理学療法学
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50 巻, 4 号
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研究論文(原著)
  • 福王寺 敦子, 中西 和正, 萩原 章由, 松葉 好子, 前野 豊, 山本 澄子
    2023 年 50 巻 4 号 p. 113-121
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/30
    ジャーナル フリー

    【目的】歩行補助ロボットによる歩行練習期間の歩行速度の変化と,歩行速度の変化に関連する因子を重症度別に分析すること。【方法】対象は歩行補助ロボットを使用した歩行練習を2週間実施した回復期脳卒中片麻痺者85名。下肢の麻痺の重症度別に使用前,使用中,使用後の1日あたり歩行速度変化量を比較した。使用中の歩行速度の変化に関連する時間距離因子,股関節屈曲伸展角度と屈曲伸展時間を抽出した。【結果】Brunnstrom recovery stage IVの群のみ使用中の歩行速度変化量が使用前後と比較して増加した。使用中の歩行速度の変化には両側の股関節伸展角度の拡大と麻痺側股関節屈曲時間,非麻痺側股関節伸展時間の短縮が関連していることが示された。【結論】回復期脳卒中片麻痺者における歩行補助ロボットによる歩行練習は麻痺の重症度により使用中の歩行速度の変化が異なることが示された。歩行速度の変化と関連する時間距離因子および関節角度を明らかにした。

  • 葛迫 剛, 村田 伸, 合田 明生, 中野 英樹, 白岩 加代子, 堀江 淳, 野中 紘士
    2023 年 50 巻 4 号 p. 122-128
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/30
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,1年後に骨量が低下した高齢女性における身体機能および生活機能の影響要因を明らかにすることを目的とした。【方法】骨量低下はTスコアが−2.5以下とし,ベースライン時点で骨量が低下していない高齢女性85名を対象とした。1年後に骨量が低下した者を骨量低下群,骨量を維持していた者を対照群として群分けし,ベースライン時点の基本属性,身体機能,基本チェックリストを比較した。【結果】骨量低下の影響要因として,Body Mass Index(以下,BMI)(オッズ比0.761, 95%信頼区間0.612–0.945),基本チェックリストの「運動器の機能」(オッズ比1.995, 95%信頼区間1.020–3.901)が抽出された。【結論】1年後に骨量が低下する高齢者は,ベースライン時点でBMIが低いこと,「運動器の機能」が低下していることに影響を受けることが示唆された。

  • 谷出 敦子, 吉田 司, 渡邉 大輝, 中潟 崇, 山田 陽介, 澤田 奈緒美, 岡林 恵, 島田 秀和, 西 信雄, 宮地 元彦
    2023 年 50 巻 4 号 p. 129-140
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/28
    ジャーナル フリー

    【目的】Body Mass Index(以下,BMI)区分別に指輪っかテストの結果とフレイルとの関連を明らかにすること。【方法】大阪府摂津市および阪南市在住の中高齢者を対象に実施した無記名式郵送調査の回答者8,319人を対象とした。指輪っかテストは,下腿最大周囲長と対象者自身の両手の母指,示指で作る輪の長さの比較から,短周囲長群,等周囲長群,長周囲長群に分類した。フレイルは基本チェックリストを用いて評価した。多変量解析にて指輪っかテストの結果とフレイルの関連を検討した。【結果】フレイル該当割合は,短周囲長群26.6%,等周囲長群16.6%,長周囲長群19.9%であった。なかでも高BMIかつ短周囲長群の39.4%がフレイルに該当し,等周囲長群に比べて有意に高く(オッズ比2.51),身体面,精神心理面,社会面の幅広い下位領域の低下が確認された。【結論】指輪っかテストで短周囲長群に該当する肥満者は,フレイル該当割合が有意に高い可能性が示唆された。

  • 漆川 沙弥香, 森 明子, 日髙 正巳, 永井 宏達, 佐久間 香, 坂口 顕, 福井 淳史
    2023 年 50 巻 4 号 p. 141-147
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/08/04
    ジャーナル フリー

    【目的】月経痛の一因は子宮筋の過剰収縮による虚血とされ,運動による循環動態の改善が期待される。そこで本研究では骨盤底筋群の随意収縮が子宮動脈の血行動態に与える変化を検証した。【方法】20–45歳の健常成人女性に対し,骨盤底筋群の随意収縮による子宮動脈の血行動態の変化を超音波画像診断装置で計測した。メインアウトカムは時間平均最大流速,時間平均平均流速,サブアウトカムは拍動係数,抵抗係数,骨盤底挙上率とした。計測は月経~増殖期,分泌期に実施し随意収縮前後の差を解析した。また,時間平均平均流速の随意収縮前後の変化量と骨盤底挙上率の相関を調べた。【結果】随意収縮前後で時間平均平均流速の主効果を認めた(p=0.023)。時間平均平均流速の変化量と骨盤底挙上率に相関はなかった。【結論】骨盤底筋群の随意収縮は子宮動脈の時間平均平均流速を増大した。骨盤底挙上率は収縮力を表す指標ではないため相関がなかった。

症例研究
  • —ABAシングルケースデザインによる検証—
    武井 圭一, 菅波 美穂, 森田 新平
    2023 年 50 巻 4 号 p. 148-154
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/21
    ジャーナル フリー

    【目的】回復期脳卒中患者に対するリングフィットアドベンチャー(Ring Fit Adventure:RFA)によるエクサゲーム(Exergame:EG)を併用した理学療法の実行可能性を検証した。【方法】80歳代男性の脳梗塞例に,A期を通常理学療法,B期をEGトレーニングと通常理学療法としてABAシングルケースデザインを行った。測定は,心理的指標としてPhysical activity enjoyment scale, 認知的指標として反応時間,Stroop color-word interference test, 身体的指標として30秒椅子立ち上がりテスト,Berg balance scale(BBS),Timed up & go testとした。【結果】BBSは,全期間で改善し,B期において最も大きく改善した。【結論】回復期脳卒中患者に対するRFAによるEGは,従来の理学療法によるバランス改善の効果を促進するプログラムとして理学療法に併用できる可能性が示唆された。

症例報告
  • 佐藤 佑太郎, 松田 涼, 石川 直人, 山田 尚幸, 松田 直樹
    2023 年 50 巻 4 号 p. 155-160
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/21
    ジャーナル フリー

    【目的】橋出血による感覚機能と注意機能に低下を認めた1症例に対し,注意の内的焦点化(Internal focus of attention:以下,IFA)と外的焦点化(External focus of attention:以下,EFA)に着目した理学療法の有効性を確認することとした。【症例紹介】橋出血により重度の感覚機能と注意機能低下を認めた1例とした。回復期入棟時(30病日)~84病日までは臥位での右下肢筋出力向上トレーニング,EFAによる教示を意識した立位荷重練習,歩行練習を主体に実施した。84~124病日では,IFAによる教示を意識したバランス練習や課題特異的な動作練習を主体に実施した。感覚・注意機能,バランス・歩行機能は改善し,屋外歩行自立を獲得し自宅退院となった。【結論】感覚・注意機能低下を認める症例に対しては,介入初期はEFAによる教示を中心に行い,注意・感覚機能の改善に伴いIFAによる教示を用いた介入の実施が有効である可能性が示された。

総説
シリーズ「栄養と理学療法のポイントを考える」
シリーズ「理学療法を取り巻く社会環境の変化とニーズの再考」
編集委員会・編集後記
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