マウスに黄色ブドウ球菌の生菌をFreundのincomplete adjuvantとともにあらかじめ皮下接種したのち,1週,2週,3週間後に同菌の生菌を静脈内接種し,日を追つて腎内菌分布および腎膿瘍形成の頻度に及ぼす影響を調べ,次に静脈内接種前18∼24時間に同菌のα-トキソイドあるいはホルマリン死菌ワクチンを生菌処置1週,2週,3週間後のマウスに皮下接種することにより,腎内菌分布および腎膿瘍形成の頻度に及ぼす影響を調べたところ次のような成績を得た。
1. 生菌で感作処置したマウスに生菌を静注すると,腎内菌数あるいは腎膿瘍形成の頻度が,無処置の健康マウスに比べて増強する傾向が認められた。
2. 生菌感作によるこのような増強は,生菌の静注攻撃前にあらかじめ同菌のα-トキソイドまたはホルマリン死菌ワクチンで前処置しておくことによつて,抑制されることが明らかにされた。
また,これらの実験成績に対して若干の考察が加えられた。
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