Rickettsia prowazekii, R. rickettsii, R. sibiricaおよび
R. tsutsugamushiの16種の化学療法剤に対する感受性を,L細胞を用いた培養細胞系でのリケッチアの発育阻止作用を測定することにより比較した。Tetracycline, demethylchlortetracycline, doxycycline, minocycline, chloramphenicol, kitasamycinおよびrifampicinに対し,4種のリケッチアはいずれも高い感受性を示した。Norfloxacin, ciprofloxacin, ofloxacin等のキノロン剤は,いずれのリケッチアに対しても中等度の作用を示したが,
R. tsutsugamushiは他の3種のリケッチアに比して低い感受性を示した。β-ラクタム剤には供試リケッチアはいずれも感受性が低かつたが,その感受性をリケッチア種間で比較すると,
R. tsutsugamushiはどの菌株も本剤の1,000μg/m
lで発育が阻止されなかつたのに対し,
R. prowazekii, R. rickettsiiおよび
R. sibiricaはbenzylpenicillinの高濃度(25-50μg/m
l)で発育阻止が認められた。これらの所見は
R. tsutsugamushiの特殊性を示すもので,この菌種の鑑別にも応用しうるものと考えられた。
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