本研究では,運動耐容能の個体差の大きい高齢者17名について,運動強度40%前後で5分間の歩行運動を行った際の血清ヒポキサンチン濃度の変化を検討した。運動負荷前及び終了10分後に採血し,血清ヒポキサンチンを測定するとともに,日常における活動量はアンケートにより調べた。その結果,血清ヒポキサンチン濃度は,運動負荷により増加・減少ともに認められ,日常の活動量との比較検討では,活動量の少ない群で増加していた。
活動量の多い群に認められたヒポキサンチンの減少は,サルベージ系に働く酵素活性の高さや,運動筋のATP供給効率の良さを反映したものと考えられる。運動時の活性酸素の発生はキサンチンオキシダーゼ由来とされ,その活性の亢進は活性酸素の発生を増大させ,生体に様々な悪影響をもたらすとされている。本研究において,日頃から運動習慣を持つことの重要性が示唆された。
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