医師会の関与のあり方等について考察する。
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