大腸菌より2種類の転写促進活性をもつ因子を検出した。リボソームを高塩濃度溶液で洗つた洗液中よりRs因子を,S100分画よりS因子を精製した。Rs因子は非特異的に転写を促進し,S因子はrRNA合成を選択的に促進した。
in vitro転写系には,鋳型としてrRNA遺伝子(rrnB)を持つ形質導入ファージλrif
d18のDNAを用いた。
RNAポリメラーゼ源として,S100を用いた転写系ではrRNAが約50%合成され,ppGpp添加による緊縮調節が観察された。
S100の代りに精製RNAポリメラーゼを用いた転写系に,Rs因子,転写終結因子ρを加えると,7S, 12SのλmRNAと26S rRNAが合成された。ppGpp添加すると,λmRNAはさらに促進され,一方rRNA合成は緊縮調節されず,ppGpp非存在下と同量合成された。しかし,この系にS因子を加えると,Rs因子を加えない場合でも,rRNA合成の促進が観察され,促進されたrRNA量が,ppGppにより元のレベルまで抑制された。
in vitro転写系を鋳型DNA,精製RNAポリメラーゼ,転写終結因子ρ,およびS因子からなる簡素化された系として確立し,この転写と翻訳が共役されていない系で,ppGpp添加により,緊縮調節を
in vitroで再現することができた。
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