音声言語医学
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最新号
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原著
  • 髙山 みさき, 大西 英雄, 城本 修
    2018 年 59 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/05
    ジャーナル 認証あり

    fMRIを用いて仮名文字の書字における脳賦活部位および,平仮名と片仮名の書字における脳活動の差異を検討した.健常成人14名(24.4±7.0歳)が研究に参加し,提示された絵の単語名称を書く書称課題と,音声提示される単語を書き取る書き取り課題を平仮名,片仮名について実施した.左半球における結果を示す.書称課題では,平仮名は,中前頭回,中側頭回,角回,縁上回等に,片仮名は角回,縁上回等に賦活を認めた.書き取り課題では,平仮名は内側前頭回,中後頭回に,片仮名は上前頭回,上・中後頭回等に活動を認めた.本研究の結果,平仮名および片仮名の書字に関与する脳部位はおおむね共通しており,音韻経路で処理されることが示唆された.また,書称課題では,絵の名称を想起し書字を行う際に文字への変換を行うため,側頭-頭頂領域の賦活が強く認められ,書き取り課題では,聴取した単語のイメージ想起を行うことにより視覚連合野が活動すると考えられる.

  • 許斐 氏元, 渡嘉敷 亮二, 野本 剛輝
    2018 年 59 巻 2 号 p. 141-149
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/05
    ジャーナル 認証あり

    目的:甲状軟骨形成術Ⅱ型(TP2)を行った内転型痙攣性発声障害(AdSD)例の手術効果や,チタンブリッジ(Tb)の大きさと前交連の処置による音声変化を考察する.
    対象と方法:東京医科大学病院においてTP2を施行したAdSDの女性28例が対象で,術前後のVHI-10やMPT,声域,声の詰まり(S)・途切れ(I)・震え(T)を検討した.
    結果:VHI-10は術前平均28.3から術後13.9点に,SとIとTの合計点(Total-SIT)は術前平均3.2から1.1に有意に改善し,術前後のVHI-10とTotal-SITは有意相関した.MPTは分散が減少し,生理的なMPTに収束した.Tbの大きさは術後のSやTと有意な相関が見られ,術前の症状とは相関がなかった.声域の変化には傾向がなく,前交連の処理に問題を疑う1例で音声悪化が見られた.
    まとめ:AdSDにTP2は有用だが,重症で震えが強い例では,大きいTbを使用してもTotal-SITの改善が不十分な例を認めた.

  • 伊藤 美幸, 佐藤 公美, 髙原 由衣, 竹山 孝明, 池田 美穂, 青木 俊仁, 坂本 幸, 吉田 充嬉, 田上 真希, 岡田 規秀, 笠 ...
    2018 年 59 巻 2 号 p. 150-157
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/05
    ジャーナル 認証あり

    学校保健安全法では,児童生徒の聴力検査についてオージオメータを用いて左右別に測定するように規定している.しかし,さまざま障害をもつ特別支援学校在籍児では,本人の応答を必要とする心理検査であるオージオメータによる検査は必ずしも容易ではない.今回,A県下9校の特別支援学校の在籍児における難聴に関する正確な実態把握を行うとともに,医療と連携した指導や支援の充実に資するため聴力検査の専門職である言語聴覚士が乳幼児聴力検査などの方法を駆使して在籍児の聴力測定を実施し,学校保健法に基づく従来の聴力検査の結果と比較した.その結果,従来の聴力検査では,21%の児が測定困難となったが,言語聴覚士による聴力検査では聴力閾値の測定が困難であったのは2%であった.さらに,言語聴覚士による聴力検査を受けた児童生徒のうち18%が要精査であった.種々の障害に難聴が加わるとさらにコミュニケーションや言語発達に支障をきたすため,特別支援学校における学校健診の聴力検査には,専門職による検査の普及が望まれる.

  • 小林 宏明, 宮本 昌子
    2018 年 59 巻 2 号 p. 158-168
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/05
    ジャーナル 認証あり

    吃音のある小学生73名に,国際生活機能分類(ICF)に基づく発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加の質問紙調査を実施した.質問紙は,授業,学級活動,学年・全校活動,教師や子どもとのコミュニケーションにおける発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加に関する計50項目が得意か苦手かを5件法で答えるものだった.その結果,(1)苦手の回答が多かった項目は,授業,学級活動,学年・全校活動に関するもので,そのほとんどは大人数への発話や,長くまとまった話が求められるものであった.ただし,すべての項目で,苦手と回答した者は,得意と回答した者よりも少なかった.(2)学級活動,学年・全校活動に関する項目のなかに,吃音の心理面の問題との中程度の相関のある項目がある一方で,吃音の言語症状との中程度以上の相関のある項目はなかった.(3)発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加とに中程度の相関があった.

症例
  • 阿栄娜 , 酒井 奈緒美, 安 啓一, 森 浩一
    2018 年 59 巻 2 号 p. 169-177
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/05
    ジャーナル 認証あり

    成人吃音者1名に,自宅スピーチ・シャドーイング訓練のみを実施し,その効果を検証した.症例は,自宅で任意のラジオ音声で3ヵ月間,1日10分程度スピーチ・シャドーイング訓練を実施した.訓練終了後の3ヵ月間の追跡期間後に再度追跡調査を実施した.効果の検証に,吃音検査法,日常生活やコミュニケーションでの困難の度合い(OASES-A-J)と心理面の質問紙(吃音の悩み,コミュニケーション態度,社交不安症),発話に関する自己評価を用いた.訓練の結果,吃音検査法の文章音読,絵の説明と自由会話の3場面の吃音中核症状の頻度が低下し,追跡調査時も効果が維持されていた.また,訓練後にOASES-A-Jや吃音の悩みが改善し,コミュニケーション態度が肯定的になり,発話に対する自己評価が向上した.自宅スピーチ・シャドーイング訓練は成人吃音の治療法として,吃音症状と心理的側面の両面に効果をもたらす可能性があることが示された.

  • 木場 由紀子, 山本 美樹
    2018 年 59 巻 2 号 p. 178-187
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/05
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    新生児聴覚スクリーニング(NHS)で自動聴性脳幹反応(自動ABR)により難聴が疑われ,聴性脳幹反応(ABR)では重度難聴という結果であったが,耳音響放射(OAE)は,反応良好でAuditory Neuropathy Spectrum Disorder(ANSD)と診断された女児1例の言語発達について報告する.
    本症例は,早期に発見され,療育を受けていたにもかかわらず,5歳10ヵ月でわれわれが出会った時点で大幅に言語の遅れを呈していた.純音聴力検査結果は,正常域~軽度で,語音聴力検査の結果も聴力レベルの程度に比して大きくは乖離していないにもかかわらず,聴覚情報の入力に障害があった.就学にあたり指文字等の視覚的コミュニケーション手段を導入し,聴覚特別支援学校での教育を受けることで言語発達は大きく促進された.
    本症例は,構音自体に問題はなく,日常会話も可能であるが,音韻操作課題に問題があり,それが言語習得の障壁の一つとなったと推測された.音韻操作課題の問題は,ANSDの時間情報処理の問題に起因する可能性も考えられた.本症例タイプのANSDでは,聴力レベルや語音弁別能にかかわらず,視覚的なコミュニケーション手段が言語習得に重要であると思われた.
    今後新生児聴覚スクリーニングのさらなる普及とともにANSDの診断は増えると予測される.多様なANSDの評価法を確立し,早期より正しい指導方法を適用することが重要である.

短報
  • 髙橋 三郎
    2018 年 59 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/05
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    語頭の音韻・音声的要因は吃音頻度に影響すると報告されている.もし,語頭の要因のみが吃音の生起に関与するのであれば,短い語と長い語の間で吃音頻度に有意差は認められないと予測される.そこで本研究では,語の長さが吃音頻度に及ぼす影響を検討した.対象児は7〜11歳までの吃音児17名であった.刺激語には先行研究よりもバイモーラ頻度の低い2音節2モーラ語,3音節3モーラ語,4音節4モーラ語,5音節5モーラ語を用いた.その結果,5音節5モーラ語は2音節2モーラ語よりも吃音頻度が有意に高かった.以上の結果を踏まえ,学齢期の吃音児においては,語頭の要因のみでは吃音の生起を説明できない群が認められると論じた.

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