TCBS寒天(Tiosulfate-citrate-bile salt-sucrose agar)培地上で硫化水素産生の黒色集落を形成する細菌(以下,硫化水素産生菌と仮称)に対して,pH依存EDTA感受性試験を実施し,菌株間の統一性を検討した。
耐塩性の硫化水素産生菌は,比較菌株として用いた
Proteus mirabilisの細菌学的性状およびイソプレノイドキノン分析の結果と一致した。またpH依存EDTA感受性試験の結果も,
P.mirabilisおよび
P.vulgarisと同じEDTA非感受性群に分けられた。
一方,好塩性の硫化水素産生菌は,比較菌株とした
Shewanella putrefaciens IFO 3908の細菌学的性状およびイソプレノイドキノンの組成とは異なった。pH依存EDTA感受性試験の結果,
S.putrefaciens IFO 3908はEDTA全感受性群であったのに対して,好塩性菌はビブリオ属のいくつかの菌種と同じEDTA pH5感受性群に分けられた。
これらの結果より,pH依存EDTA感受性試験は,同一性状と考えられる複数の菌株に対して,その統一性を検討するための簡便な手段になることを示唆する。
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