順天堂医学
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23 巻, 3 号
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目次
特集 放射線診断
原著
  • 石橋 千昭
    1977 年 23 巻 3 号 p. 355-370
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    胃癌は癌が粘膜内に止まる間は転移は殆んど起こらないが, 癌浸潤が粘膜下層, 固有筋層, 漿膜下層以下へと浸潤するにしたがってリンパ節転移は段階的に増加し, 予後も悪くなるのが普通である. しかし胃癌の肉眼形態上からある程度深達度診断に役立ち, かつ予後にも関係があることがわれわれの胃癌に対する一連の研究から判明した. 一方予後を支配する因子の一つに転移の問題が大きく関与しており外科における術中のリンパ節廓清の範囲を決定することは臨床上重要な問題である. この問題に関しては豊富な報告があるが, 未だ結論は出ていない. そこで著者は外科の立場から同程度の深達度であっても癌の肉眼形態によって組織学的およびリンパ節転移の有無, 程度などによってその予後に相違があり, リンパ節廓清の範囲を決定しうるかどうかを検討した. 対象は当教室で切除した症例のうち粘膜癌および検討に不適当な症例を除いた536例を用い, 肉眼形態より「早期型胃癌」と「ボルマン型胃癌」に2大別し, 組織学的検索, リンパ節転移および予後を分析, 検討した. その結果4.0cm2未満の胃癌では両者ともにリンパ節転移率は低率で, 予後も良好であり, 第2群リンパ節迄の廓清で十分である. 4.0cm2以上の胃癌では両者の間にリンパ節転移および予後の上に明らかな相違があり, 早期型胃癌では第2群リンパ節廓清を原則とし, ボルマン型胃癌では第3群リンパ節廓清が望ましいという結論を得た.
  • 吉田 光宏
    1977 年 23 巻 3 号 p. 371-384
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    胃癌の発生母地に関しては古くから胃ポリープ, 胃潰瘍, 慢性胃炎が重視されていた. しかし近年胃癌の診断学が進歩した現在, 多くの切除胃が得られるようになると, 胃癌発生母地としての胃ポリープ及び胃潰瘍そのものの重要性が疑問視されるようになってきた. そこで著者は小さな胃癌の胃粘膜の状態ほどその癌が発生した時点の状態を温存しているという前提のもとに, 長径が5mm以下の早期胃癌である微小胃癌に着目し, その幽門洞胃炎のパターンから主として高分化型胃癌の発生母地を推定した. 対象は微小胃癌を含む高分化型早期胃癌92例 (98病巣), 各種良性疾患110例, 対象群25例, 異型上皮8例を用い検討した. その結果, 隆起型早期胃癌ではI型と胃ポリープ, IIa及びIIa+IIc型と異型上皮との関係が深く, 陥凹型早期胃癌では病巣内に浅い潰瘍を合併するものでは潰瘍非合併例からの二次的潰瘍化によるものが多く, 深い潰瘍を合併するものでは良性潰瘍のサイクル中からの癌化によるものが多いとの推論を得た. また平坦型及び病巣内潰瘍非合併陥凹型早期胃癌については, 隆起型早期胃癌も含め腸上皮化生との深いつながりを有するとの結論を得た.
  • --発症状況における意味--
    松村 文照
    1977 年 23 巻 3 号 p. 385-396
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    強迫現象に関する先人の業積をたどってみるとき, 多くの研究が個人の心理ないし身近な対人関係だけを論拠としていることがわかる. 人間をとりかこむ社会文化的環境との関係を論じたものは多くはない. また, 一般人をいわゆる正常者として評価し, それにくらべて異常者としての強迫症患者をこれに対置しているものが多い. そのため, 強迫症患者の治療目標は, かれらを一般人と同一化することと考えられがちである. 一般人を無垢の白地とみなし, そこに強迫症患者の影を黒く映しだしているといえる. ところが, 実は一般人自体がすでに必ずしも自地ではなく, 灰色に汚れた部分をもっている. そのような灰色に病んだ地に患者の姿を映し, 一般人と患者の双方の“やま”の相互関係をみつめる試みのなかで, 筆者は強迫現象と社会・文化的環境との関係を考えようとした. 社会に生きる一般人は, 日常生活の規範のかなりの部分を常識に仰いでいる. 日常の生活にとって, 常識は水や空気のごとく不可欠な心の糧である. 一方, 強迫症患者を詳しく観察すると, 独特な常識不適応の様相のみられることが少なくない. そこで常識の特性から出発して, さらに強迫現象と常識との関係についての考察を以下に進めてみたい.
  • 東 義孝, 片山 仁, 徳永 光雄, 小出 敏夫, 西原 春實, 八木 義弘, 穴沢 雄作, 平田 博邦, 桑原 紀之, 和賀井 敏夫
    1977 年 23 巻 3 号 p. 397-402
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    順天堂大学放射線科で昭和49年3月より昭和51年9月までに1056例 (1114件) の乳房撮影を行なった. このうち病理組織が判明したものは255例あり, 乳癌が98例あった. 今回, 次の項目について検討してみた. 1) 乳房撮影と超音波検査との診断率の対比. 2) 癌症例のretrospectiveな分析における乳癌X線所見の出現頻度の検討. 3) 乳房撮影誤診例の検討. 結果は, 1) については乳房撮影のtrue positive rateは79.6%, false negative rateは204%, false positive rateは17.8%で, 超音波検査ではそれぞれ74.4%, 25.6%, 15.4%であった. 2) については出現頻度の高いものからhigh densityの腫瘤陰影75%, 腫瘤陰影の辺縁不整67%, 支持靱帯や乳管の引張り込み像50%, マンモグラム上のサイズが触診のサイズより小さいもの50%であった. 3) については非典型的な形態の乳癌を良性腫瘍と誤診したもの, 撮影時のミス, あるいは撮影困難症例の為に癌を見落したもの, 限局性の良性腫瘍を癌と誤ったものが目立った. 乳房撮影と超音波検査の結果を組み合わせて診断すると乳癌の診断率が著しく向上する事がわかった. 圧迫撮影を活用する事により像が鮮明になり, 読影が容易になる為に診断率が高くなる. 適切な診断を得る為に, 放射線科医が積極的に検査に関与すると共に関係各科との円滑なチームブレーが必要であると考える.
報告
  • 倉沢 忠弘, 加藤 正一, 山根 至二
    1977 年 23 巻 3 号 p. 403-406
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
  • --微小膵癌を伴つた膵石症の1剖検例の検討--
    今井 寛途, 橋本 敬祐
    1977 年 23 巻 3 号 p. 407-414
    発行日: 1977/09/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    Quantitative analysis and histopathological examination of pancreatic lithiasis were done for the purpose to clear the pathogenesis of the stone formation. Our results and references from the literature suggest that the stone should be made after stagnation and concentration of pancreatic juice with trigger action such as chronic alcoholism, chronic relapsing pancreatitis and cancer of pancreas head. The main component of the stone is calcium salts (34%) and a few of Mg, Zn and Phosphate are recogized. Typical histopathological changes of pancreatic lithiasis was observed with late stage of chronic pancreatitis called pancreatic fibrosis. 1. Dilatation of small pancreatic ducts with marked neutrophilic infiltration and abscess formation. 2. Granulation tissues, bleeding and deposition of hemosiderin particles in the duct wall. 3. Marked atrophy and fibrosis of acini and a few of Langerhans islets remained. The remaining islets were often hypertrophic. 4. Marked perineural lymphocytic proliferation were observed, some makes lymphoid follicles.
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