理学療法学
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26 巻, 6 号
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報告
  • 佐藤 滋, 鎌田 潤也, 上嶋 健治, 斎藤 花織, 斎藤 雅彦, 小林 昇, 荒川 直志, 川副 浩平, 平盛 勝彦
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 6 号 p. 249-253
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    待機的な冠動脈バイパス術(以下CABG)症例を対象にCABG前後で運動耐容能の変化を検討した。対象はCABGを施行した連続狭心症例(以下AP)33例である。方法は対象全例に心臓外科手術前と、術後に2回の3時点で心肺運動負荷試験(以下CPX)を施行した。すべての対象例は術後1週よりトレッドミルあるいは自転車エルゴメーターによる運動療法を施行した。また同時期に血液検査を行いヘモグロビン量(以下Hb)を測定した。運動耐容能は術後早期は低下するが術後20日程度で術前と同程度に回復した。術前後の運動耐容能の変化は換気効率と最大酸素脈およびHb量の変化と関連を認めた。運動療法施行後の運動耐容能の変化は最大酸素脈の変化と関連を認めた。これらのことよりCABGは運動耐容能の改善を目的に行われるものの,術後早期には一時的に低下することが明らかになった。しかし重篤な合併症がなく早期運動療法を施行すれば,運動耐容能は速やかに回復し20日程度で術前と同程度まで回復することが示唆された。また引き続き運動療法を行うことにより,さらなる運動耐容能を獲得し,より高い生活の質を獲得し得る可能性が示唆された。
  • 白浜 正人, 椎野 泰明
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 6 号 p. 254-259
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチの活動性を評価する指標の一つにLansbury活動性指数がある。現在,広く用いられている方法でもあるが,赤血球沈降速度計測のために採血を行う必要がある。一方,理学療法士が活動性を評価する指標として何が適切であるかいまだ報告はない。1992年,Masonらは3つのVisual Analogue Scaleを基本にした自己記入式の簡易な疾患活動性評価表を提唱しているが,これは6つの質問項目からなり,およそ10分以内に回答できるようになっている。今回,Masonらの試作による疾患活動性評価表を用いてLansbury活動性指数およびADLとの相関を検討した。その結果,Lansbury活動性指数およびADLとの間に有意な相関を認め(Lansbury活動性指数間がr = 0.89,ADL間がr = -0.64),当評価表が慢性関節リウマチの活動性を評価する上で有用であることが示唆された。
  • 川渕 正敬, 敷地 雄一, 松木 秀行, 伊藤 隆夫
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 6 号 p. 260-264
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    当院は,1989年の開設当初よりチームアプローチの充実を図るため様々な取組を行い,1996年にはリハスタッフの病棟配属体制を導入した。この病棟配属体制の効果を明確にするため,病棟配属体制導入前238例と導入後125例を対象にカルテ調査を行い,比較した。結果,病棟配属体制の導入により,自宅復帰率及び退院時のADLを一定に保ちつつ入院期間は平均100日から68日に短縮した。
  • ―大腿直筋・外側広筋・内側広筋の筋持久力における一考察―
    貝谷 誠久, 大西 竜哉, 弘本 律子, 田中 秀和, 生駒 一憲
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 6 号 p. 265-269
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    健常者12名を対象に,1km歩行による膝伸展筋(大腿直筋,外側広筋,内側広筋)の筋活動を測定し,長距離歩行が膝伸展筋に与える影響を検討した。歩行開始時に比べ1km歩行時では,大腿直筋の活動量が増加し,外側広筋は減少した。各筋の活動量に性差は見られなかった。特に,大腿直筋は,立脚相前・中期で増加し,外側広筋は,遊脚相中期で減少した。歩行開始時と1km歩行時での各筋の1歩行周期中における最大活動時期では差は見られなかった。膝伸展筋において,長距離歩行の獲得には,大腿直筋の持久力を考慮する必要があると考えられた。
  • 井垣 誠, 木村 朗, 神田 満, 西澤 晴美, 佐野 憲康, 謝 紹東
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 6 号 p. 270-274
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の運動療法における運動強度は,中等度が一般的であるが,我々は教育し易さ,安全性の確立という観点から,低強度運動療法(50% Anaerobic Threshold:50% AT)を試みている。本研究の目的は,インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者が低強度運動療法を継続することにより,インスリン抵抗性の改善につながる体脂肪減量効果が認められるかどうかを検討することである。対象は,NIDDM患者7名である。運動療法開始時に自転車エルゴメータによる運動負荷テストを施行し,AT値を検出した後,AT負荷値の50%の負荷値を算出した。そして,50%AT強度運動の定常状態の心拍数を求め,この値を運動処方における強度指標とした。被験者7名の50%ATにおける心拍数は97.9 ± 11.6bpmであった。運動療法は,歩行あるいは自転車エルゴメータを選択し,50%AT強度で1回につき30分,1日2回,週に5日の頻度で実施し,4ヵ月間継続させた。検査は4ヵ月間の運動療法前後において,二重X線呼吸法(dual energy X-ray absorptiometry:DEXA法)により体脂肪率(%Fat),除脂肪体重を測定し,合わせて空腹時血糖値,ヘモグロビンA1C(HbA1C),血清脂質について測定した。その結果,全身および上肢,下肢,体幹の部位別%Fatは,運動療法前後を比較して全て有意に低下し,除脂肪体重は有意な変化を認めなかった。空腹時血糖値,HbA1C,血清遊離脂肪酸は有意に低下し,HDLコレステロールは有意な上昇を認めた。このことは,インスリン抵抗性が解除されることにより,血糖コントロールが改善していることを示唆するものであると考えられる。低強度運動療法はNIDDM患者において,除脂肪体重を保持し,体脂肪を減量させる効果があることが判明し,インスリン抵抗性の改善に対してきわめて有効性が高いことが確認された。
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