音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
50 巻 , 2 号
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原著
  • 藤峰 武克, 塩谷 彰浩, 齋藤 康一郎, 冨藤 雅之, 角田 晃一, 藤井 正人, 小川 郁
    2009 年 50 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/24
    ジャーナル フリー
    栄養サポートチーム(nutrition support team: NST)で対象となった患者の摂食・嚥下機能を評価するため,原疾患,主科,年齢構成,栄養の投与経路,対象全体と原疾患別の摂食・嚥下機能の障害の程度について調査した.全入院患者をスクリーニングし,栄養障害と判定された66例を対象とした.対象の86%が65歳以上の高齢者であった.原疾患では神経・筋疾患が29%と最も多かった.経口栄養法は40%で,代替栄養は60%で施行されていた.対象の66%に誤嚥が認められ,42%は経口摂取が行われておらず,摂食・嚥下機能は重度に障害されている結果となった.神経・筋疾患,呼吸器疾患の摂食・嚥下機能は他の疾患と比較し,より重度に障害されていた.NSTの対象となった患者に,安全に経口栄養法を実施するためには,個々の患者の摂食・嚥下機能を評価する必要がある.
  • 島守 幸代, 伊藤 友彦
    2009 年 50 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/24
    ジャーナル フリー
    本研究は吃音児が楽に話すことのできる音韻論的要因の一つとして音節に視点を当てたものである. Shimamori and Ito (2007, 2008) は日本語においては語頭音節の核母音から後続する音素への移行部分が吃音の生起に関与する可能性を示唆している. この仮説が正しければ, 単音節のみを産出した場合, 重音節は核母音からの移行があるが, 軽音節はないため, 軽音節のほうで吃音頻度が低くなると予測される. そこで本研究では, 学齢期にある吃音児30名を対象に, 単音節産出課題を用いて, 軽音節の吃音頻度が重音節の吃音頻度よりも低くなるのかどうかを検討した. その結果, 予測通り重音節よりも軽音節のほうで吃音頻度が有意に低くなることが明らかになった. この結果から, 日本語においては語頭音節の核母音から後続する音素への移行部分が吃音の生起に影響を与えるという仮説の妥当性が示唆された.
特集<声の分析と臨床>
  • 牧山 清, 平井 良治, 矢田 修一郎, 児玉 ひとみ
    2009 年 50 巻 2 号 p. 124-130
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/24
    ジャーナル フリー
    発声機能検査は, 声が出にくい, 大きな声が出ない, 声を出すと疲れるなどの発声障害症状を客観的に評価する検査である. 気流阻止法による空気力学的発声機能検査では, 基本周波数, 音圧, 呼気流率に加えて呼気圧を同時測定することができる. 呼気流率に対する呼気圧の値は発声時の気道抵抗を表し, 声門抵抗と一定の関係にある. 音声改善手術を行うことで喉頭での空気力学的動態が改善し, 各パラメータ値も健常域に復帰する. 発声機能検査は, 音声障害患者の重症度判定, 経過観察, 治療効果判定などにきわめて有用な検査である. 臨床応用を目指して研究中である高速ビデオ撮影検査では, 1/2000秒の精度で声帯振動評価が可能である. 現在までに検討した画像解析法, すなわち声門面積波形解析, 声帯振幅解析, 声門開口部解析などについて紹介する.
  • 河原 英紀
    2009 年 50 巻 2 号 p. 131-135
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/24
    ジャーナル フリー
    本稿では, 音声モーフィングと呼ばれる技術が, 声の分析と臨床においてどのような可能性をもつかについて紹介する. 音声モーフィングは, 新しい音声分析変換合成法であるTANDEM-STRAIGHTに基づいている. ここで用いられている分析法は, 病的音声に見られるような複雑な声帯振動にも対応可能であると考えられる. このような分析方法としての可能性に加え, 音声モーフィングとして用いることにより, 治療目標とする声を, 本人の声を用いて事前にシミュレーションできる可能性を有している.
  • 城本 修
    2009 年 50 巻 2 号 p. 136-143
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/24
    ジャーナル フリー
    本報告の目的は, 現時点での音声治療の効果に関するエビデンスを明らかにすることである. 1980年代以降の音声治療の効果に関する文献をButler (2001) らのエビデンスレベルに当てはめて検討したところ, 数は少ないながらエビデンスレベルの高い訓練技法が認められた. 洗練された研究デザインに基づいた効果研究が増え始め, ようやく音声治療は単なるartからart with scienceへと脱却しつつある.
  • 斉田 晴仁
    2009 年 50 巻 2 号 p. 144-152
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/24
    ジャーナル フリー
    音声障害は日常頻繁に診察する疾患で, 最近3年間で4,355人の音声外来の受診者があった. 当院では, 独自の観点から次のような声に関する分析も行っている.
    1. 新しい光源として注目されるLEDを使用したストロボスコープでビデオストロボグラィーを行い, これまでのものと比較, さらに診察方法の違いによる声帯疾患分類の相違点について検討.
    2. 検査機器に頼らず, 就業上での患者の声を直接聴くことの重要性について.
    3. ストレインゲージを用いたリアルタイム呼吸運動チェックシステムの音声治療への応用について.
    以上臨床的な問題点にもふれながら紹介する.
  • 斉田 正子, 斉田 晴仁
    2009 年 50 巻 2 号 p. 153-160
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/24
    ジャーナル フリー
    声楽発声指導は, 今日まで経験に基づいた主観的な方法で行われてきた. 呼吸法の指導は, 声楽発声指導において重要な課題であるが, 見るだけではわかりづらいため, 指導者によっては, 胸腹部の動きを手で確認して行っていた. しかし歌唱中の動きの確認は難しく, またセクハラの問題もあり, 客観的に呼吸運動を知る方法の開発が望まれていた. ストレインゲージは伸展による電気抵抗の変化で伸展度を計測できる機器で, これを胸部と腹部にベルトの一部として取り付け, リアルタイムに呼吸運動を調べるシステムを考案した. データはオシログラフを模したソフトで表示し, 客観的な呼吸運動の観察が可能で, 声楽発声の指導や音声治療の発声訓練に有効であることがわかった.
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