日本写真学会誌
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63 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 久下 謙一, 矢部 國俊, 青木 直和, 長谷川 朗, 三位 信夫, 羽生 武
    2000 年 63 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    写真乳剤へのテトラゾリウム化合物 (Tz) の添加により, 真空中遅延潜像形成の挙動は大きく影響された。写真感度はTzの添加により大きく減少した。しかし, Tz添加乳剤での遅延潜像形成による感度の上昇は大きく, 遅延潜像形成後の感度は未添加乳剤でのものとほぼ同じレベルに達した。Tzは強力な光分解銀原子の形成サイトとして働き, 潜像核の分散を強めて, ほとんどの粒子で現像可能な核ではなく, 現像不可能な亜潜像核や銀原子種を形成する。真空中ではこれらの分散した核と種が遅延潜像形成により凝集して, 現像可能な核を形成すると考えられる。
  • 舟橋 正浩, 半那 純一
    2000 年 63 巻 2 号 p. 69-77
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    アモルファス有機半導体は大面積均一化が容易であり安価に作製できる事から, 現在, 広く電子写真感光体や電界発光素子に用いられている。しかし, その電気特性, 特に, 電荷輸送特性は満足できるものではない。著者らは, 有機アモルファス材料の大面積適用性を保持したまま, 分子配向性を導入する事により電荷輸送特性の向上を狙い, 液晶性を持つ有機半導体の設計, 物性評価を行った。その代表的な2-phenylnaphthalene誘導体はスメクティック相で両極性の電荷輸送を示し, そのキャリア移動度は, 従来のアモルファス有機半導体よりも3~5桁高く, 10-4~10-2cm2/Vsであり, 電界温度に依存せず, 芳香族化合物の分子性結晶に似た特性を示す。この材料の物性評価の結果をもとに従来のアモルファス有機半導体材料との比較の上で, 新しいイメージング材料としての位置付けについて議論する。また, 液晶相での分子配向性に基づく光伝導性の異方性, それを利用した偏光性電界発光についても述べる。
  • 市村 國宏
    2000 年 63 巻 2 号 p. 78-84
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    光機能化学は光化学反応と材料化学との接点からなる研究領域であり, 本稿では, 光化学反応による分子配向現象と光によって発生する酸あるいは塩基を自己触媒的に増殖する反応について述べている。アゾベンゼンは光異性化を繰り返す結果として, 分子再配向を起こすが, 液晶系と結びつけることによって, 大きな分子増幅が可能となる。一方, 酸増殖剤は光によって発生する強酸によって自己触媒的にスルホン酸を発生する化合物であり, 化学増幅型レジストの高感度化を実現できる。また, 脂肪族アミンを自己触媒的に増殖する塩基増殖剤も開発されており, 増殖型レジストへの応用が検討されている。
  • 内城 禎久, 高木 豪義, 田中 豊英, 小林 範久
    2000 年 63 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    優れた光電特性を有する高分子材料を調製するため, カルバゾリル基を側鎖に導入したポリペプチド (ポリ {γ-[β-(N-カルバゾリル)-エチル]-Lグルタメート}) (PCLG) を合成した。α-ヘリックス構造を有する剛直な高分子であるポリペプチドは主鎖方向に大きな双極子モーメントを有するため, 成膜時に電場を印加することで主鎖を配向させることが可能である。この配向状態を誘電率より算出した配向係数を用いて評価し, 光電特性との相関について検討した。分子量の低いPCLGほど電場配向の影響を受けやすく, また配向性の増加に伴い高い光電流/暗電流比が得られた。このことは分子の規則的な配列が光電特性向上に有効であることを示唆している。PCLG電場配向膜は剛直な主鎖が電場配向されているため, 熱的な配向性の変化が起こりにくいと考えられる。100℃で2時間熱処理を行ったPCLGポーリング膜は処理前と同様な電気特性を示し, 良好な熱安定性を示すことが明らかとなった。
  • 河合 壯, 入江 正浩
    2000 年 63 巻 2 号 p. 92-95
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ジアリールエテンは光異性化に伴い可逆的に屈折率変化を示す。最近, 筆者らは安定なガラス状態を呈するジアリールエテンの開発に成功し, その屈折率変化を検討した。得られた屈折率変化は吸収の無い波長域817nmにおいてΔn=0.038であった。
  • 松山 哲也
    2000 年 63 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1998年, 世界初となるフルカラーフォトポリマーホログラムの量産が開始された。この最先端となるホログラム製品は, 製品の差別化や包装, 販売促進のためのディスプレー, 装飾, プレミアム用途に広く利用が始まっている。本解説ではフルカラーリップマンホログラムの量産化技術の概要と, 量産における再現性, 作製されたホログラムの評価について述べる。
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