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高尾 敏文, 斉藤 秀之, 田中 直樹, 飯塚 陽, 山口 普己, 奥野 純子, 柳 久子
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
102-103
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
フリー
脳卒中片麻痺患者に対して,体重免荷装置とトレッドミルを組み合わせた歩行練習(Body Weight Support Treadmill Training: BWSTT)が注目されている。有効性についての報告の多くは短期的・長期的な変化をみているものであり,即時的な変化を観察したものはむしろ皆無である。実施した練習の即時効果が明確であることは,患者が練習を継続するうえで心的に重要な要素のひとつであると考え,慢性期脳卒中片麻痺患者に対するBWSTTの即時効果を検証することを目的として本研究を実施した。対象は監視以上の歩行能力を有した慢性期脳卒中片麻痺患者8名(平均年齢59.0 ± 9.0歳,女性2名)で,片麻痺の原因疾患は脳出血5名,脳梗塞3名,麻痺側は右7名,左1名,発症からの期間は54.4 ± 39.5ヵ月であった。BWSTTプロトコルは,免荷量は体重の20%,トレッドミル速度は介助無しでの最大歩行速度,練習時間は20分とし,週3回・4週間を基本として計12回のBWSTTを実施した。BWSTT実施前後で歩行速度および歩行率(それぞれ快適,最大)を測定し,歩行速度に対するBWSTTの即時効果を示唆する結果を得た。
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武藤 友和
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
104-105
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
フリー
【目的】本研究では,訪問リハビリテーション(訪問リハ)が在宅要介護者の排泄行為に対する介護負担にどのような役割が担えるか検討した。【対象と方法】当院訪問リハ対象者で家族が介護に参加している91名に対し,一番負担に感じる介護内容と回数・方法についてアンケートを実施,またPTによる評価にて介助量の調査を行った。訪問リハ介入後も同様のアンケートと評価を実施した。【結果】排泄行為の介護を一番負担に感じているケースが72名(79%),その半分以上のケースで夜間はベッド上オムツという状況だった。訪問リハの介入において,17名(24%)のケースで介護負担軽減が確認できた。しかし,排泄介護が一番負担になっている状況に変化はなった。【結語】訪問リハの導入によって適切なチームアプローチが可能になる。介護保険のサービスを最大限活用するためにはPTの介入が必要なことが再認識された。
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―介護支援専門員のアンケート調査を通して―
稲田 健吾, 土屋 隆史, 安藤 聡美, 高野 香代, 菅家 美穂子, 須田 恵, 腰塚 裕
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
106-107
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
フリー
本研究では,訪問リハビリテーション(訪問リハ)の利用回数が他の介護保険サービスに比べて低い要因を,介護支援専門員(ケアマネ)からの視点から探ることで,訪問リハの利用回数の向上をはかれるかどうか検討することを目的とした。対象は東京都内のケアマネとし,無作為に選定した200事業所(無作為群)と当院の訪問リハを利用している66事業所(訪リハ利用群)へ,アンケート用紙を配布し併せて85枚回収した。アンケートの結果,回答者は福祉系の職種が半数以上を占め,無作為群と訪リハ利用群では,訪問リハ事業所数の把握について差があった。ケアマネから期待されているリハビリテーションは「関節可動域訓練」「筋力強化」「歩行」が上位に並び,機能回復訓練に重点をおいている傾向にあった。これらから,ケアマネが訪問リハを導入するにあたっては,事業所や従事者数の不足とともに,導入に際してはリハビリテーションの内容についてケアマネの裁量に依存する傾向があるといえた。
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―理学療法士が介入している多施設間の横断研究―
田中 亮, 梶村 政司, 井出 善広, 吉田 俊之, 大原 寿, 小澤 淳也, 戸梶 亜紀彦
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
108-109
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
フリー
【目的】本研究では,理学療法士による運動療法実践者の顧客満足度向上の意義を臨床的な観点から検討するために,顧客満足と運動に対する動機づけとの関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】理学療法士が介入している4施設において運動療法を実践している215名を対象に質問紙調査を行った。顧客満足度の測定にはCSSNSを使用し,運動に対する動機づけの測定にはBREQ-2を使用した。顧客満足と運動に対する動機づけとの関連について,施設ごとに相関分析とパス解析を行った。【結果】相関分析の結果,4施設とも,顧客満足は運動に対する動機づけのうち,自己決定的な動機づけと有意に関連していた。しかしながら,パス解析の結果では,顧客満足の下位概念と運動に対する動機づけとの関連は,4施設で一貫した傾向にないことが示された。【結論】運動に対する動機づけに影響を及ぼす顧客満足の下位概念は施設間で一貫しないが,運動療法実践者の顧客満足自体は運動に対する自己決定的な動機づけに影響を及ぼすと考えられる。
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―ICFに基づく帰結評価を用いた介入比較研究―
石坂 正大, 金子 純一朗, 福田 真人, 坂川 昌隆, 丸山 仁司
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
110-111
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
フリー
これまで,運動負荷は至適運動負荷指標を参考に進めているが,活動や参加の評価を十分反映しているとは言えない。本研究は入所者の活動を評価し,至適運動時間について検討を行った。その結果,15時以降の活動時間が十分でない事が示唆され,サーキットトレーニングに参加することで活動の改善を図ることができた。よって,至適運動負荷指標において,実施時間に関する評価の重要性が示唆された。
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塩田 琴美, 橋本 俊彦, 高梨 晃, 松田 雅弘, 野北 好春, 川田 教平, 宮島 恵樹, 池田 誠, 堀部 浩司, 小林 真紀子, 井 ...
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
112-113
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
フリー
【目的】本研究は,透析施行中に運動療法を実施し,その介入前後での身体機能の効果およびADL・QOLに与える影響について明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,血液透析患者12名とした。運動療法介入前にADL・QOLに関するアンケート調査,筋力,歩行能力およびバランス能力の身体機能の測定を実施した。介入方法は,体幹・下肢の筋力増強を中心として,運動負荷量を各個人ごとに設定し,透析施行中にベッド上で行った。運動療法介入2ヵ月後にアンケート調査および身体機能の測定を再度行い,介入前後でt-検定を用いて比較検討を行った。【結果】透析施行時に運動療法を行うことで,身体機能だけでなくADL・QOLの向上も認めた(p < 0.05)。【結論】今後,継続的に運動療法を行うことで,更に身体機能の改善やADL・QOLの向上につながると考えられる。
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田中 直樹, 高尾 敏文, 飯塚 陽, 矢野 博明, 奥野 純子, 斉藤 秀之, 柳 久子
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
114-115
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
フリー
近年,リハビリテーション分野においてロボット技術が応用されている。本研究の目的は,歩行リハビリテーションに対して開発された部分面型ロコモーションインタフェースGaitMaster4の維持期脳卒中片麻痺患者に対する効果を検証することである。研究デザインにはランダム化クロスオーバーデザインを使用した。対象者12名をランダムにグループA,Bに割り付け,介入期,非介入期を設けた。グループAは介入期,非介入期,グループBは非介入期,介入期の順で実施した。対象者は介入期に週3回を4週間または週2回を6週間の合計12回のGM4を用いた歩行リハを実施し,非介入期では週1回の測定を実施した。主たる評価項目は10m歩行速度とした。介入期では歩行速度の有意な増加が認められ,非介入期では有意な増加は認められなかった。また,介入期,非介入期の比較では介入期で有意な歩行速度の増加が認められた。GM4を用いた歩行リハは維持期脳卒中片麻痺患者の歩行能力改善に効果があることが示唆された。
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―骨格筋電気刺激後の血糖値上昇抑制効果の検討―
中尾 聡志, 上野 将之, 野村 卓生, 池田 幸雄, 末廣 正, 公文 義雄, 杉浦 哲郎
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
116-117
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
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本研究の目的は,有酸素運動が実施困難な糖尿病患者に対し実施可能,かつ糖代謝改善に有効な理学療法(物理療法)を検討することであり,その基礎的研究として,健常成人の安静時・神経筋電気刺激後の血糖値およびインスリン値を比較検討することである。対象は健常成人20名とした。方法は連続した2日間にて安静時・神経筋電気刺激時の2条件において75gのブドウ糖を経口摂取し糖負荷後0分・30分・60分・90分・120分時の血糖値・インスリン値を測定した。結果より神経筋電気刺激群は糖負荷後30分時の血糖値・60分時のインスリン値が安静群と比較し有意に低下しており,神経筋電気刺激による血糖上昇抑制効果が認められた。本研究結果より健常人において神経筋電気刺激により血糖上昇抑制効果が期待できることが示された。今後,糖尿病患者において有効性を検討する必要がある。
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遠近 高明, 吉永 邦彦
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
118-119
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
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本研究の目的は行動変容を目的とした治療介入が,訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)サービス利用者に対しどの程度効果があるか検証し,行動変容技法を今後の訪問リハの治療手法の一つとして確立することであった。5名の被検者に対して行動変容技法を用いて8週間にわたって治療介入を行った。結果,筋力やバランスなど運動機能面の変化が得られ,身体機能面の維持向上につながった。運動継続にはセルフエフィカシーや結果期待への配慮が重要であり,行動変容技法は訪問リハの治療手法の一つとして有効であると考えられた。
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徳久 謙太郎, 河村 隆史, 兼松 大和, 三好 卓宏, 庄本 康治, 嶋田 智明
原稿種別: 本文
2010 年37 巻2 号 p.
120-121
発行日: 2010/04/20
公開日: 2018/08/25
ジャーナル
フリー
【目的】脳卒中患者の日常生活動作(ADL)に関連した身体動作能力を評価する新しい尺度,脳卒中身体動作能力尺度Stroke Physical Performance Scale(SPPS)を開発すること,およびその心理測定特性を検討することである。【方法】脳卒中患者のADLの観察から作成した仮尺度を,3施設の脳卒中患者102名に実施した。ラッシュ分析後,開発する尺度の項目を3つの基準にて選択することにより完成させ,尺度の検者間信頼性・併存的妥当性について調査した。【結果】項目選択の結果,仮尺度25項目中9項目が除外され,16項目のSPPSが完成した。その検者間信頼性は良好であり,併存的妥当性も確認された。【結論】SPPSは間隔尺度化の可能な,項目階層性・一次元性を備えた尺度として完成し,良好な信頼性・妥当性が確認された。SPPSは臨床・研究場面において有用であることが示唆された。
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