人体との親和性が高いことから、生体材料として大きな注目を集めているハイドロゲル。ソフトコンタクトレンズなどでも実用化されているが、力学的には脆いため、強度と耐久性を併せ持ったゲルが求められている。これに対し、東京大学大学院工学系研究科の酒井崇匡教授は、ゲルの性質を根本から突き詰め、従来の概念を覆す物理法則を次々に発見している。さらに、こうした学理を基盤に人工腱や靭帯の材料にもなり得る、丈夫で強靱なゲルの開発に挑む。
自動車の重量は燃費に直結するため、より軽くて丈夫な材料の開発が進んでいる。しかし、組み立てる際の接合は非常に困難で、材料によっては溶接時に本来の強度特性を損なうこともあるという。この課題に対し、大阪大学接合科学研究所の藤井英俊教授は、高い圧力をかけながら電流を流すことで、強度特性を変えることなく低温で金属同士を接合する「固相抵抗スポット接合技術」を開発した。従来は困難とされた金属同士の接合が可能になるだけでなく、省電力や廃棄物削減など、脱炭素化をはじめとするさまざまな社会課題の解決につながる技術としても大いに期待される。
若手商社員・皆川豊を主人公としたストーリー仕立てで、低炭素社会戦略センター(LCS)が発行する提案書を読み解く連載の第5回。前回、LCSの井上智弘客員研究員と古木真研究員から2050年の電源構成シナリオを学んだ皆川。今回はLCSで電力貯蔵システムとしての新揚水発電について研究している浅田龍造主任研究員、河原崎里子研究員に再生可能エネルギーへの転換について聞いた。
【研究成果】雄の蚊の「耳」を操る物質を発見 繁殖を抑制する新たな方法論の開発に期待
【研究成果】酸があるときだけ分解する光分解性材料を開発 環境にも産業にも有益な材料の創成に道
【研究成果】実験データを電子ノートで記録しAI解析 研究DXやオープンサイエンスの促進に貢献
【研究成果】異常たんぱく質を生体脳で画像化 パーキンソン病などの予防・治療薬開発に光