理学療法学
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37 巻, 2 号
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研究論文
  • ―知的機能からみる抽象概念を照合する能力と説明する能力との関係―
    日岡 明美, 沖田 学, 片岡 保憲, 八木 文雄
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 65-69
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,脳卒中片麻痺患者に共感覚を問う課題を提示し,抽象概念を照合する能力および説明する能力を知的機能という視点から明らかにすることである。【方法】脳卒中片麻痺患者30名を対象にブーバ/キキ実験,インタビュー,知的機能検査を行った。実験手順は,ブーバ/キキ実験の回答が得られた後に,「ブーバ」および「キキ」の判断理由の説明を求める2項目のインタビューを実施した。知的機能検査としてMini-Mental State Examination,レーヴン色彩マトリックス検査,Frontal Assessment Batteryを実施した。インタビュー結果から,両方の説明が可能であった群(以下,A群),両方または片方の説明が不可能であった群(以下,B群)に分類し,2群間の各知的機能検査の評価得点を解析した。【結果】抽象概念の照合が可能であった対象者は30名中29名であり,知的機能が高い対象者と低い対象者が存在した。2群間の内訳は,A群16名,B群13名であった。2群間すべての知的機能検査の評価得点において,A群がB群に比べ有意に得点が高かった。【結論】以上のことから,抽象概念を照合する能力は知的機能とは別の能力であるということが示された。また,抽象概念の照合を説明する能力は,知的機能に依存していることが示唆された。
  • 小宅 一彰, 三和 真人
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 70-77
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】歩行中の重心運動を力学的エネルギーで捉え,位置エネルギーと運動エネルギーの交換率(%Recovery: %R)として歩行における重力の利用率を評価できる。本研究の目的は,%Rを用いて若年者と高齢者の歩行特性を検討し,両者の%Rに相違をもたらす原因を解明することである。【方法】対象者は,歩行が自立している高齢者(高齢群)と健常若年者(若年群)各20名であり,三次元動作解析装置で快適歩行の立脚相を測定した。測定項目は時間距離因子(歩行速度,重心移動幅,両脚支持期,歩行率,ステップ長,歩隔),関節運動および筋力がなす仕事量(股関節,膝関節,足関節),%Rである。%Rは力学的エネルギーの増加量より算出した。【結果】高齢群の%Rは若年群より有意に低値であった。高齢群において,立脚相初期における膝関節屈曲角度と遠心性膝関節伸展仕事量が%Rの増加に寄与し,いずれの変数も高齢群は若年群より低値であった。【結論】高齢者の歩行は若年者に比べ重力の利用が乏しく,その主要な原因は立脚相初期における膝関節屈曲運動の減少であることが示された。
  • 小栢 進也, 池添 冬芽, 建内 宏重, 曽田 直樹, 坪山 直生, 市橋 則明
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 78-84
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は高齢者の姿勢制御能力を分類し,どのような姿勢制御能力が年齢,転倒恐怖感,生活活動量と関連するかを明らかにすることである。【方法】高齢者46名を対象に,重心動揺,随意重心移動距離,Functional reach test(FRT),片脚立位時間,バランスマット上での立位時間,不安定板上での立位時間,Timed up and Go test(TUG),転倒恐怖感(FES),生活活動量(LSA)を評価した。因子分析にて姿勢制御項目の分類を行い,各因子項目と年齢FES,LSAとの関連を検討した。【結果】姿勢制御項目は3因子に分類され,因子1には随意重心移動距離FRT,TUG,因子2には重心動揺,因子3に片脚立位時間,バランスマット上・不安定板上での立位時間が該当した。因子1および因子3は年齢,FES,LSAとの間に有意な相関を認めたが,因子2はすべての項目で有意な相関を認めなかった。【結論】姿勢制御能力の中でも,重心移動能力や不安定な状況下で姿勢を修正・保持する能力は,加齢により低下しやすく,転倒恐怖感や生活活動量との関連が強いことが示唆された。
症例研究
  • 剱物 充, 永山 善久
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 85-90
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】新生児医療センター(Neonatal Intensive Care Unit,以下NICU)入院時より理学療法(Physical Therapy,以下PT)を介入した超低出生体重児の運動発達の経緯とPTの効果について検討した。【方法】当院NICUに入院し,脳性麻痺がなく独歩獲得までフォローできた19例を対象とし,NICU入院時からPTを開始した群の特性を調査するために周産期因子8項目について対照群と比較した。次に,PT施行状況別に運動発達の経緯を明らかにする目的で,対象群をNICU入院時PT開始群,退院後の新生児科外来通院時PT開始群,そしてPT未施行群の3群に分類し,頸定から独歩までの各発達指標に到達した際の修正年齢を比較した。【結果】周産期因子の比較では,NICU入院時PT開始群において出生体重が有意に小さく,入院期間は長く,人工換気施行日数は多かった(p < 0.05)。各発達指標に到達した際の修正年齢の比較では,有意差は認められなかった。【結論】超低出生体重児へのPT介入は,運動発達の遅れを取り戻すことに関与する可能性が考えれた。その機序の1つとして,抗重力パターンの体験や感覚機構への介入などを通し,筋緊張や姿勢動作パターンの修正を促す点が示唆された。
短報
  • 岡田 洋平, 矢倉 一, 高取 克彦, 梛野 浩司, 徳久 謙太郎, 生野 公貴, 鶴田 佳世, 庄本 康治
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 91-95
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,パーキンソン病(PD)患者に対する部分免荷装置を用いた床上歩行練習(Body weight-supported overground training: BWSOT)の影響について検討することとした。【方法】対象は6名のPD患者(男性2名,女性4名,年齢76.2 ± 4.0歳,Hoehn & Yahr重症度3 - 4度,罹病期間6.8 ± 2.3年)であった。入院後4週間以上標準的理学療法を行い,その後BWSOTを4週間施行した。評価項目はUnified Parkinson's Disease Rating Scale(UPDRS),Functional Ambulation Category(FAC),歩行速度,歩幅とした。評価はBWSOT前,終了後,終了4週後に行った。【結果】BWSOT終了後,UPDRS全体,日常生活動作,運動の各スコアおよび,歩行速度,歩幅が介入前と比較して有意に改善し,終了4週後も維持された。FACは評価期間中変化がなかった。【結論】BWSOTがPD患者の歩行能力やその他の運動能力,日常生活動作能力を改善させる上で有用であることが示唆された。
調査資料
  • ―医療機関におけるリハビリテーション算定終了者の調査より―
    後藤 健一, 清水 和彦, 内藤 貞子, 上村 晃寛, 太田 進
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 96-101
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】介護保険下のリハビリテーション(以下リハ)への「入り口」である医療機関におけるリハ算定終了者の調査を行うことにより,今後の医療介護連携のあり方を考える上で必要な情報を得ることを目的とした。【方法】豊橋市内の理学療法士・作業療法士のいずれかが勤務する医療機関19施設中17施設において3ヶ月間のリハ算定終了者数とリハ算定終了時に運動機能低下条件(公共交通機関を使用し遠方まで外出できない)に該当する者の運動機能を調査した。【結果】リハ算定終了者1,193名のうち運動機能低下条件に該当する者は408名であり,これらの者を介護保険下の個別リハ対象者とすると,年間対象者は豊橋市の人口の0.44%を占めた。【結論】医療機関から介護保険下の個別リハに結び付けることが必要な年間人数を運動機能から推定した場合,日本全国で約56万人に上ることが示された。
平成20年度研究助成報告書
  • 高尾 敏文, 斉藤 秀之, 田中 直樹, 飯塚 陽, 山口 普己, 奥野 純子, 柳 久子
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 102-103
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺患者に対して,体重免荷装置とトレッドミルを組み合わせた歩行練習(Body Weight Support Treadmill Training: BWSTT)が注目されている。有効性についての報告の多くは短期的・長期的な変化をみているものであり,即時的な変化を観察したものはむしろ皆無である。実施した練習の即時効果が明確であることは,患者が練習を継続するうえで心的に重要な要素のひとつであると考え,慢性期脳卒中片麻痺患者に対するBWSTTの即時効果を検証することを目的として本研究を実施した。対象は監視以上の歩行能力を有した慢性期脳卒中片麻痺患者8名(平均年齢59.0 ± 9.0歳,女性2名)で,片麻痺の原因疾患は脳出血5名,脳梗塞3名,麻痺側は右7名,左1名,発症からの期間は54.4 ± 39.5ヵ月であった。BWSTTプロトコルは,免荷量は体重の20%,トレッドミル速度は介助無しでの最大歩行速度,練習時間は20分とし,週3回・4週間を基本として計12回のBWSTTを実施した。BWSTT実施前後で歩行速度および歩行率(それぞれ快適,最大)を測定し,歩行速度に対するBWSTTの即時効果を示唆する結果を得た。
  • 武藤 友和
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 104-105
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,訪問リハビリテーション(訪問リハ)が在宅要介護者の排泄行為に対する介護負担にどのような役割が担えるか検討した。【対象と方法】当院訪問リハ対象者で家族が介護に参加している91名に対し,一番負担に感じる介護内容と回数・方法についてアンケートを実施,またPTによる評価にて介助量の調査を行った。訪問リハ介入後も同様のアンケートと評価を実施した。【結果】排泄行為の介護を一番負担に感じているケースが72名(79%),その半分以上のケースで夜間はベッド上オムツという状況だった。訪問リハの介入において,17名(24%)のケースで介護負担軽減が確認できた。しかし,排泄介護が一番負担になっている状況に変化はなった。【結語】訪問リハの導入によって適切なチームアプローチが可能になる。介護保険のサービスを最大限活用するためにはPTの介入が必要なことが再認識された。
  • ―介護支援専門員のアンケート調査を通して―
    稲田 健吾, 土屋 隆史, 安藤 聡美, 高野 香代, 菅家 美穂子, 須田 恵, 腰塚 裕
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 106-107
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,訪問リハビリテーション(訪問リハ)の利用回数が他の介護保険サービスに比べて低い要因を,介護支援専門員(ケアマネ)からの視点から探ることで,訪問リハの利用回数の向上をはかれるかどうか検討することを目的とした。対象は東京都内のケアマネとし,無作為に選定した200事業所(無作為群)と当院の訪問リハを利用している66事業所(訪リハ利用群)へ,アンケート用紙を配布し併せて85枚回収した。アンケートの結果,回答者は福祉系の職種が半数以上を占め,無作為群と訪リハ利用群では,訪問リハ事業所数の把握について差があった。ケアマネから期待されているリハビリテーションは「関節可動域訓練」「筋力強化」「歩行」が上位に並び,機能回復訓練に重点をおいている傾向にあった。これらから,ケアマネが訪問リハを導入するにあたっては,事業所や従事者数の不足とともに,導入に際してはリハビリテーションの内容についてケアマネの裁量に依存する傾向があるといえた。
  • ―理学療法士が介入している多施設間の横断研究―
    田中 亮, 梶村 政司, 井出 善広, 吉田 俊之, 大原 寿, 小澤 淳也, 戸梶 亜紀彦
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 108-109
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,理学療法士による運動療法実践者の顧客満足度向上の意義を臨床的な観点から検討するために,顧客満足と運動に対する動機づけとの関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】理学療法士が介入している4施設において運動療法を実践している215名を対象に質問紙調査を行った。顧客満足度の測定にはCSSNSを使用し,運動に対する動機づけの測定にはBREQ-2を使用した。顧客満足と運動に対する動機づけとの関連について,施設ごとに相関分析とパス解析を行った。【結果】相関分析の結果,4施設とも,顧客満足は運動に対する動機づけのうち,自己決定的な動機づけと有意に関連していた。しかしながら,パス解析の結果では,顧客満足の下位概念と運動に対する動機づけとの関連は,4施設で一貫した傾向にないことが示された。【結論】運動に対する動機づけに影響を及ぼす顧客満足の下位概念は施設間で一貫しないが,運動療法実践者の顧客満足自体は運動に対する自己決定的な動機づけに影響を及ぼすと考えられる。
  • ―ICFに基づく帰結評価を用いた介入比較研究―
    石坂 正大, 金子 純一朗, 福田 真人, 坂川 昌隆, 丸山 仁司
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 110-111
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    これまで,運動負荷は至適運動負荷指標を参考に進めているが,活動や参加の評価を十分反映しているとは言えない。本研究は入所者の活動を評価し,至適運動時間について検討を行った。その結果,15時以降の活動時間が十分でない事が示唆され,サーキットトレーニングに参加することで活動の改善を図ることができた。よって,至適運動負荷指標において,実施時間に関する評価の重要性が示唆された。
  • 塩田 琴美, 橋本 俊彦, 高梨 晃, 松田 雅弘, 野北 好春, 川田 教平, 宮島 恵樹, 池田 誠, 堀部 浩司, 小林 真紀子, 井 ...
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 112-113
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は,透析施行中に運動療法を実施し,その介入前後での身体機能の効果およびADL・QOLに与える影響について明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,血液透析患者12名とした。運動療法介入前にADL・QOLに関するアンケート調査,筋力,歩行能力およびバランス能力の身体機能の測定を実施した。介入方法は,体幹・下肢の筋力増強を中心として,運動負荷量を各個人ごとに設定し,透析施行中にベッド上で行った。運動療法介入2ヵ月後にアンケート調査および身体機能の測定を再度行い,介入前後でt-検定を用いて比較検討を行った。【結果】透析施行時に運動療法を行うことで,身体機能だけでなくADL・QOLの向上も認めた(p < 0.05)。【結論】今後,継続的に運動療法を行うことで,更に身体機能の改善やADL・QOLの向上につながると考えられる。
  • 田中 直樹, 高尾 敏文, 飯塚 陽, 矢野 博明, 奥野 純子, 斉藤 秀之, 柳 久子
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 114-115
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    近年,リハビリテーション分野においてロボット技術が応用されている。本研究の目的は,歩行リハビリテーションに対して開発された部分面型ロコモーションインタフェースGaitMaster4の維持期脳卒中片麻痺患者に対する効果を検証することである。研究デザインにはランダム化クロスオーバーデザインを使用した。対象者12名をランダムにグループA,Bに割り付け,介入期,非介入期を設けた。グループAは介入期,非介入期,グループBは非介入期,介入期の順で実施した。対象者は介入期に週3回を4週間または週2回を6週間の合計12回のGM4を用いた歩行リハを実施し,非介入期では週1回の測定を実施した。主たる評価項目は10m歩行速度とした。介入期では歩行速度の有意な増加が認められ,非介入期では有意な増加は認められなかった。また,介入期,非介入期の比較では介入期で有意な歩行速度の増加が認められた。GM4を用いた歩行リハは維持期脳卒中片麻痺患者の歩行能力改善に効果があることが示唆された。
  • ―骨格筋電気刺激後の血糖値上昇抑制効果の検討―
    中尾 聡志, 上野 将之, 野村 卓生, 池田 幸雄, 末廣 正, 公文 義雄, 杉浦 哲郎
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 116-117
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,有酸素運動が実施困難な糖尿病患者に対し実施可能,かつ糖代謝改善に有効な理学療法(物理療法)を検討することであり,その基礎的研究として,健常成人の安静時・神経筋電気刺激後の血糖値およびインスリン値を比較検討することである。対象は健常成人20名とした。方法は連続した2日間にて安静時・神経筋電気刺激時の2条件において75gのブドウ糖を経口摂取し糖負荷後0分・30分・60分・90分・120分時の血糖値・インスリン値を測定した。結果より神経筋電気刺激群は糖負荷後30分時の血糖値・60分時のインスリン値が安静群と比較し有意に低下しており,神経筋電気刺激による血糖上昇抑制効果が認められた。本研究結果より健常人において神経筋電気刺激により血糖上昇抑制効果が期待できることが示された。今後,糖尿病患者において有効性を検討する必要がある。
  • 遠近 高明, 吉永 邦彦
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 118-119
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は行動変容を目的とした治療介入が,訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)サービス利用者に対しどの程度効果があるか検証し,行動変容技法を今後の訪問リハの治療手法の一つとして確立することであった。5名の被検者に対して行動変容技法を用いて8週間にわたって治療介入を行った。結果,筋力やバランスなど運動機能面の変化が得られ,身体機能面の維持向上につながった。運動継続にはセルフエフィカシーや結果期待への配慮が重要であり,行動変容技法は訪問リハの治療手法の一つとして有効であると考えられた。
  • 徳久 謙太郎, 河村 隆史, 兼松 大和, 三好 卓宏, 庄本 康治, 嶋田 智明
    原稿種別: 本文
    2010 年37 巻2 号 p. 120-121
    発行日: 2010/04/20
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】脳卒中患者の日常生活動作(ADL)に関連した身体動作能力を評価する新しい尺度,脳卒中身体動作能力尺度Stroke Physical Performance Scale(SPPS)を開発すること,およびその心理測定特性を検討することである。【方法】脳卒中患者のADLの観察から作成した仮尺度を,3施設の脳卒中患者102名に実施した。ラッシュ分析後,開発する尺度の項目を3つの基準にて選択することにより完成させ,尺度の検者間信頼性・併存的妥当性について調査した。【結果】項目選択の結果,仮尺度25項目中9項目が除外され,16項目のSPPSが完成した。その検者間信頼性は良好であり,併存的妥当性も確認された。【結論】SPPSは間隔尺度化の可能な,項目階層性・一次元性を備えた尺度として完成し,良好な信頼性・妥当性が確認された。SPPSは臨床・研究場面において有用であることが示唆された。
臨床入門講座『根本からわかりやすく学ぶ』
第1シリーズ「ボバースアプローチのこれまで,そしてこれから」
臨床実践講座『実践を通した臨床能力の開発』
第1シリーズ「理学療法の考え方・診方・関わり方の提案」
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