理学療法学
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24 巻, 6 号
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原著
  • 丸岡 弘, 押見 雅義, 北野 桂介, 柳沢 千香子, 鈴木 禎, 星野 寛倫
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 6 号 p. 311-316
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞患者35例(全て男性)を対象にして,心臓リハビリテーションプログラム(心リハ)中の運動強度を明らかにする目的として携帯用酸素消費量測定装置を使用し検討を行った。その結果,代謝当量(metabolic equivalents; Mets)は心リハ中の段階(ステージ)が上がるにつれて上昇が認められるが,二重積の変化量の上昇は少なかった。また心拍数や収縮期血圧の変化量は,Metsと異なり上昇が少なかった。このことから心リハ中の運動強度すなわちMetsは,二重積や収縮期血圧,心拍数の変化量で推測するのは不十分であることが示唆された。
報告
  • 坂本 親宣, 濱岡 健
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 6 号 p. 317-321
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    腰仙部神経根障害の症例における足関節底背屈筋の筋持久力を把握するために,一側性の腰椎椎間板ヘルニアの症例66例に対して角速度120°/secでの等速性運動を20回行わせ,1回毎の足関節底屈・背屈の仕事量を計測した。筋持久力の定義を最後の3回の総仕事量/最初の3回の総仕事量として,健常者93名と比較検討したところ,L5神経根障害の44症例では神経根圧迫側の足関節背屈筋において有意な筋持久力の低下がみられた。また,S1神経根障害の22症例では神経根圧迫側のみならず対側の非神経根圧迫側の足関節底屈筋においても健常群に対して有意な筋持久力の低下がみられた。なお,健常者群においては有意な性差,左右差はみられなかった。得られた結果より,腰仙部神経根障害の症例に対して筋の評価を行う際に筋持久力が指標になり得ると考えられた。
  • 高橋 のり子, 菊地 延子, 田中 正則, 横田 一彦, 海島 麻衣, 五日市 克利, 金子 秀雄
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 6 号 p. 322-328
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    9年間41人の臨床実習前後アンケート調査から,学生の要望,満足度,批判について集計を行い,その結果より実習の実態,今後の課題,解決の方向性を検討し,以下のことが明らかとなった。①学生は真撃に実習に臨んでおり,綿密な指導を望んでいるが,指導法については学生の自主性,自立性を尊重して欲しいという要望がある。②実習の満足度は90%と高い値を示し,当部門が実習をシステム化してきたことの反映であると考えられるが,批判として学生が望ましくないと考える教育行動もあった。③自主性,自立性を向上させる方法を含んだ部門内の教育行動を確立することが,今後の課題であると思われた。
  • 齋木 しゅう子, 佐藤 德太郎
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 6 号 p. 329-334
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,運動耐容能の個体差の大きい高齢者17名について,運動強度40%前後で5分間の歩行運動を行った際の血清ヒポキサンチン濃度の変化を検討した。運動負荷前及び終了10分後に採血し,血清ヒポキサンチンを測定するとともに,日常における活動量はアンケートにより調べた。その結果,血清ヒポキサンチン濃度は,運動負荷により増加・減少ともに認められ,日常の活動量との比較検討では,活動量の少ない群で増加していた。
    活動量の多い群に認められたヒポキサンチンの減少は,サルベージ系に働く酵素活性の高さや,運動筋のATP供給効率の良さを反映したものと考えられる。運動時の活性酸素の発生はキサンチンオキシダーゼ由来とされ,その活性の亢進は活性酸素の発生を増大させ,生体に様々な悪影響をもたらすとされている。本研究において,日頃から運動習慣を持つことの重要性が示唆された。
  • 廣瀬 浩昭, 鈴木 俊明, 大工谷 新一, 藤原 哲司
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 6 号 p. 335-340
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    長潜時反射(long-latency reflexes : 以下LLRと略す)検査を静的場面だけではなく動的場面において用いるために,刺激強度の変化に対するLLRの反応性を検討した。対象は,健常者5名の両上肢10肢とした。方法は,母指と中指の対立運動による最大収縮力を測定し,その25%で等尺性収縮をさせている間に,正中神経手関節部を電気刺激し,母指対立筋よりLLRを導出した。その条件において,刺激強度をM波が最大となる強度の20,40,60,80,100%の5試行で行い,刺激回数は各々30回とした。結果は,M波閾値直上刺激と同程度であった40%強度に比べ,60,80,100%強度の立ち上がり潜時は延長し,持続時間は短縮した。また,出現頻度は低下し,M波に対する振幅比・面積比は低下した。本研究の結果から,刺激強度の増大によってLLRは抑制を受けること,動的場面などLLR波形解析が困難な場合,60〜80%の強度に刺激強度を上げることによってLLRの波形解析は容易となることが示唆された。
  • ―Closed Kinetic ChainとOpen Kinetic Chainの違い―
    市橋 則明, 日高 正己, 浦野 由紀子, 吉田 正樹, 伊藤 浩充, 森永 敏博
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 6 号 p. 341-346
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    Closed Kinetic Chain(CKC)としての脚伸展筋力とOpen Kinetic Chain(OKC)としての膝伸展筋力の違いを明らかにするために,健常成人16名を対象に,最大等尺性収縮時の各膝屈曲角度における筋力,筋活動量と筋力の相関関係を調べた。その結果,筋力はCKCでは膝屈曲角度45度,60度で,OKCでは60度,75度で最大値をとった。CKCにおいて,膝が伸展するに従って,内側広筋と大腿直筋の筋活動は低下するのに対し,半膜様筋は徐々に増加した。OKCとCKCの筋力の相関は,膝屈曲角度75,90度で高く,15,30度においては,有意な相関はみられなかった。これらの結果により,脚伸展動作と膝伸展動作において,力―角度特性や筋活動―角度特性などに違いがみられることが明らかとなった。
症例研究
  • 上杉 雅之, 原 章, 木村 義浩, 富永 通裕
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 6 号 p. 347-352
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    新生児早老症様症候群(Neonatal progeroid syndrome; NPS)は,出生時から見られる早老症様顔貌,皮下脂肪組織の減少,発達遅滞を特徴とする極希な疾患である。今回,姉弟発症例のNPSに対して,症例1(姉)は2歳より5歳4ヵ月まで,症例2(弟)は1歳より3歳6ヵ月まで,神経発達学的治療に基づく運動療法を実施した。その結果,症例1は5歳2ヵ月より段差昇降,症例2は3歳1ヵ月より歩行器歩行が可能となった。本2症例は,筋緊張低下,筋力低下,関節形成不全,特異な体型,呼吸・摂食機能障害を有したものの緩徐な運動発達を示した。
  • 山﨑 朋也, 長倉 裕二, 中川 昭夫, 小嶋 功
    原稿種別: 本文
    1997 年 24 巻 6 号 p. 353-358
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    インテリジェント大腿義足は空圧シリンダを使用し,それをマイコンでコントロールすることで義足の遊脚相を制御する。構造的にも従来の大腿義足とは異なり,ゆっくりした歩行からより速い速度での歩行が可能なものである。今回,義足装着訓練を目的に入院した切断者(17歳男性,身長176cm,体重60kg)に対して,インテリジェント大腿義足を使用し,歩行速度の向上を目的として訓練を行った。その約20週間の経過において,歩行速度が徐々に増大し,走行も可能となり,その結果,歩行から走行まで速度のバリエーションを平均速度88m/minから231m/minまで広げることができ,より健常者に近い移動能力を獲得できた。
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