線毛を熱処理してそのsubunit (pilin)に分解し,KCl,NaCl,およびMgCl
2の塩類で再構成を試み,その再構成線毛を電子顕微鏡で観察した成績から,つぎのような結論が導かれた。
1. 赤痢菌線毛のsubunitであるpilinは,KCl,NaCl,あるいはMgCl
2の存在下で再び重合して線毛形を構成することができる。
2. 使用した塩類によつて,再構成された線毛は形態学的に多少の相違を示し,NaClではもとの線毛より長い線毛(5∼10μm)を再構成し,KClでは分解前の線毛と同一な線毛と,わずかではあるがカーブしたかなり長い線毛(5∼6μm)が再構成された。また,MgCl
2ではもとの線毛と同一な線毛と,pilinの不整重合と思われる凝集塊を形成した。
3. 使用した塩類のなかで再構成するために最もすぐれている塩類は,KClであると考えられる。
抄録全体を表示