日本発の新しい学術分野「分子技術」に挑んできたのが、CREST「新機能創出を目指した分子技術の構築(以下、「分子技術」)」研究領域だ。山本尚研究総括のリーダーシップの下、気鋭の研究者15人が切磋琢磨し、数多くの成果を挙げてきた。10月号特集は、研究総括のインタビューとともに、分子技術を計算機科学と生細胞有機化学に適用した研究を紹介する。
原子や分子の種類と個数を入力するだけで、コンピューターが生成物や反応過程を予測してくれれば、新たな化学反応の発見や、革新的な材料の創出につながる。化学反応の経路と生成物を自動的に計算、予測できる反応経路自動探索法の研究開発を進めているのが、北海道大学大学院理学研究院の前田理教授だ。
生きた細胞の中でたんぱく質はどのように振る舞い、どのような働きをしているのか。その解明に一歩近づく分子技術に挑むのが、京都大学大学院工学研究科の浜地格教授だ。狙ったたんぱく質に分子の目印を付けるラベル化技術「リガンド指向性化学」は、生命化学研究や医薬品開発の新しい基盤を築くと期待されている。
世界を変える新技術を生み出そうと挑戦を続けるベンチャー企業を紹介する新連載「世界を変えるSTORY」。第1回目は、従来の細胞選別技術の課題を異分野融合の研究体制で克服し、医療や創薬への貢献を目指すシンクサイト(東京都文京区)の取り組みを紹介する。
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