【目的】本研究の目的は,人工膝関節置換術患者における主観的側面,背景因子を含む活動,参加に関与する諸要因の関係を明らかにすることである。【方法】人工膝関節置換術を行った118 名に対して,心身機能,活動,参加,主観的健康観,背景因子にあてはまる評価測定を行い,各測定項目の術前後の値を比較するとともに,これらの変数を用いて活動,参加に関与する諸要因の関係についてパス解析モデル構築を試みた。【結果】術前では下肢筋力とTimed up and go test は直接「活動」に,間接的に「参加」に影響を与え,術後は,術前の要因に加えて膝関節疼痛が精神的健康に影響を,精神的健康は「活動」に影響を与え,さらに,性別が「参加」に影響を与えることが示された。【結論】人工膝関節置換術患者に対しては,術後は下肢筋力や疼痛を改善するとともに精神的なケアやサポート,背景因子への考慮も必要であることが示唆された。