日本小児アレルギー学会誌
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29 巻, 2 号
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原著
  • 秋鹿 都子, 山本 八千代, 竹谷 健, 黒坂 文武, 亀崎 佐織
    2015 年 29 巻 2 号 p. 169-180
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/15
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    食物アレルギーを有する子ども(FA群)の母親の全般的な生活の質(QOL)について,0~6歳のFA群の母親280名と,食物アレルギーを有さない子ども(非FA群)の母親187名を対象とし,日本語版The World Health Organization Quality of Life-26(以下,WHOQOL26)を用いて比較検討した.FA群の約7割がアレルギー専門小児科診療所を主な受診施設としていた.FA群の母親は日常生活上での不自由やストレスを感じていたが,ストレスとの付き合い方や休養の取り方を心得ており,育児における夫の協働も得られていた.WHOQOL26について交絡因子を調整して比較した結果,FA群の母親と非FA群の母親には有意な差を認めなかった.小児アレルギー専門医による適切な診療を受けている子どもの母親は,日常生活の制約に対応する能力を高めていることが,全般的なQOLの低下を抑制していると考えられた.WHOQOL26では食物アレルギーの影響が十分に反映され難いため,FA群の母親に特異的な項目で構成されたQOL尺度を用いて検討する必要性が示唆された.
  • 柳田 紀之, 今井 孝成, 佐藤 さくら, 海老澤 元宏
    2015 年 29 巻 2 号 p. 181-191
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/15
    ジャーナル 認証あり
    【目的】鶏卵および牛乳の食物経口負荷試験(以下負荷試験)における摂取方法が出現する症状および治療に与える影響を検討する.【対象・方法】負荷方法を総負荷量を変えず,5分割15分間隔漸増法(以下5分割法)から3分割30分間隔漸増法(以下3分割法)に変更した.5分割法の鶏卵負荷試験陽性126例と3分割法陽性108例および5分割法の牛乳負荷試験陽性17例と3分割法陽性23例の負荷試験結果を後方視的に検討し,両法間で誘発症状,治療,重症度を比較した.【結果】5分割法から3分割法に変更することによる誘発症状の増加や治療を要する割合の増加はなかった.負荷試験中に誘発された症状の重症度に差はなかった.【結論】3分割法は5分割法と比較して,安全性は同等で,より簡便な方法であると考えられた.
  • 吉野 翔子, 下寺 佐栄子, 海老島 優子, 平口 雪子, 大和 謙二, 末廣 豊
    2015 年 29 巻 2 号 p. 192-201
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/15
    ジャーナル 認証あり
    目的:食物アレルギー有病率の増加に伴い,集団生活の中での誤食予防・緊急対応体制の確立は重要な課題である.当センターでは保育園・小学校関係者を対象に食物アレルギーとエピペン®に関する講習会を実施しており,その効果と課題を検討した.方法:講習会に参加した大阪府・兵庫県下の保育園・小学校関係者を対象に,食物アレルギーとエピペン®に関するアンケート調査を実施し552人から回答を得た.結果:保育士・教員の過半数が食物アレルギーに関する講習会を受けたことがなく,食物アレルギーに対する理解・症状出現時の対応についての理解が不十分であった.アナフィラキシー症状出現時にエピペン®の投与が必要な場合にも使用できていない現状が明らかになった.しかし,講習会後にはすべての職種で食物アレルギーおよびエピペン®についての理解度や不安は有意に改善していた.結論:教育現場で適切にエピペン®が使用されるためには,このような講習会は効果的である.また,症状出現時に迅速な対応を行うためには多職種の理解を得ることが重要である.
総説
  • 小林 徹
    2015 年 29 巻 2 号 p. 202-213
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/15
    ジャーナル 認証あり
    近年,根拠に基づいた医療(evidence based medicine)が日本の医療分野においても重要視されるようになった.ランダム化比較試験は根拠に基づく医療を支える重要な柱のひとつである.しかし残念ながらその研究デザインの不備や悪意をもった解析によってランダム化比較試験結果が真実とは異なった形で報告されることがしばしば起こりえる.そのため論文を批判的に読み,目の前の患者に適用可能か否かを判断する論文リテラシーが臨床家に求められている.本稿ではCONSORT声明2010の解説を踏まえ,ランダム化比較試験論文をどのように読解するか実例をあげて解説する.
臨床研究の進め方
  • 佐藤 泰憲, 高橋 翔, 長島 健悟
    2015 年 29 巻 2 号 p. 214-221
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/15
    ジャーナル 認証あり
    臨床試験は,倫理的に許容される範囲内で実施されるヒトを対象とした実験であり,新薬や新治療法などの有効性・安全性を調べるための方法として,科学的に広く認められ,確立している.ヒトに対する実験であるという観点から,臨床試験の実施にあたっては,科学的かつ実施可能性を考慮した厳密なプロトコルを作成すること,被験者に試験の詳細やリスク・ベネフィットをわかりやすく説明した上で同意取得を行うこと,さらにプロトコルに遵守して試験を実施することが要求されている.そのため臨床試験を成功させるキーポイントは,「プロトコル作成」と言っても過言でない.臨床試験のプロトコル作成にあたっては,臨床試験に関わるプレイヤー(医師,生物統計家,CRC,データマネジャ等)が医学,生物統計学,データマネジメント等の様々な側面から検討を行う必要がある.統計的側面から検討を行う際に,3つの重要なポイントがある.1)比較可能性をあげる,2)一般化可能性をあげる,3)精度をあげる.本稿では,上記の3原則を中心に臨床試験の計画・プロトコル立案・統計解析について概説する.
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