オートファジーは、2016年に東京工業大学の大隅良典特任教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで一躍有名になった、細胞内を浄化するシステムだ。現在では、多様な分野から研究者が参画し、体内のさまざまな現象がオートファジーと関連することを見いだしている。そこで今回の特集では、約60年にわたるオートファジー研究の軌跡や最新の研究成果をたどりながら、今後の展望に迫る。
オートファジーは、分解対象となる物質を脂質の膜構造物である「オートファゴソーム」に包み込む。その際に分解するものとしないものを分別している事を明らかにしたのは、微生物化学研究所構造生物学研究部の野田展生部長だ。またオートファジーに関わるたんぱく質の構造を決定するとともに、「液-液相分離」が反応を制御するカギとなることを示した。
東京工業大学科学技術創成研究院細胞制御工学研究センターの牧野支保研究員は、たんぱく質合成に関わるメッセンジャーRNAがオートファジーによって選択的に分解されるメカニズムを明らかにした。
東京工業大学科学技術創成研究院の藤田尚信准教授は、ショウジョウバエの変態期における筋細胞再構築に、オートファジーが関連することを発見し、新たに示唆されたたんぱく質分泌のメカニズムの全容解明に挑む。
日本発の破壊的イノベーション創出を目指し、2020年からスタートしたムーンショット型研究開発事業を紹介する全4回のインタビュー企画。第3回は、目標3「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」を紹介する。鍵となるのは、人と共に成長し、自律的に学習・行動するAIロボットだ。少子高齢化が進む中、災害復旧などの危険を伴う現場で働いたり、科学的原理・解法を自動的に発見したり、あらゆる面で人の暮らしを支える相棒として、AIロボットを活用する社会を目指す。プログラムディレクターの名城大学大学院理工学研究科の福田敏男教授に、日本科学未来館科学コミュニケーターの松谷良佑が聞いた。
【研究成果】乾燥耐性と生産性を両立 植物に作用する化合物発見
【研究成果】スマートウォッチで疑似心拍刺激 緊張を緩和し、ストレス制御に道
【研究成果】網膜の厚さから緑内障の進行予測 機械学習で世界最高の精度を達成
【開催予告】国際化学オリンピックをリモートで開催 2度目の日本主催、OB・OGも運営で活躍