音声言語医学
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53 巻 , 4 号
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総説
  • 船曳 康子
    53 巻 (2012) 4 号 p. 265-275
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    小鳥の歌学習は人の言語発達と同様,期間の限られた(臨界期)音声の後天学習である.その歌学習は,幼鳥時に父の歌(template)を聴き覚える感覚学習期(sensory phase),自分の声を聴いて練習する感覚運動学習期(sensorimotor phase)の2段階でなされ,成鳥後は学習しないとされてきた(結晶化).この臨界期の機構を解明するために,templateのない環境(第1段階の阻害)と聴覚マスキング法(第2段階の阻害)により2段階の学習を操作し,歌を長期的に詳細に解析した.さらに,成鳥後にtemplateの歌を再聴させ,その後の変化も調べた.
    結果,成鳥の学習が困難なのは新しい記憶獲得が難しいためで,記憶保持や感覚運動学習はでき,歌の結晶化後もtemplateの音素に再調律する可塑性は保たれ,この可塑性は配列にはないことがわかった.また,この記憶獲得の臨界期は,templateの獲得や歌の結晶化で終結せず,日齢に起因したものと考えられた.以上より,音素と配列は学習機構も臨界期も異なることが示された.
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  • 角田 晃一
    53 巻 (2012) 4 号 p. 276-280
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    声帯注入術100年の歴史を鑑みれば,成績のいかんを問わず安全な物質が理想であり,自家組織で持続する注入物質の必然性が指摘された.つまり「人間に不自然な物質は,生体の防御機構により淘汰される」と考えられる.
    それに対し1997年以降,声帯溝症に対してラインケ腔に自家側頭筋筋膜を移植する手法,Autologous Transplantation of Fascia into the Vocal folds(ATFV)を用いて声門閉鎖不全と音声の改善を試みてきた.その後の厚生労働省の難治疾患研究事業「声帯溝症」班研究においても有効性は明らかであった.
    一方で再生手術であるがゆえ,細胞そのものの活性の低い加齢による声帯萎縮や,早老症Werner症候群では効果が弱く,再生が遅いなど問題点もある.
    そこで,移植と同時に骨髄から新鮮な分裂機能の高い間葉系幹細胞を動員,つまり自家筋膜移植と同時あるいは前後にG-CSFを静注することで,移植創に幹細胞を効率良く供給し,創傷治癒機転を補強することで,ATFVの効率が上がるのではないかと推測,提案した.
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  • 坂田 善政
    53 巻 (2012) 4 号 p. 281-287
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    本稿では,成人吃音例に対する直接法である流暢性形成法,吃音緩和法,統合的アプローチについて概説した.またこれらの訓練効果に関する近年の知見を紹介し,(1)流暢性形成法には一定のエビデンスの蓄積があること,(2)吃音緩和法は他のアプローチに比べて訓練効果に関する研究が少ないこと,(3)近年では統合的アプローチの立場をとる臨床家が多く,訓練効果に関する研究も増えていることを指摘した.
    加えて,わが国の成人吃音例に対する言語療法の効果に関する研究を概観し,わが国の成人吃音臨床における今後の課題として,(1)評価法の整備,(2)臨床研究の蓄積と質の向上,(3)相談機関の拡充,(4)言語聴覚士の専門性の向上を挙げた.
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原著
  • 岡田 信也, 田村 悦代, 飯田 政弘
    53 巻 (2012) 4 号 p. 288-293
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    われわれは,声門閉鎖不全疾患に対するリハビリテーション手術として,自家脂肪を用いた声帯内自家脂肪注入術を行っている.声帯内自家脂肪注入術の長所は適応範囲が広いことと,異物反応や感染症がないという安全性だが,術後の吸収により手術効果が減弱する例があることが問題点として未解決であった.
    東海大学医学部付属病院群で,2003年8月から2011年4月までの8年間に行った声帯内自家脂肪注入術症例99例について術後経過を検討した.また,注入後の脂肪組織の減量を改善する方法として,脂肪組織に自己の多血小板血漿(PRP:platelet-rich-plasma)を添加して注入する実験結果を示した.
    すべての症例で発声持続時間が延長し症状が改善していた.特に,2003年当初は,腹部の脂肪組織を用い,2005年からは頬部脂肪体を用いてきたので,注入する脂肪組織の違いについても検討した.両者には明らかな有意差は認められなかった.動物実験においてPRP添加により注入後の移植脂肪組織に,増殖傾向が惹起され,萎縮傾向が軽減される可能性が推察された.
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  • 南 和彦, 丸山 萩乃, 土師 知行
    53 巻 (2012) 4 号 p. 294-301
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    喉頭全摘後の代用音声の手段として本邦で一般的に使用されているボイスプロステーシスはグロニンゲンボイスボタン®とプロヴォックス2®であるが,前者から後者にボイスプロステーシスを変更した同一患者の音響分析を含めた音声機能評価の報告は,われわれの知る限りではなく,今回以下のように多方面から音声機能評価を行ったので報告する.
    2011年6月までにボイスプロステーシス発声が可能であった10例のうち,ボイスプロステーシスをグロニンゲンボイスボタン®からプロヴォックス2®に変更した6例を対象とした.自覚的音声機能評価法としては独自質問とVHI-10を使用した.MPTと発話明瞭度の測定に加え,音響分析としてPPQ,APQを測定し,音読時のサウンドスペクトログラムと平均ピッチの経時的変化を調べた.
    他覚的音声機能では明らかな変化はなく,患者自身による自己評価でも大きな変化はなく,大きな問題も生じなかったことから,支障をきたすことなく移行可能であると考えられた.
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  • 志村 栄二, 筧 一彦
    53 巻 (2012) 4 号 p. 302-311
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    dysarthria 5人,健常若年者13人と健常高齢者10人を対象に,短文音読(速度見本あり,速度見本なし)における発話速度の調節課題,発話速度の比較判断,タッピングによる速度の表出,リズムの規則性判断などの実験課題を施行し,速度の知覚や記憶機能について検討した.その結果,dysarthria群のなかには速度の知覚や記憶にも問題がある症例が存在した.dysarthria例に対する発話速度の調節訓練では,このような機能の低下も考慮し,症例に応じた発話速度の訓練方法の検討が必要な場合があることが示唆された.
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  • 朴 賢リン, 宇野 彰
    53 巻 (2012) 4 号 p. 312-318
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,全般的知能が正常である韓国語話者1~4年生の児童を対象とし音韻認識課題,視覚認知課題,語彙課題などを行い音読成績との関連の検討から,ハングル音読正確性と流暢性にかかわる認知能力の発達的変化を検討した.その結果,正確性に関しては音素認識因子,音節認識因子,命名速度因子,語彙因子が有意な予測要因であった.一方,命名速度因子は1年生,音素認識や音節認識因子は2年生までの段階でのみ正確性を有意に予測し3年生以上では語彙因子が正確性を最も有意に予測していた.流暢性に関しては命名速度因子,音節認識因子,語彙因子が有意な予測要因であり,特に命名速度因子は全学年で流暢性を最も有意に予測していた.正確性と同様に音節認識因子は2年生までの段階でのみ流暢性を有意に予測していた.本研究から,音読の正確性と流暢性にかかわる要素的認知能力の相対的な重要性は児童の発達段階によって異なることが示唆された.
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  • 大原 重洋, 廣田 栄子
    53 巻 (2012) 4 号 p. 319-328
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,インクルーシブ環境において初回観察と1年後の再観察の2時期にわたり,平均聴力レベル72.6 dB(レンジ48.7~92.5 dB,1 SD 18.7)の聴覚障害幼児8名を観察した.そして,どのようにコミュニケーション行動,統語構造(MLUm),社会性の発達,聴児側の関わり方等が社会的遊びに影響を及ぼしているか分析した.結果,1年間の経過で遊びの水準が向上し,特に協同遊びは5歳児から6歳児にかけて飛躍的に向上した.1年間の経過で対象児のコミュニケーション行動は向上したが,統語構造(MLUm)の発達的変化は乏しかった.聴覚障害児の協同遊びは,非言語的な手掛かりと状況判断が用いられており,的確な言語内容と構文の使用による社会的遊びの豊かな展開には,個別発達の評価と指導が重要と考えられた.協同遊びの形成には,聴覚障害児と聴児の遊びの発達を前提として,社会性の発達と対象児への障害配慮など両者の発達がダイナミックに改善する様子が観察され,同観点でのインクルーシブ環境の整備の有効性を指摘することができた.
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  • 柳田 早織, 西澤 典子, 目須田 康
    53 巻 (2012) 4 号 p. 329-335
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    目的:痙攣性発声障害(以下,SD)は,いわゆる機能性音声障害との鑑別等,独立した音声疾患としての定義がいまだ確立しているとはいえず,その重症度・治療効果に関する標準的な評価法は確立されていない.そこで,われわれはSDの音声症状である間欠的な声の途切れを定量的に評価し,その特徴を明らかにした.
    方法:対象は外転型SD 8例と健常成人10例とした.「北風と太陽」の文章音読中に3回出現し,条件が異なる(1:句読点なし,2:読点あり,3:句点あり)語頭無声子音を含むモーラ/ta/におけるVOTとその直前の音節での無音区間長を計測した.
    結果:読点あり,句点ありの条件下では,外転型SD例でVOTが有意に延長していた.
    結論:外転型SD例のなかには,句読点の有無(無音区間長の違い)によってVOTが変動する例が存在することが明らかになった.無音区間長を考慮したVOTの計測は,SDの音声症状を定量化するにあたり,有用である可能性が示唆された.
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症例
  • 橋本 かほる, 能登谷 晶子, 原田 浩美, 伊藤 真人, 吉崎 智一
    53 巻 (2012) 4 号 p. 336-340
    公開日: 2012/10/09
    ジャーナル フリー
    0歳代から金沢方式(文字-音声法)で言語訓練中の聴覚障害幼児4例を対象に,日本語対応手話に指文字または手話による助詞が挿入された文に含まれる格助詞の出現時期について検討した.(1)格助詞の初出年齢は1歳11ヵ月~2歳2ヵ月で,健聴児の時期とほぼ同時期であった.(2)4例ともに共通して初出した格助詞は「を」であった.(3)聴覚障害児であっても,幼児期早期より日本語の文構造に沿った日本語対応手話よる単語(助詞は指文字または手話)を用いることにより,健聴児の助詞の発達にそった理解・表出が可能であることが示唆された.
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