(目的) 閉鎖神経反射を起こさない新しいTURシステム (TURis) を開発し, 基礎的検討から臨床へと展開し満足できる結果を得た.
(対象と方法) TURisは新たに考案した切除鏡と, 高周波発生装置よりなる. 切除鏡のシースに回収電極を置き, 潅流液を導電性の生理食塩水に変えることで, 高周波電流はループとシース間に流れ, 閉鎖神経を刺激することがなくなり, 対極板も不要になる. このシステムで机上実験と豚による動物実験を行い, 切開凝固能, 閉鎖神経刺激の有無, 安全性などを確認後, 膀胱腫瘍25例, 前立腺肥大症30例に対しTURisを実施した.
(結果) ループは小型のものが良く, 切開凝固能はTURとほぼ同等で, 閉鎖神経反射もなく安全性にも問題なかった. 臨床例では閉鎖神経ブロックを行わず切開開始時出力280W, 凝固出力120Wで実施したが, 膀胱腫瘍の一例で弱い反射を認めた以外閉鎖神経反射はなく安全に実施でき, 特別の技術は必要としなかった. 切除片がTURより小さいが, 肥大症の切除量の最高は89.9gであり問題はなかった. 平均の手術時間と生理食塩水量は, 膀胱腫瘍で32分, 6,083ml, 前立腺肥大症で42分, 16.100mlであった.
(結論) TURisは生理食塩水下で問題なく実施でき, 閉鎖神経反射も殆ど起こさずブロックは不要である. 対極板も不要で, 生理食塩水は安価かつ安全で経済的にも有利であり, TURを凌駕する可能性が示唆された.
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