遺伝情報の本体であるゲノムDNAは、たんぱく質が結合した「クロマチン」と呼ばれる分子複合体として細胞核内に収納されている。東京大学定量生命科学研究所の胡桃坂仁志教授はこのクロマチンに着目し、DNAの折りたたみ構造と遺伝子発現の相関を解明するとともに、それらの情報を地図のように記した「クロマチンアトラス」という新たな概念の確立を目指している。こうした生命の遺伝情報利用の根幹が明らかになれば、関連疾患の治療法確立にもつながると大きな期待が寄せられている。
2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症のように、今後も感染力と致死率が高い耐性菌パンデミックが起こる可能性が危惧されている。東京大学生産技術研究所物質・環境系部門の杉原加織講師は、生物と物理、工学を融合した「生物物理工学(Biophysical Engineering)」の分野で、感染予防効果が高いN95マスクの再利用法や抗菌ペプチドを混合した新薬の開発などを通じて、現在そして未来の社会に貢献するテクノロジーを追求している。
目標8「2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安心安全な社会を実現」を紹介する。このプログラムでは、複雑な大気の状態の制御を実現するためのシミュレーション技術を研究するとともに、制御手法の開発とその社会実装を行うことで、課題解決を目指す。プログラムディレクターの理化学研究所計算科学研究センターの三好建正チームリーダーに、日本科学未来館科学コミュニケーター保科優が聞いた。
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