光合成をはじめ、植物は効率的に有用な物質を生産する仕組みを持っている。こうした植物の性質を産業に活用しようとする研究が、近年盛んに行われている。中でも、細胞内小器官であるオルガネラに着目するのは、ERATO「沼田オルガネラ反応クラスタープロジェクト」を率いる、京都大学大学院工学研究科の沼田圭司教授だ。オルガネラを自在に制御する技術を確立することで、物質生産に最適な機能を持つ植物を生み出す基盤技術を構築し、植物を起点とした多様な産業におけるイノベーション創出を目指す。
近年、産業界ではデジタル技術を積極的に取り入れることで生産性を向上させる、デジタル・トランスフォーメーション(DX)が加速している。CREST でも2021年度、新たに「データ駆動・AI駆動を中心としたデジタルトランスフォーメーションによる生命科学研究の革新」研究領域を立ち上げた。この領域ではデータ処理の加速にとどまらず、研究の在り方そのものを転換し、本来研究者が手掛けるべき創造的な研究活動を充実させることで、未踏の生命現象の解明に挑む。研究総括の理化学研究所生命機能科学研究センターの岡田康志チームリーダーと研究総括補佐で同センターの高橋恒一チームリーダーに、狙いや今後の展望を聞いた。
難病の根本的な治療法として、再生医療や遺伝子治療に大きな期待が寄せられている。しかし、安全性や効果の持続性などの課題も多く、いまだ本格的な実用化には至っていない。ときわバイオ(茨城県つくば市)は、従来とは全く異なる手法でRNAに治療用遺伝子を組み込み、細胞質内で遺伝子を長期間安定に発現する技術を開発し、その実用化に取り組んでいる。安全かつ効率良く遺伝子を導入することで、実用的な再生医療や遺伝子治療を実現し、難病に苦しむ世界の人々を救うことを目指している。
【研究成果】食塩は結晶の角に分数の電荷を持っている イオン結晶の工業応用に新展開を期待
【研究成果】緊張によるミスは聴覚情報エラーが原因 ピアノ演奏のパフォーマンス向上策を発見
【研究成果】大規模光量子コンピュータ実現へ前進 高性能な量子光源モジュールを開発
【研究成果】高速の電気分解が可能な装置を開発 医薬品前駆体を合成、わずか19秒で