電子顕微鏡は試料を強い磁場中に置くため、外部磁場の影響を強く受ける磁石や鉄などの磁性材料の原子観察は、極めて困難であると考えられてきた。この88年にわたる常識を覆したのは、東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構の柴田直哉機構長・教授だ。試料に磁場がかからない新構造のレンズを組み込んだ「原子分解能磁場フリー電子顕微鏡(MARS)」を開発するとともに、磁力の起源である原子磁場の直接観察にも世界で初めて成功した。今後、MARSはさまざまな材料・デバイスの開発に大きく貢献することが期待されている。
近年、人工知能(AI)や情報科学(インフォマティクス)の発展により、さまざまな分野でデータ科学との融合による効率的な研究手法を模索する動きが活発になっている。触媒探索の分野でいち早く実験・計算・データ科学を統合した「触媒インフォマティクス」の確立に取り組むのは、北海道大学大学院理学研究院の髙橋啓介准教授だ。資源量が豊富なメタンを、工業的により有用な物質に変換する触媒開発を軸に、触媒科学のパラダイムシフトを目指す。
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