空間を飛び交う光線は角度、波長、時間などの高次元な視覚情報を含むが、通常のカメラでは平面画像しか撮影できない。これに対し、奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科の向川康博教授は、多様な軸で光を計測する光学的な工夫と情報処理技術を組み合わせることで、豊富な視覚情報を含む画像を得ることに成功した。撮影シーンの深い理解を可能にする見えないものを捉える技術は、産業への応用が期待されている。
植物の性は、雄しべと雌しべが共存する両性花を祖先に、雌・雄へと性別を分離して進化してきた。一方、栽培柿では一本の木の中に雄花・雌花の両者を着生し、まれに雄花から両性花へ先祖返りすることも知られている。性の揺らぎはなぜ起きるのか。岡山大学環境生命科学学域の赤木剛士研究教授は、果物の柿を通じて100年近く謎とされてきた植物の揺らぐ性の仕組みを明らかにした。そのメカニズムは、農業にとって重要な「作物の性別」を自由に制御できる技術への応用が期待されている。
若手商社員・皆川豊を主人公としたストーリー仕立てで、低炭素社会戦略センター(LCS)が発行する提案書を読み解く連載の第4回。前回、LCSの岩崎博特任研究員と河原崎里子研究員にバイオマスエネルギーの可能性と課題について学んだ皆川。今回はLCSでゼロカーボン達成のための電源構成シナリオについて研究している井上智弘客員研究員、古木真研究員に「明るく豊かなゼロエミッション社会」実現の見通しについて話を聞いた。