結核菌と類縁の抗酸菌,
Gordona aurantiacaより抽出したミコール酸含有糖脂質,trehalose-2, 3, 6'-trimycolate (GaGM)の
in vitro培養系における免疫薬理学的作用を検索した。GaGMをリポソームに封入して(GaGMリポソーム),マウスの脾細胞の培養系に添加することにより著明な細胞増殖が認められた。マウスの脾細胞をモノクローナル抗Thy 1.2抗体および補体で処理し,T細胞を除去した脾細胞では,この様な細胞増殖が認められなかつたことから,GaGMリポソームは,内毒素リポ多糖(LPS)に見られるようなB細胞増殖作用を有せず,かつ細胞増殖にはT細胞の関与していることが明らかになつた。また,Sephadex G-10カラムを通過させて,マクロファージを吸着除去した脾細胞が,GaGMリポソームによる細胞増殖を示さなかつたことから,GaGMリポソームによる細胞増殖にはマクロファージの存在が必要であることが示された。さらに,GaGMリポソームは,リンパ球混合培養反応を増強すること,およびallogeneicな腫瘍細胞を傷害するキラーT細胞の誘導を著明に増強することも明らかになつた。
GaGMリポソームをマウスに
in vivo投与することにより,著明な免疫増強作用が認められることはすでに報告したが,今回われわれは,
in vitro培養系においても,免疫増強作用が顕著に検出できることを示し,細胞学的レベルでの機序についての検索を可能にした。
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