ヒト臨床材料およびウシ乳汁中より表支ブドウ球菌をそれぞれ135株, 341株分離し, serum-softagar法を応用して血清学的に型別し, 比較検討を行つた。
これら菌株をserum-soft agar法で発育型を調べたところ, ヒト由来株では22.2%, 乳汁由来株では56.6%がcompact型を示し, ヒト由来株に比較して乳汁由来株では高頻度にcompact型が検出されたo
ヒト臨床材料よりえた血清型の異なる10種の表皮ブドウ球菌をウサギに免疫してえた抗血清を用いてserum-softagar法で血清型別を行つたところ, ヒト由来株では94.3%, ウシ乳汁由来株では83.1%を型別しえた。型別しえたヒト由来株99株中38株が単独型で10型に分類され, 61株は多価型のパターンを示し, 37型に分類された。これらのうち33型, ないし408型の因子血清と反応する菌株が約75.5%認められたが, M-10, 404, 411, N-4型などの因子血清と反応する菌株は数株認められるにすぎなかつた。一方, 乳汁由来株では型別された123株中45株が単独型で8型に分類され, 78株は多価型のパターンを示し, 48型に分類された。単独型ではM-10型と反応する株が全菌株の12.8%を占め, ヒト臨床材料から多数検出された53単独型は認められず, 多価型においても53あるいは21型と反応する菌株の数は少なかつた。また, ヒト由来株ではほとんど認められなかつた404, 411, N-4型などの血清型は多岐に亘る因子血清と反応する菌株が多く, 中でも39型因子血清と反応する株が多く認められた。なお, 408型, 53型はヒト臨床材料, 乳汁など広い分野から多数検出されたことは, こめ両者の株が広範囲に分布しているものと想像された。
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